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原裕菜個展「Dancing in the light」

今週の作家さんは原裕菜さんです。HBでは初個展となります。
溶けこむようなインクの筆跡や、黒と白のコントラストが美しい原さんの作品。
小説の挿絵や装画、舞台の宣伝イラストレーションなど、徐々に活動の幅を広げられています。
そんな原さんの3年ぶりの個展、新作イラストレーションやお仕事の原画を展示しております。ぜひご覧くださいませ!

 

 

今回のタイトル「Dancing in the light」は、余白のリズム感と色のコントラストを連想させる、原さんの作品を象徴するテーマです。その言葉からイメージをふくらませ、人物や身近にあるモノを中心に描き下ろしました。
画材はアクリルガッシュとパステルペンシル。筆の動きに任せるように描かれたインクの滲みが魅力です。

白黒写真がお好きで、今の作風に至ったのも写真の影響があるようです。
原さんが興味をもったのは、マイケル・ケンナという女性写真家の黒い三角が並んでいる写真集の表紙。抽象的なカタチに見えたものが、よく見ると実際は木が並んでいるという写真だったそうで、はじめに視覚に入ってくるカタチと、あとから意味が入ってくるおもしろさを追究してみたくなったそうです。原さんの絵にも、そんな視覚のコミュニケーションのおもしろさが感じられました。

 

 

 

これまでは、シンプルな丸や三角にこだわって描いていたという原さん。仕事でも対応できるようになりたいという思いから、今回の新作では少し描きこみを増やすことにも挑戦されました。それでも決して描き過ぎず、見る人に想像させる余白があるのが原さんの絵の魅力です。日本画のような透明感と和の雰囲気もありつつ、ロシアアバンギャルドを意識したという黄色の差し色が効いた、原さん独自の画風となりました。

 

 

 

現在は文芸のお仕事の依頼が多く、原さんご自身も好きな本の世界をこれからも広げていきたいそうです。
カフェやお店の壁画を描いたり、広告などの大きく印刷されるお仕事にも興味があるそうで、今後のご活躍が楽しみです!

売り込みをはじめたきっかけは、玄光社のコンペ『チョイス』に入選したこと。
イラストレーターの先輩たちから「今、動かないとダメだよ」とアドバイスをもらい、売り込みへ行くことに。行った先々で「チョイスで作品を見ていましたよ」と知ってもらえていて、今動かなければいけない意味はこれだったんだ、と気づけたそうです。昨年は月に2件売り込みへ行くと決め、その成果もあり少しずつお仕事も増えてきました。

初めての装画のお仕事は「狼少女たちの聖ルーシー寮」。パレットスクールへ通われていた時に、名久井直子さんに作品ファイルを見てもらったことで繋がったそうです。その本がきっかけで、次のお仕事へ繋がったりと、原さんの代名詞になる1冊となりました。見る人のイメージを広げてくれる原さんの作品、たくさんの本に必要とされるのではと思います。

 

 

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