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小泉寛明個展 「落描きになんとか耐える女たち」

今週の作家さんは小泉寛明さんです。HBでは初めての個展となります。
セツ・モードセミナーで約9年間、絵の先生をされていた小泉さん。
流れるような線画で、さまざまな表情の女性を描き、37点の見応えたっぷりな展示となりました。

 

 

— 小泉さんは、これまでも多く展示をされてきたのですか?

今回で2度目です。セツ・モードセミナーに入ってから3年目くらいに、渋谷のハチ公近くの
純喫茶のような、高級なソファのある薄暗い店内で、絵にひとつずつ照明が当たるような、
そんな場所でやったことがあります。

— 雰囲気の良さそうなお店ですね。
今回、いろんな女性を描かれていますが、服装なども華やかで何かイメージなどがあるのでしょうか。

セツ時代、デッサンやクロッキーを1ポーズ7~8分で、繰り返し鉛筆で描いていて、
生徒同士で交代でモデルをしたり、長沢さんが選んだモデルなど、色んなタイプの男女を描きました。
特にイメージはしていないですが、顔を描いているうちにだんだん服装も決まってきます。
タイトな体の線が出た方が女っぽい雰囲気が出るのではと思いますね。
なんとなく今でも、電車に乗ってる人や、街を歩いている女の人が気になって、服装を観察したりしてます。

 

 

— 自然と描きたいものが描けたという感じでしょうかね。画材は何を使われていますか?

赤と黒のPILOTのドローイングペンです。ずっと黒い色で常識的に描いてきたのですが、
ある時、口紅を描くときに赤いボールペンで描いてみた。他の線も全部赤で描いてみたら、おかしかったけど、
水彩でほかの色をつけてみると、それなりに華やかになって。それから赤色でも描くようになりました。

 

— 実在する女性というよりは、イメージの中の女性なのでしょうか?

そうですね。セツ時代、女の人からは相手にされず、モテませんでしたのでね。
いじわるな目で見て描いているというか、優越感だったり、不安だったり軽蔑したような顔だったり。
今回描いた絵も、恥ずかしいからあまり見せたくないという気持ちと、でも見せたいという気持ちとのジレンマがありました。
金色の家具や大きなソファなども実際に持っている訳ではないんです。
もちろん資料などは見ますが、憧れがあったり、欲しいと思うから観察する。無いものねだりのようです。

 

 

— なるほど、憧れからきているのですね。
小泉さんは絵のお仕事もされていたそうですが、どのようなお仕事が多かったですか?

『小説現代』や『オール讀物』や川上宗勲のポルノ小説ではよく挿絵を描いていました。
ファッション誌でもカットを描かせていただきました。
その頃は、ファッションイラストレーションという言葉は無く、”スタイル画”と呼ばれていたんですね。
2~3色のオフセット印刷で中原淳一や長沢節のスタイル画が載っていて、その後に活版印刷でモノクロのテキストページや写真が載っているというような雑誌が多かったんです。

昭和40年代でしょうか、その頃『anan』が発売されました。
今は普通にあるグラビア印刷を最初に使ったのがananでした。
写真の技術が進んだことで、節さんは「写真に負けないような絵を描く作家が出てくれば」や
「使うような絵を描く人がいなくなった」と、よく仰っていましたね。

 

 

—  どんどん写真へ移り変わる時期を経験されたのですね。貴重なお話をありがとうございます。
最後になりますが、展示をしてみた感想をお聞かせ頂けますか?

見に来た人みんなが褒めてくれて、自信になりましたし、もっと一生懸命やれば良かったなとも思います。
節さんの「女を描くことは、時代を描くこと」というお言葉が、どういうことなのかなといつも思っていました。
時代って何なのだろうと、今でも惑わされています。
洋服の形を描けば、時代を描いたことになるのかというと、そういうことではないし。

平成の始め頃、お金にならなくても描いていられる、そんな興味が燃えていました。
人に頼まれていなくても、褒められなくても描いていました。
友人にも絵は見せていませんでしたが、「展覧会はやらないの?」と声をかけてもらったりして、
みんなに励まされ、今日に辿り着いたかなと思います。

 

 

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