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大谷美保子個展「花鳥風月」

今週の作家さんは大谷美保子さんです。HBでは3年ぶり2回目の個展開催となりました。今回はススキやヤツデ、アザミ、スズメなど身近な草花や鳥をテーマに描かれました。大谷さんならではの鋭い観察眼と、美しく繊細なコントラストと色彩をお楽しみください!

 

 

花鳥風月をテーマに、大谷さんが日々の生活で見かけた草花や鳥たちを描かれました。誰も寄せ付けない雰囲気のトゲトゲしたアザミ、横須賀で見た強い海風になびくススキ、小さく密集した世界に驚いたミツマタ、神さまのようなカラスなど、どのモチーフにも大谷さんならではの気付きや驚きが込められています。

 

 

スズメたちがお互いに話しかけているような可愛らしい作品も。カラスはまるで貫禄のある仙人のような出立ち。よく見ると羽は単純な黒ではなく、玉虫色のような、光の加減で複雑に変化する様子もおもしろかったとのこと。いつも空を見ている様子が思慮深く、何を考えているのかなと気になる存在なのだそう。どれも何気ない風景だけれど、身近にこういう生きものがいるって面白いなと思う、と大谷さん。

 

雑誌のために描かれたいちごの絵。会場では丁寧なお仕事の数々もご覧いただけます。

 

 

どの作品も構図を大事にされているという大谷さん。下描きを描く際に、綺麗に収まるところを探っていくのだそうです。色彩はコントラストが強いと違和感があるそうで、彩度と明度が自分の中で気持ちの良い範囲があり、その中で描いているとのこと。

大谷さんが草花を描きたいと思ったのは、横須賀の海辺で育つ植物を見たことがきっかけだったそうです。強い海風にも逞しく荒ぶれた感じや、ジャングルのような雰囲気も感じられ、横須賀をテーマにしたいくらい興味深かったのだそう。

 

 

自分が面白いと思ったものじゃないと描けない、と大谷さん。ただ描くのではなく、趣や情緒を表現したいなと常に思っているそうです。生きものについてまだまだ知らないことばかりだし、調べることも楽しいので、興味が続く限り描いていきたいとのこと。花鳥風月は昔からある言葉なので、今も昔も人の関心は変わらず、心惹かれて描き続けているんだなと感じたそうです。英語には訳せないわびさびや風情、日本人の中に息づいていることを自分も大切にしたいとお話してくださいました。今後の作品も楽しみです。