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きくちまる子個展「名無しの登場者」

今週の作家さんはきくちまる子さんです。HBでは初めての個展開催となりました。きくちさんは昨年末のHBファイルコンペVol.30で仲條正義特別賞を受賞された注目の作家さんです。今回の作品は岩波文庫『イソップ寓話集』のショートストーリーを題材に描かれました。明快な表現が心地良い作品です。ぜひお越しくださいませ!

 

「猫のお医者と鶏」

今回の個展では自分の世界観だけを見せるのではなく、何か題材を元にして表現したかったときくちさん。今回題材にされた岩波文庫の『イソップ寓話』は、人間だけでなく、動物や植物、モノなどが主人公となって会話をするユニークな短い物語が多数収録されています。人間が頂点ではない、それぞれが並列して存在する世界がいいなと感じ、題材に選ばれたとのこと。

 

「鼬と鑢」

 

「太陽と蛙」

PALETTE CLUB、SIS(山陽堂イラストレーターズ・スタジオ)でイラストレーションを学ばれたきくちさん。PALETTE CLUBに入った当時はなんとなく絵が描きたいという気持ちだけだったそうですが、安西水丸さんの授業を受けたことでイラストレーターという仕事を意識するようになったとのこと。水丸さんにもっと絵を見てもらいと思い、山陽堂で開かれていた水丸さんが講師をつとめるSISへ通い始めたそうです。

ここ数年はイラストレーションにこだわらずに、自分で作りたいものを作って過ごしていたとのこと。やっぱり線をひくことが好き、ときくちさん。味わい深い線が魅力です。

 

「榛」

「ナイチンゲールと蝙蝠」

 

「病気の鹿」

HBファイルコンペでは、植物画と線画のユニークな組み合わせが仲條さんの目にとまりました。植物のスケッチをたくさん描いていた時期で、このスケッチを使って何か作品を作りたいと思ったことがきっかけだったそうです。実験的に作っていたものだけれど、自分でもとても良いなと思ったものだったので賞に入り嬉しかった、ときくちさん。デジタル作業だったため、仕上げなきゃという気持ちが無く、遊ぶように絵を作れたことが良かったのかもしれないとのこと。

 

きくちさんが絵と題字を手掛けられた本のお仕事。

夢は子どもたちに見せる仕事をすること。絵本作家・井上洋介さんの絵を見た子どもがゲロを吐いたというエピソードがお好きだそうで、それくらい感受性の強い子供たちにとって、絵はすごく大事なものだなと思ったそうです。そんな子供たちに衝撃を与えるような絵を描きたいとのこと。商業に寄せず、子ども用としてではなく何かを作ってみたい。そういう人とお仕事がしてみたいそうです。そしてずっと描くことを続けていきたい、ときくちさん。

7月にはHBで特別賞6人展も開催。また新たな試みをしたいとのこと!こちらもお楽しみに!

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