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青木欣二個展「後頭部美女コレクション2」

今週の作家さんは、HBでは初めての個展となるイラストレーターの青木欣二さんです。
青木さんは、デザイン会社のイラスト部でお勤めされた後、
10年ほど前からフリーランスでイラストレーターのお仕事をされています。

会場には目を見張るほどの、女性の美しい後頭部だけがずらりと並びました。
HBギャラリーでは珍しいリアルイラストレーションの世界です!

— 青木さんは、デザイン会社でイラストレーションを描くお仕事をされていたんですね。
どれくらいお勤めされていたんですか?

14~15年ほど会社にいました。フリーになった今も、前の会社からお仕事を頂くことが多いので、よく通っています。
まだ自分の机があって、機材なども豊富なのでなにかと会社に行くことが多いですね。
フリーで他のお仕事もいただいたり、という具合でやっています。

会社勤めの頃はカンプスケッチというものをよく描いていました。
広告のプレゼンに使うイメージ画のようなものなんですけど、今だったらパソコンで人物や背景を画像で合成できますが、その頃は全部手描きで作っていたんです。すごく忙しい仕事でした。

— そのお仕事でだいぶ鍛えられたのでしょうか?

結果的にはそうでしょうね。でもその頃はやりたくなかったですよ。(笑)
実際には印刷物にならなくて、プレゼンのためだけに使う絵だったので。
カンプはパステルで描いていたのですが、その頃から鉛筆で描くのは好きでしたね。
会社をやめてからも鉛筆は好きでよく使って描いていました。
鉛筆だと描きはじめるのも、途中でやめるのも楽で手軽なのがいいですよね。

— 後頭部を描いてみようと思ったきっかけを教えて下さい。

以前、車と動物を組み合わせたシリーズの絵を鉛筆画で描いていたのですが、
その作品をイラストレーション誌の『チョイス』に応募したところ、準入選を頂けたんです。
でもやっぱり入選を目指したいなと思って、このタッチでもっと面白いモチーフを探そう!と。

この絵になる前は女性のうしろ姿を肩くらいまで入れて描いていたんです。
あるとき、肩の部分を消して後頭部だけを残してみたら、あまり見かけない絵だなぁと。
これはおもしろいかも!と思いました。
その作品を再びチョイスに応募したところ、箭内道彦さんの審査で念願の入選に。
それがこのシリーズにつながるきっかけです。
僕の絵はヘタすると怖い絵になっちゃうかなと思うんですが、今は「多少怖くてもいいかな」という気持ちで描いてます。

— 頭だけがふわっと浮かんでいるような、不思議な存在感がありますよね。
後頭部のモデルさんは実在する方ですか?

はい。前の職場の方や、知り合いや家族など。
写真を撮らせてもらって、プリントしたものを見ながら描いてます。

— 1枚にかかる制作時間はどれくらいですか?

ショートヘアとロングヘアでかかる時間も様々ですが、
1週間〜10日くらいでしょうか。大きい作品だと20日〜1ヶ月くらいかな?
ずっと描き続けるというよりは、間をあけながら少しずつ描くという感じですね。

— 描いていて楽しいなと思うのはどんなときですか?

最初は鉛筆でばーっとたくさんの線を描いていくので、物体だったり塊にしか見えないのですが、
徐々に描き進めていくと、髪の毛のツヤ感が出てくる瞬間があるんです。
8割くらい書き進めたあたりかなぁ…それが見えてくると楽しいですね。

— では逆にむずかしいところはありますか?

背景の余白と髪の毛との境界線の描き方が一番むずかしいですね。
単純にぼかすと立体感がなくなってしまうんです。練りゴムをうすくのばして、そーっとなぞるようにぼかすのですが、境目の描き方でうまく立体感が出る時と、そうでない時があるのでむずかしいです。

あと、もう一点挙げるならば鉛筆を削ることでしょうか。
4Hの硬い鉛筆をよく使うのですが、描き始める前に7本くらいたくさん削っておくんです。
1本目を使って描いて、先が丸くなったら2本目に移って…というふうに。
そのストックがなくなってしまうとまた7本削らなくてはいけないので、その時間がね…。
4Hってすごく硬いじゃないですか?なかなか削れないんですよ。

— 意外なところに難点が。大変な作業ですね!
青木さんの絵は、ここで終わりというやめ時を決めるのがむずかしそうに見えます。なにか決め事はありますか?

そうですね。フィキサチーフをかけてしまえばもう諦めがつきます。(笑)
どんな絵にしても「もうちょっと描けるけど、ここでやめておこう。」というくらいが丁度いいと聞きますね。

— なるほど。奥が深いですね。
最後になりますが、これから挑戦してみたいことなどお聞かせ頂けますか?

また新たなテーマをみつけて描いていこうと思います。B全やB倍くらいの大きな鉛筆画にも挑戦してみたいですね。
普段は水彩画のお仕事を頂くこともあるので、そのタッチで自分の作品も作っていけたらなと思ってます。

— ありがとうございました!また作品を拝見できるのを楽しみにしております。

パソコンの普及と共に、リアルイラストレーションの存在が希薄になりつつありますが、
青木さんの確かな技術力と表現力のある作品を見ると、手描きだからこそ表現できる説得力のようなものを感じました。改めて原画の持つ力はすごいなぁと感動させられます。
ぜひ、 原画を観に来てください!みなさまのお越しをお待ちしております。

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