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副田高行賞 副島智也個展「distortion」

ファイルコンペvol.30の受賞者展、第3週目の作家さんは、副田高行賞を受賞された副島智也さんです。昨年、HBファイルコンペに初めて応募された副島さん。数ある作品の中から、ぐにゃりと歪んだ人物画が見事、副田さんの目にとまりました。今回の受賞者展に向けて描かれた新作も! 益々進化した作品をお楽しみください!

 

 

現在グラフィックデザイナーとしてお勤めをしている副島さん、以前はコンテを描くお仕事をされていたそうで、CM用のコンテ等でタレントや背景を毎日のように描かれていたとのこと。昨年の3月頃からオリジナルの絵を描くようになり、現在の作風をみつけたそうです。初めの頃はカラーで抽象的な形や文字、キャラクター寄りの作品を描いていたとのこと。学生時代に学ばれていたというグラフィティの経験を活かし、デジタルではあるものの、スプレーで描いたようなざらっとした質感やテクスチャを意識して描かれているそうです。この描き方をみつけたときは単純に面白いと感じた、と副島さん。

 

 

一乗ひかるさんや雪下まゆさん等、同世代や年下の作家さんが活躍されている様子を見て、自分はこのまま会社員でいくのだろうか…と考えるタイミングがあったそうです。自分も動いてみようと思い、昨年から様々なイラストレーションコンペに挑戦。キャラクター系やデフォルメを強調した作品で応募してみるものの、うまく伝わらず刺さらないなと感じたそうです。落選が続く中で、どうしたら人に伝わるのかを模索し続けた結果、コミュニケーションがしやすい人物をモデルにしようと決意。その間に、今昔の様々なイラストレーションや絵画をたくさん見て情報収集をした、と副島さん。コンペで受賞されている作品の5割以上は人物画だったそうです。そこからは人物の描き方をどうするか色々と描き始めたとのこと。描き進めていくうちに副田さんに評価をもらえた、リアルとデフォルメの間くらいの現在の作風に至ったそうです。

 

 

 

今回の個展タイトルとなった「distortion」には歪みやねじれといった意味が。“ゆらりぐにゃりと歪んだモティーフは、 幼い頃に見た蜃気楼の影であり、今の僕の瞳に映った景色です” 作品にはこんなコメントが綴られました。
副島さんが生まれ育った長崎は、夏になると南からじっとりとした風が吹き込むそうです。夏の緑、日差し、湿度の光…それらが今も印象に残っているとのこと。そんな幼い頃の体感が副島さんの創作の原点にあるようです。浪人時代に好きだった、画家の田中一村が描くじっとりとした陰影に魅かれるものがある、と副島さん。

イラストレーションのお仕事はこれからだそうですが、スポーツアパレルやスニーカーにまつわること、音楽関係のお仕事をやってみたいそうです。今後のご活躍が楽しみです。

 

 

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