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君野可代子個展「甘味」

今週の作家さんは、自身初の個展となるイラストレーターの君野可代子さんです。
昨年の春まで峰岸塾でイラストレーションを学ばれていて、
卒業された現在は、週刊誌の挿絵、装画など書籍のお仕事を中心にご活躍されています。
初日には峰岸達さんやたくさんの生徒さんがお祝いに駆けつけてくださいました。

君野さん独特のやわらかなえんぴつ線と淡い色彩で、春にぴったりな展覧会となりました。
恋するきもち、甘酸っぱい思い出、なつかしさなどを「甘味」というタイトルに込めた全17点が並びます。

— 初個展、おめでとうございます。展示されてみていかがですか?

個展をする意味というのが、これまではあまりよくわかっていなかったのですが、
実際に展示し、毎日いろんな方にお会いしたことで、なんとなくわかったような気がしました。
作品の感想も伺えたということもすごく大きいです。
自分のためにやっちゃっていいのかな?と思ってたのですが、これは必要なことだったんだと今になって感じますね。

— グループ展とはまた違った刺激がありますよね。
君野さんは以前、峰岸塾で絵を学ばれていたそうですが、どれくらい通われていたのですか?

去年の4月くらいまで約3年ほどですね。
絵で食べていけるようにがんばろう!と、入塾前に決意しました。

— それまでも絵を描くのはお好きだったんですね。

そうですね。もっと前になるのですが、セツ・モードセミナーに通っていた頃がありまして、
その頃は絵というよりはファッションの方に興味がありました。
そのうち「結婚しても家で仕事ができることを」と考えはじめ徐々に絵の方向へ…という感じです。

— 入り口はファッションだったのですね。当時憧れのイラストレーターさんはいましたか?

たくさんいました。宇野亜喜良さんや峰岸達さん、アメリカのジェシー・ウィルコックス・スミスなど。
最初にイラストレーターとして好きになったのは、70年代にチョコのおまけについていた、シシリー・メアリー・バーカーの絵を見たのがきっかけだったと思います。

— 憧れだったお仕事が現実に!最初に絵のお仕事を頂いたときはどんなお気持ちでしたか?

「詩とファンタジー」の挿絵が最初に頂いたお仕事なのですが、不安の方が大きかったですね。
ギャラリーハウスMAYAさんの装画コンペの受賞者展で観に来てくださった、
編集者の方からお声掛けいただいたのがきっかけでした。
自分が描いていいの…?という不安はすごくあったのですが、とってもうれしかったのを覚えています。

— その後も本のお仕事が続いていますね。君野さんご自身はどんな本がお好きですか?

結構おどろおどろしいお話が好きで、芥川龍之介とか京極夏彦さんとか。
今、『サンデー毎日』の連載で挿絵を描かせて頂いている、宮部みゆきさんのお話もすごくすきな世界観なんです。

— それはなおさらうれしいお仕事ですね!
連載の挿絵は昨年の7月からご担当されているそうですが、
楽しいことやここが大変!と思う事をそれぞれ教えていただけますか?

楽しいことは、まず内容がおもしろいことですね。
このお話に私の絵がついていいの…?と思うのですが、でも毎回すごくうれしいです。
本屋さんでも未だに自分の絵が載っている本などみかけるとまだ信じられないというか…大丈夫かな?と思ってしまいます。

— どのお仕事の絵もすごく素敵です。君野さんにしか描けないものという感じがしますね。
では逆に大変なことはありますか?

そうですね、登場人物に男の人が多いことでしょうか。
これまでほとんど男の人を描いたことがなかったので。大変ではありますが、とても勉強になっています。
あとは、最初の方で張り切りすぎて細かい描写で描いたので、その気持ちを持続させるのが…たいへんです。

— 君野さんの描く男の人は新鮮ですね。存在感があってお話の雰囲気が伝わってきます。
話しは変わりますが、絵を描くこと以外ではどんなことがお好きですか?

アコースティックギターが昔から好きです。中学のときにクラブに入ってそれからずっと弾いてます。
今は忙しくてなかなか触れていないので、また落ち着いたらやりたいなぁと思ってます。
エレキギターも買いたいなぁ…

— ギター、いいですね。君野さんの雰囲気ととっても合います。
いろいろとお話をありがとうございました。最後になりますが、これからやってみたいお仕事、目標をお聞かせ下さい。

お仕事はなんでもやってみたいのですが、こども服に関わるお仕事がいつかやってみたいです。
ファッション関係のお仕事も。目標はやっぱり、一生イラストレーターです!

— ありがとうございました。今後も君野さんの作品がいろんな方の目にとまり広がっていくことと思います。
これからのご活躍を楽しみにしております!

今回展示された作品のほとんどは、写真や資料などを見ずに想像で描かれたそうです。
どの作品も人の顔が魅力的で、目を閉じてもずっと忘れられないような儚さがありました。
それらは君野さん自身がこれまで出会った人、触れてきた感情の記憶から自然とにじみ出てきた表情なのでしょう。
作品から出てきたかのようなやさしい雰囲気そのままの君野さん。
これからもご自身のペースでひたむきに絵を続けられるのだろうなと感じました。

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