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佐野みゆき個展「目のまえの事」

今週の作家さんは佐野みゆきさんです。HBでは約4年ぶり2回目の個展となりました。
何気なく過ぎていく日々の中に潜んだ、ささやかな幸せを思い出させてくれるような展示です。
佐野さんを取り巻く「目のまえの事」をぜひご覧くださいませ!

 

 

Q1.佐野さんの作品を拝見すると、日常の何気ない景色や静物が、
これだけ魅力的な絵になるのだと気づかされます。
展示作品のような、佐野さんの目の前の風景が1枚の作品になるまで、
佐野さんはどのようなプロセスを踏まれるのでしょうか。

 

A.ここ最近の描きたいものは、とかく身近な風景、家の中の風景でして、家事などをしていて、ふと引っ掛かるな、この景色なんか良いな、と思ったらスマホで撮影するようにしています。
新たに絵を描き始める時は、この撮り溜まった写真の中から一枚を選び、その写真を元に画用紙に線をおこし、アクリルガッシュで描き込んでいく、というのが一連のプロセスです。
色を付けていく際は、撮った写真が入っているスマホを紙の横に置いて、小さい画面を拡大したり縮小したりしながら、そこに写っている色を画用紙に写しとっていく、というような感覚で進めています。

 

 

Q2.2019年にHBで初めての個展をされ、今回2回目の個展です。
前回の個展では川名潤さんとのお仕事にもつながったとのこと。
育児や家事で制作時間が限られている中でも、
佐野さんが個展を継続されている理由をお聞かせください。

 

A.やはり、個展にデザイナーさんが足を運んで下さり、そこからお仕事に繋がったという経験があったので、自分がやりたい仕事(書籍や広告)に携わる方に多く知られているギャラリーで発表する、という事の価値を感じています。個展をするというのは、なかなか自分としても勇気のいる事なんですが…
描いた絵はSNSでも定期的に公開していますが、展示だと、お仕事とは関係なく絵が好きで、と来て下さる方に直接原画をみてもらえる機会にもなるので、自分の今後の制作の励みにもなります。定期的に発表していく、という事を無理のない範囲で続けていけたらな、と思っています。

 

 

Q3.今回の個展では生活の風景にお子さんの姿や持ち物などが加わりましたね。
息子さんが生まれてから、ご自身の制作スタイルに変化はありましたか?
今後も息子さんを描かれていきたい気持ちや、
息子さんへの思いなどはありますか。

 

A.子どもが生まれてから、描きたいものが何か劇的に変わったという事はありませんが、以前と変わらず身の回りのものを描いていたら、自然と子どもの絵が加わってきたり、モチーフに子どもにまつわるおもちゃや食べ物が入り込んで来ている、という感じです。
自分にとって「思い出」になるようなものが絵として残っていくのは、自分で描いておきながらなんとなく嬉しいです。
ただ、あまり気持ちを入れ過ぎると、「思い出の絵」になってしまって絵として見る人から閉じてしま
う気がするので、あくまでモチーフの一つとして捉えたい、と思っています。

 

 

Q4.iPadで描かれた息子さんの絵をSNSに投稿したことがきっかけで、
『名もなき子』(水野梓著・ポプラ社)の装画のお仕事につながったそうですね。
息子さんをデジタルで描かれた経緯を教えてください。

 

A.一人目の子どもだったので、生まれてからしばらくは、なかなか絵を描く余裕がなく、気軽に描き始めれるデジタルで、アナログでやっていた事と同じような描き方をしてみようと、隙間時間に描いていました。何を描こうかとスマホの中の写真をあさっていたら、案の定子どもの写真ばっかりだったので、なんとなくそれを描きはじめた、という感じだったと思います。
その絵がきっかけで、「子どもの後ろ姿を描いて欲しい」という装画の依頼を頂けたので、忙しくて何にもできない!なりに、5分でもやれる事を続けることの大事さを感じました。

 

 

Q5.今回の個展では、展示作品をまとめたZINEを制作されました。
今後も作品集づくりをライフワークとされたいそうですね。
そう思われるようになったのはなぜでしょうか。

 

A.昔から、自作の漫画雑誌を友達と作ったり、何か冊子を発行する、みたいなのに憧れがあって、そういう事を継続的にしたいなと思いつつ出来ていませんでした。今回の展示では、なんとか作品集をまとめる事ができたので、これを機に毎年一冊発行、のような事ができるといいです。
ZINE制作は営業ツールとしても良いですし、制作のモチベーションやテーマ設定のきっかけにもなるので、定期的に発行して、毎年楽しみにしているよ、という方を増やしていけたら良いですね。

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