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工藤慈子個展「文字と丸-球美主義Ⅴ-」

今週の作家さんは工藤慈子さんです。HBでは約7年ぶりの個展開催となりました。すべて丸だけで絵を描く「球美主義 – キュビズム -」作品と、全ての文字が1枚に繋がる切り文字をライフワークとされている工藤さん。今回は全長7.5メートルの抽象画と、梶井基次郎『櫻の樹の下には』の全文を切り文字を表現されました。宇宙のようなスケールを感じる作品をお楽しみください!

「抽象 in 球美主義」

 

600枚もの絵がずらりと連なる巨大な抽象画。画家アドルフ・ヴェルフリの展覧会に触発されて描きはじめたというこの作品、ヴェルフリの作品のひとつに紙を継ぎ足して描いているものがあり、その繋ぎ目が格好いいと感じた工藤さん。その雰囲気だけでも感じてみたいと思い、今回の手法に挑戦されました。はじめから完成図は決めずに、模様を描いては継ぎ足し…を感覚で描き進めていくそうです。睡眠時間を削りながら約2年かけて完成。今回の展示でご自身でも初めて全貌を見ることができ、こんな模様を描いていたんだ、と驚きがあったそうです。心のままに描きたいものだけを描くことができて、とにかく楽しかった、と工藤さん。

 

『櫻の樹の下には』(切り文字)

『櫻の樹の下には』(切り文字)

 

もう一つの作品は、絵を描くよりも前から人知れず制作していたという切り文字。初めて人に見せたのは青山塾へ通っていたとき。こんなものも作っています、とこれまでの切り文字作品を見せたところ「面白い!」と良い評価をしてもらえたそうです。人に言われて初めて気づいたという工藤さん、その後は依頼されて制作することもあり、結婚式のウェルカムボードに参加者100人分の名前をすべて繋げて切り文字にした経験も。その頃から「文字を切るのって面白い」と感じ、熱心に制作するようになったとのこと。今回は春の個展開催に合わせ、梶井基次郎の『櫻の樹の下には』の全文を絵を組み合わせながら切り文字で表現されました。すべてカッターを使った手作業。少しずつ文字が切り抜かれていき、光に透かして向こう側を見る瞬間がとても楽しいとのこと。

 

『櫻の樹の下には』(切り文字)

『般若心経  宇宙』(切り文字)
今後も絵のお仕事は何でもやってみたいそうです。近い目標は、パソコンの勉強をすること。今はまだ抜け殻状態で先のことは考えられませんが、 次はたぶん具象を描きたくなると思います、と工藤さん。次回はどんな作品で驚かせてくれるのか楽しみです!

 

 

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