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森流一郎個展「小説挿絵の仕事より」

今週の作家さんは森流一郎さんです。HBでは初めての個展となります。
重松清、桜木紫乃、佐々木譲などこれまでに数々の人気作家と組み挿絵を描かれてきた森さん。
今回の展覧会では近年お仕事で描かれた作品を一堂に集めました。

現代小説から時代ものまで幅広く手掛けられている、
森さんのプロフェッショナルなお仕事の数々、ぜひご覧ください!

 

 

– 作品ファイルでも拝見しましたが、連載のお仕事が多いですね。
原画はどのように描いているのですか?

線画をパソコンに取り込んで描いています。
グレーの部分などは、フォトショップを使用して描いています。

– 手塗りのような質感がいいですね。
森さんはこどもの頃から本を読むのがお好きだったそうですが、どんなジャンルの本を読んでいましたか?

小学生の頃は、江戸川乱歩やホームズ、ルパンなど推理小説が大好きでした。
その後SFにはまっていったのですが、中学生の時にすべて読み尽くしてしまって
他の小説も読むようになりました。世界の名作、娯楽など片っ端から読んでいましたね。

 

 

– 大人になって、ご自身が小説の挿絵を描くということは想像していましたか?

全く想像していなかったですね。
子供の頃から、絵を褒められることは多かったのですが、
自分自身は絵に興味がありませんでした。
小説家になりたかったので、ずっと文章を書いていました。
ふつうの大学を出て就職し、働きながら小説を書きプロを目指そうと思っていたんです。
しかし何度投稿しても入選することはなく…たぶん向いていなかったんですね。
小説家はあきらめました。好きなものと向いているものが違っていたんだと。

その後会社を辞め、24歳でデザイン専門学校へ入学しました。
そこで描かされた絵をとても褒められたんです。コンペも次々と入選して。
ぼくの人生はこっち側だったのかと。急に人生がうまくいきはじめました。
人生には流れというものがあって、それに逆らうとうまくいかなくなるのでは?と思うようになりました。

 

 

– 流れにのったことで成功につながったのですね!
小説の挿絵を描くことがお仕事になったとき、どんなお気持ちでしたか?

実はイラストレーター駆け出しの頃は、広告業界中心に売り込みに行き、
文芸誌へは一度も行っていなかったんです。
広告の仕事は頂けず、イラストレーターとして行き詰まっていた時、
ある編集者の方がどこかで僕の絵を見てくれてお仕事をくださり、そこから小説の挿絵を描くようになりました。
それが好評で、どんどん仕事が増えました。
自分は広告をやりたかったのに、向いているのは挿絵を描くことだったんです。
自分がやりたいことにこだわるとうまくいかず、まわりにすすめられたことをやってみるとうまくいく。
そういうふうに天が導いているのでは…と思いますね。
小説家にはなれなかったけど、結局は ” 小説 ” という好きなところに帰ってきたんだなと。

 

 

– 最終的に好きなものに関われているというのがおもしろいですね。
イラストレーターとしてお仕事を始めてからどれくらい経つのですか?

お仕事を頂くようになって、本格的にやらせていただいてからは
20年以上になると思います。

– 長く続ける秘訣はありますか?

自分の好きな方向にこだわらずに、まわりが求めている方へ向かうことでしょうか。
時代ものの絵も、考証がむずかしいので自分では描かないと思っていたんです。知識もないですし。
でも実際に調べながら描いてみると好評で、時代ものの依頼ばかり頂くといったこともありました。
こだわらずにやってみたら向いていたということですね。

 

 

– DMの絵を見たときに、普段の森さんの作風とはまた違って、新しい感じだなと思いました。

この作品は中世ヨーロッパのお話ですが、こういったお仕事も増えてきましたね。
今風にアレンジもしています。これもまた好評で、こういうものも描けるんだと思いました。
こだわりすぎないということですね。
もちろん、こだわりをずっと持ってきたから成功したという方もいますが、
僕の場合はこだわりすぎないということが合っていたんだなと思います。

– 絵を見た方々が、森さんの新たな方向をどんどん広げてくれそうですね。
最後に、今後のイラストレーターとしての抱負をお聞かせ頂けますか?

時代時代で求められるものを描いて、たくさんの人に楽しんでもらえればいいなと。
そうすることで、さらに遠くへいけるのではと思っています。

– 貴重なお話をありがとうございました!今後益々のご活躍を楽しみにしております。

 

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