HB Gallery

Blog

西山竜平個展「うつけのうた」

今週の作家さんは西山竜平さんです。HBでは約2年半ぶり、3回目の個展開催となりました。昨年は、讀賣新聞での連載小説『やさしい猫』の挿絵や、絵本『地球がうみだす土のはなし』の制作で毎日大忙しだった西山さん。そんな中、今回は個展のために描かれた新作を展示して頂きました!西山さんオリジナルの物語「うつけのうた」と共にお楽しみください!

(一方的に喋り続けた石板は、こちらの質問に答えることなく満足そうにサラサラと崩れて砂粒になった。細かく砕け続ける間も、石板に描かれたフクロウと目が合ったままだった。「うつけのうた ―砂どうぶつえん―」)

今回の個展では、これまでやってこなかったことや、やりたかった表現を試みることをテーマに、様々なタッチに挑戦。普段のお仕事ではなかなか新しい試みが出来ずにいたため、自分の絵のイメージが固定してしまわないためにも、これまでやってこなかったことを自分の中に取り込んでみようと思ったそうです。今回の作品は、架空の短編集「うつけのうた」という物語を作り、それぞれの短編に合わせて絵を展開。物語を書いたのは今回が初めてだそうです。

 

 

絵本のお仕事をしたことがきっかけで、物語の絵を描きたいと改めて感じたという西山さん。いつか物語と絵の両方を手掛けるのが夢だそう。装画のお仕事や、新聞小説のお仕事などで様々な文章に触れることが多く、影響を受けることが多々あるそうです。言い回しや伝え方、様々な作家の表現を読み比べられることは、物語に携わる仕事の醍醐味とのこと。

 

 

昨年はアウトプットの年だったそうで、連日、新聞連載の絵のアイデア出しや、絵本の絵を制作する日々だったとのこと。今年はたくさんのことをインプットし、自分のフィルターを通して、またさらにアウトプットすることに集中してみたい、と西山さん。お仕事の絵と自主制作の絵、どちらも大事で、どちらかが欠けてもダメだなと改めて感じるそうです。研究肌な西山さん、自分にどんな表現が出来るのか実験したくなるとのこと。死ぬまでにどんな絵が描けるのだろう、とやりたい表現がまだまだたくさんあるのだそうです。表現の幅を広げて、お仕事でも自分からアプローチしていくのが目標とのこと。

次回は来年の6月に個展開催が決まった西山さん。より自分らしさが見えるようなものを発表できたら、とのことでした。次回の作品もお楽しみに!

(朝の満員ラッシュにほとほと嫌気がさしたわたしは、高速軌道列車での通勤をやめて昔ながらのローカル線を使うことにした。「うつけのうた ―会社員山田のぼるの日常―」)