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藤井紗和個展「北の庭」

今週の作家さんは藤井紗和さんです。HBでは約3年ぶり、3回目の個展開催となりました。植物がお好きな藤井さん、ベランダの植物へ水やりをするときには、故郷である北海道旭川の風景を思い出すそうです。幼い頃によく連れられ通った旭川・嵐山の植物や、山へ向かうお父さんの背中、美しい草花たちなど、藤井さんの中に残る温かい記憶をテーマに描かれました。オイルパステルで描かれた、のびのびと心地よい筆致をお楽しみください!

 

 

広大で自然豊かな土地で育った藤井さん。都心に住んでいる今、ベランダで植物を育てることで、自分は自然が好きなんだなと感じることが多くなったとのこと。特に興味を持たれたのは庭だそうで、人工物でもなく完全な自然でもない、その間に存在しているところに惹かれたそうです。昔から庭をテーマに描かれた絵画や詩歌も多く、人には自然を身近に感じたいという気持ちや自然を愛でる気持ちが昔からあるのだなと思ったとのこと。そんな思いから今回の制作がスタートしたそうです。

庭と言っても多種多様な庭がありますが、自分が描く庭とは?と考えた時に、生まれ育ったゆかりのある土地を中心に描いてみようと思ったそうです。住んでいたお家とは別の場所にある、彫刻家のお父さんが作業場にされている鷹栖の山が、藤井さんにとっては庭のような存在だったとのこと。そこでは山ぶどうが自生していたり、まだ実はつけませんが、さくらんぼ、ぶどう、りんごの木が植わっており成長の様子を見に行ったり、草の手入れをしたりブルーベリーを収穫したり、何をするでもなく「明日は鷹栖へ行くか」と、家族みんなでおにぎりを持って作業場で食べた日もあったりと、何となく行きたくなる場所だったそうです。帰省した際にも、鷹栖の山へ行くと「北海道に帰ってきたな」と感じるとのこと。

 

 

藤井さんのお父さんの作業場がある鷹栖の山。白樺の木からは樹液を採集するそうです。

 

描かれたのは、オオウバユリ、カタクリ、エゾエンゴサク、エゾカンゾウ、オオハナウドなど北海道にゆかりのある植物や、実家で飼っていた猫のラッピー、スコップなどの園芸道具。特に植物は、特徴を出しつつ自分の好きな形になるように描くことが難しかったとのこと。のびのびとした、かわいい形になったらいいなという心持ちが大事だったそうです。見ている人にも楽しさが伝わったら嬉しいです、と藤井さん。

 

 

今回描くにあたり、地元のことを今まで以上に知ることができ、まだまだ不思議な植物や生き物がたくさん生息しているんだなと感じたそうです。これからまた面白いものを見つけて描き続けていきたい、と藤井さん。今後の作品も楽しみです!

 

 

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