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平井利和個展「熊を放つ 第一章ジギー」

今週の作家さんは平井利和さんです。HBでは昨年のHBファイルコンペ大賞展以来、約10ヵ月ぶり4回目の個展開催となりました。今回は、小説家ジョン・アーヴィングの処女作『熊を放つ』の第一章をテーマに描かれました。自由自在に描かれた線画の数々をお楽しみください!

今回のテーマは2016年頃から温めていたものだったそうで、きっかけはHB塾の課題で取り組んだ、黒1色でスケッチブックを1冊描くという授業だったそうです。そこで20歳の頃に読んでいたという『熊を放つ』をテーマに。その後、2017年4月〜18年3月までのNHKラジオ『エンジョイ・シンプル・イングリッシュ』のテキストブックでイラストレーションを担当することになった平井さん。『熊を放つ』の描き方をそこで発展させられるいい機会だなと思ったそうです。黒1色の描き方を徹底したり、ページものの見せ方を意識して描いていたことが、このお仕事でとても役に立ったとのこと。

昨年の年末は仕事がなく悔しかったそうで、HB塾卒業した後もまたスケッチブックを描き始めたそうです。今は第2章『ノートブック』を描いているとのこと。

 

 

 

今回は新たに白色を使って描いた作品も。とらやの御棹菓子見本帖のようなイメージで、年月が経ち、黄ばんだ紙の上に白く浮かび上がるような絵になったらいいな思いながら描いていたそうです。絵の中に手描き文字を入れたのは、フィリップ・ワイズベッカー、ポール・コックス、葛西薫など、平井さんが影響を受けた方々のエッセンスを含んでいるとのこと。色は黒を基調にするルールを自分の中で作っていたそうです。

 

 

滑稽だったり、ちょっとオーバーだったりするところもあれば、ラストは重い方へどんどん向かって行く感じが、ジョン・アーヴィングの好きなところだそう。20歳の頃に読んだ際には、中盤あたりまでが読みづらく一旦は断念したそうですが、ラストの疾走感はとても面白かった印象だったとのこと。また大人になって読んでみると、アーヴィングが実験している感覚がわかり、彼自身が変わっていっているのがわかり面白かったそうです。絵を描くにあたり、はじめは物語の1シーンを描いていたけれど、途中からは場面をコラージュするように描くようになったそうです。抽象的なニュアンスも多かったことから、そこへ合わせていったとのこと。

 

来年、再来年と続けて個展を開催予定の平井さん。再来年は『熊を放つ』第2章のノートブックをテーマにされる計画中とのこと!お楽しみに。

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