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日下潤一賞 大高郁子個展「NEO南画」油性マーカーで描く「瀟湘八景図」+α

HBファイルコンペvol.24 大賞展二週目は日下潤一賞を受賞された大高郁子さんです。
昨年開催された「マジック山水図」展につづき、今回はその第2弾の展覧会となりました。

一昨年のHBファイルコンペの作品づくりに向けて描かれていたという山水図シリーズ。
さらに発展させたものを、昨年11月の個展「マジック山水図」で発表されました。
その後もテーマは継続され、新たな作品20点をまとめ、その年のコンペで見事に日下潤一賞に輝きました。
夢中になれるテーマをみつけ、長く向き合った結果が大賞へと結びついたようです!

今回の受賞展では「南画」をテーマとし、前回よりもさらに大きな作品にも挑戦。
画材は変わらず、太い油性のマジックインキで描かれています。大高さんの描くポップで親しみやすい南画は、
見たことのない楽しさに溢れています。ぜひ会場に足をお運びください!

 

 

— 日下潤一賞受賞おめでとうございます。
今回のテーマ「南画」とはどういったものなのでしょうか?

中国の「南宗画」が由来となっていて、池大雅、浦上玉堂などの一派の人たちによって
日本風にアレンジし、水墨画で描かれたものが「南画」と呼ばれています。

前回はマジックインキの 「マジック」をタイトルにも付けていたのですが、
「手品」という意味にもとれて伝わりにくいこともあり、今回は名前を変えたいなと思っていました。
もう少しひねって、”新しい”という意味で「NEO南画」と名付けました。

— 今回は、金色の紙にも挑戦されたのですね。

最初は金箔を貼ろうとおもっていたのでしたが、あまりにも高価なので断念し、
パッケージなどに使われる平和紙業の「桂」という種類の紙を選びました。

 

 

掛け軸にした絵は、京都の表具屋さん(北岡技芳堂)で軸装をしていただきました。
わら半紙を水でぬらしたあと、和紙で裏打ちして、乾かすのですが、
完成まで2ヶ月くらいかかるんです。
職人さんも、更紙(わら半紙)に油性マジックで描かれた絵を軸装することは初めて。
できるかな?と面白がってくださり、試しに1枚別に描いたものでまず実験してから、「本番」を作ってくれました。

日本画を描かれる方でも、最近は軸装をされる方はあまりいらっしゃらないようです。

 

 

— 掛け軸、とても迫力がありますね。もうひとつのテーマ、「瀟湘八景図」とはどんなものですか?

「瀟湘八景図」という画題が元々あり、漁村の夕焼けの風景や、秋の月の風景など、
八つの風景で構成されている作品です。これまでにもいろんな人がその画題で描かれていたそうで、
「じゃあ私も描いてみよう!」と思い挑戦しました。

— そのお隣、6連の大きな作品もすごい迫力です!ご自宅で描くのは大変そう…。

これは「西湖」を描いているものなのですが、前回の展示から「大きい絵を描きたい」と思っていたので
やってやろう!という気持ちで描きました。縦長の更紙、6枚に絵を描きそれを繋げて1つの作品にしました。
家の中では並びきらないくらいの大きさで、描いているうちにだんだんと分からなってくるんです。
1枚で見せるよりは、部分部分で楽しめるような、見る人が遊べる場所をみつけていただけたらなと思っています。

 

(↑「西湖」のほんの一部。)

 

— 作品集もとてもおもしろかったです。内容が濃く、見応えがありますね。

前回の展示作品をまとめたいなと思い、本を作りました。
中身はとりあえず並べていけば自分でデザインが出来たのですが、
表紙がデザイン出来ない…と思い、どなたかやってくださらないかなと。
そこで、HBスタジオの白村さんに打診してみたところ、快く引き受けてくださりました。
中身も、絵のまわりの空きや、ノンブルなども微調整してもらえ、最後にぴしっとした形にしていただけました。

唐仁原さんにお見せしたところ、坊主の絵を気に入ってくださり見開きのページに載せることに。
最初に自分で考えていた構成は淡々としたものでしたが、
そこへ「裁ち切りで絵を載せるのはどう?」と面白くしてくださったのは唐仁原さんでした。

 

 

— たくさんの方に見て頂けるといいですね!最後になりますが、今回受賞をされていかがでしたか?

まだ実感がなく不思議です。賞を頂くということが初めてだったので、未だにおろおろしています…
嬉しいという気持ちをどう表したらいいのかもわからず。

日下さんには、絵を軸装するアイデアをいただいたり、色を使って描くことを勧めていただいたりと
色々な窓を開けてくださいました。自分ひとりでは考えつかなかったので、感謝の気持ちでいっぱいです。

—  すてきなお話をありがとうございました。本当におめでとうございます!

 

審査員の日下潤一さんと。

 

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