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鈴木さや香個展 「Seven Seas & Five Cats ~7つの海と5匹の猫~」

今週の作家さんは鈴木さや香さんです。
HBでの展示は、HBファイルコンペvol.19での特別賞展以来、約5年ぶりとなります。
ギャラリーでの個展は今回が初めてだそうです。

パステルの涼しげなグラデーションのタッチが印象的な鈴木さんの作品。
今回はそのタッチを軸に、より一層広がりを感じさせる表現にも挑戦され、
さまざまな海の表情を描きました。見る人それぞれの、海の記憶が呼び起こされるような
どこかノスタルジックな気持ちになれる素敵な展覧会となっております。
鈴木さんが書かれた、それぞれの作品にまつわるお話とあわせてお楽しみください。

 

 

 

− 今回の展示テーマをお聞かせいただけますか?

まずはじめに、海にまつわるものを描きたいなという思いがありました。
「何を描こう」というところからスタートし、ストーリーを感じられるものを描きたい!と。
自分の実体験だったり、ノンフィクションな部分とイメージを追加して織り交ぜた
色々な海のストーリーを作りました。

– 「海のある地域にうまれました」と書かれていましたが、ご出身はどちらですか?

静岡県の焼津市というところです。まぐろの水揚漁で有名な土地なんです。
地元以外の方が焼津に来ると、まず電車のドアが開いた途端「魚くさい!」と言われます
それくらい海沿いの町です。学校帰りにふらっと海に寄ったりしていました。

– とても身近な存在だったのですね。
今回展示をするにあたり、見せ方で意識されたのはどんなところですか?

新しいことをしたかったのですが、あまりいつもの作風とかけ離れると、
それらを描かないと思われるのも嫌で、そのバランスが難しかったです。

 

 

– 色んな手法で描かれているように見えますが、画材はどんなものを使われましたか?

パステル、リキテックス、ラッカーなどを使って描きました。
普段から印刷のような表現が好きで、版のずれた感じを自分でもやりたいなと思いました。

昔のロシア絵本のような表現が好きなんです。

今回はスプレー表現が 特におもしろかったです。古い感じの印刷のような表現ができるところや、質感が好きですね。

 

– 手法は違っても、鈴木さんのすきな雰囲気が出ていて素敵だなと思いました。
お話もとてもおもしろかったです。文章は普段から書かれているのですか?

普段は書かないですが、本を読むのが好きです。
ミステリーも、旅行記も、ジャンル問わずなんでも好きです。
自分でも絵と文章をいつか描けたらなと思います。

 

 

– 鈴木さんは以前、DRAFT でお勤めされていたそうですが、
どのようなお仕事をされていたのですか?

D-BROS事業部というところで、ステーショナリーの営業を3年ほど担当していました。
デパートやミュージアムショップなどのお取引先へ営業に行きました。
全般的な営業活動にたずさわれましたし、ものを作って売るとはこういうことなんだ、と
とても勉強になりました。

– 営業職をされていたのですね!その後、イラストレーターの道へ進まれたのですか?

会社を辞め、絵本作家になりたくて公募へ出しました。でもなかなか通らない…。
文も絵も、いきなり一緒には無理だとわかり、絵だけに絞りました。
友人に「HBファイルコンペというのがあるよ」と紹介してもらい、
その時に応募した作品で、副田高行さんの特別賞をいただきました。
受賞のお電話をいただいたとき、派遣の事務仕事の最中だったのですが、
電話口で「本当ですか?!」と驚きました。感動してすぐに親へ電話したことを覚えています。

 

 

– こちらも嬉しいです!その後は売り込みなど行かれたのですか?

出版社やデザイン事務所へ作品の持ち込みに行きました。
ひどいこともいっぱい言われて、 泣きながら帰ったこともあります…
自分の作風は出版業界には合わないのかなと思い、
イラストレーターをマネジメントしている会社へ持ち込みに行きました。
しかし、そこでの描いてほしい絵とは、
” きれいなOLさんがお茶をしている絵 “といったようなものでした。
なかなか合う人に出会えなかったんです。

最初にいただいたお仕事は、DRAFTを出て独立した方からいただいたものでした。
「母の日のカーネーションを、上手に描かないでほしい。自由に。」といった依頼で、
形をくずして、カーネーションとギリギリわかるくらいの絵を求められました。
「いつものよくわかんない感じで描いて」と言ってもらえたことで、
こういう人と仕事をすればいいんだ!と思えたのです。

自分と合う人とはそんなに出会えませんが、
みんなと同じ進路を選んでも、自分は違うのかなと思いました。
たとえば、絵からモノを作ったりすることは、他の人に評価されなくても1人で動ける。
納得できる何かを常に探しています。

 

 

– その気持ちを保つことは、大変ですがとても大切ですよね。
今後、こんなお仕事をやってみたいと思うことなどお聞かせいただけますか?

テキスタイルをやってみたいです。
今回描いたような、波のチェックで布を作り、スカートやワンピースにしたいですね。
海外の方ともお仕事をしたいですし、向こうのテキスタイルと組めたらおもしろそうだなと思います。
青が好きなのですが「自分はどの青が好きなんだろう?」と何年も研究しているんです。
今は、少し紺がかった紫っぽい青が好きだなと。
「キタノブルー」のような、自分の色みたいなものがいつか欲しいです。

– それはおもしろいですね!完成したらぜひお知らせくださいね。
素敵なお話をありがとうございました!

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