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5月2023

しまだたかひろ個展「しろとくろ」

今週の作家さんはしまだたかひろさんです。HBでは3回目の個展となりました。
しろとくろで統一された、モノクロのコミカルな原画をお楽しみください!

一部展示作品はオンラインショップでもご覧いただけます。
http://hbgallery.shop-pro.jp/

 

 

Q1.
昨年4月のHB個展ではアナログとデジタル、カラーとモノクロ、双方の対照的な展示構成が印象的でした。
今回の個展は全て白黒作品で、画材も画用紙に墨汁とアナログの手法を取られています。
今回そのようにされた理由を教えてください。

 

A1.
白黒なのは、前回はカラフルな作品だったから、というすごく単純な理由です。
前回の展示作品も転写でしか出せない風合いを持った作品で、あれはあれで良い作品だな〜と我ながら思いますが、もう少し強度のある絵にしたいなということで今回は手描きにしました。(下書きまでの作業は完全にデジタルなんですが)

 

 

Q2.
しまださんは3回目のHB個展となりました。
お仕事の合間を縫って個展を開催される理由や目的をお伺いできますか。

 

A2.
認知を広げる、というのが最大の目的です。
それは別にデザイナーさんや編集者さん等のお仕事をご一緒する可能性のある方に向けて、ということではなく、趣味で絵を描く人や絵を見るのが好きな人、何ならそういうことに全く興味のない人まで、直接ギャラリーに足を運んでいただくまでは至らなくとも、「こんな絵描いてるしまだって人がいるよ〜!」ということを少しでも多くの人に知っていただけたら それがベストだと思います。

 

 

Q3.
自由な作風とポップな線画が魅力のしまださん。
しまださんはwebや書籍、雑誌などで幅広くお仕事をされていますが
お仕事の絵は全てデジタルで制作されているのでしょうか?
アナログとデジタル、線を描く感覚に違いを感じることはありますか?
A3.
仕事で描く場合は、クライアント側から特に要望がなければフルデジタルで作業しています。
納得するまで何度でも早急に修正できるデジタルは、締切という期限がある仕事においては非常に便利だなと思います。
ほとんど一発勝負になるアナログは、緊張感が加わって画の強度を高めてくれるなと感じます。
一長一短あるので、どっちかに比重を置くよりはシチュエーションや目的で使い分けするのが良いと個人的には考えてます。

Q4.
ますます活躍が期待されるしまださん。今後の展望を是非お聞かせください。
イラストレーターとしてのお仕事はもちろん、
どのような表現者でありたいですか。

 

A4.
基本お仕事はいただければ何でも嬉しいですが、2歳になる甥がいるので子供向けのお仕事が何かできると良いなと思ってます。「これ、おじさんが描いたんやで」って言いたいです。
イラストレーションの仕事は勿論、並行してオリジナルの作品も評価していただけるようになれたらなと。
どちらにせよ、作品の魅力がなければお話しにならないので、今後も精進あるのみです。

インタビュアー 須貝美和

柊有花個展「月はわたしたちを照らしている」

今週の作家さんは柊有花さん。HBでは2回目の個展です。
会場では、ニュースレター「海辺の手紙」や特製のハーブティーなど、柊さんならではの素敵な物販もございます。
ぜひ、柔らかな月の光に包まれた作品たちに会いに来てください。

一部展示作品はオンラインショップでもご覧いただけます。
http://hbgallery.shop-pro.jp/

 

Q1.

今回HBでは2回目の個展ですが、
柊さんは全国各地で個展を開催されていらっしゃいます。
昨年のにじ画廊での個展では、絵と詩を展示されたほか、演奏会なども催されたりと、
ギャラリーへ訪れる方に絵を観る以外の楽しみを提供されているように感じます。
柊さんにとって個展を開催することは、どのような意味を持つのでしょうか。

 

A.

日々忙しくしていると、いろんなことをこなすことで精一杯になることも多いと思います。わたし自身、生活と制作とのバランスはいつもむずかしいなあと思っているのですが、個展にいらした方が目や耳や鼻などいろいろな感覚を通じてほんのひとときでも静かな自分に戻れるような場所を作れたらいいなあと思っています。以前訪れたパリのマドレーヌ寺院がとても静かであたたかく、光と影に包まれていて、個展の場づくりを考えるときにはその場所がいつも頭の片隅にあります。


Q2.

柊さんのモットーである「見えないものを形にし、誰かに何かを届ける」についてお聞きします。
見えないものが形づくられる制作過程はどのようなものでしょうか。
具体的な資料集めなどはされますか。
また、誰かに届けるために意識されていること、心がけてらっしゃることはありますか。

 

A.

普段誰もが触れたり感じたりしているけれど、忙しい時間のなかでどんどん流れていってしまう、形のないささやかなものを形に託してとどめておけたらいいなあと思っています。
そのために自分の暮らしをしっかり味わうことがむずかしいけれどとても大事で…。
暮らしのなかで思いついた言葉や場面を手帳に書き留めておいて、
それを参照しながら制作することが多いです。
書き留める段階では主観を大事にしつつ、制作においては普遍的なものへひらいていければいいなと思っています。

 

Q3.

イラストレーターとして独立されてから、
1日の時間をどのように過ごされていますか。
毎日の制作時間や生活リズムをお聞きしたいです。

 

A.

朝は家のことをやって、10〜11時くらいに散歩・喫茶店でアイディアを練ります。
帰宅して食事をとったあとは18〜19時くらいまで作業するというのが最近のルーティーンです。

 


Q4.

柊さんはイラストレーターとしてはもちろん、詩人として
画文集を出版されたり、noteやポッドキャストなどで、
言葉を使った表現活動もされています。
柊さんが「詩人」と名乗られるようになったのはいつ頃からでしょうか。
何かきっかけはありましたか。

 

A.

絵を描いているなかでいろいろ考えごとをするのですが、
そのなかで絵を通して詩を書きたいのだな、ということが最近の発見で。
同時に詩を使って絵を描きたいとも思っていて、
わたしにとって絵も、言葉も、詩のなかに含まれているんだと思ってから
詩人という言葉を使うようになりました。
ただ、自分にふさわしい言葉なのかな?とつねに考えてしまうので名乗らないときもあるのですが、
生きることに対する姿勢そのものが詩を書くひとのようであれたらとはいつも思っています。

 

Q5.

今後の活動予定や、イラストレーター、詩人としての柊さんの展望などをお聞かせください。

 

A.

絵本を作りたいです。画文集も新しいものを作りたいです。

 

インタビュアー 須貝美和

花村信子個展「リリック」

今週の作家さんは花村信子さん。HBでは2回目の個展です。
儚げで優しい雰囲気の人物画をお楽しみ下さい!

一部展示作品はオンラインショップでもご覧いただけます。
http://hbgallery.shop-pro.jp/

 

Q1.

今回の個展のタイトル「リリック」にはどんな思いがこめられているのでしょうか。
個展のテーマについてお伺いしたいです。

 

A.
「リリック」は歌詞カードの様な一枚の絵を描きたいとタイトルに決めました。
個展のテーマは人物です。

 

Q2.

2021年のHB初個展では、一輪挿しに飾られている花をイメージした人物を描かれ、
作品に花の名前を付けられました。
今回は一転、アルファベット1文字のタイトルにされています。
そのようにされた理由はなぜでしょうか。

 

A.
「リリック」と題しているのもあり、題名をつけるとイメージを牽引してしまうのではと感じ、
どこか無機質な印象にしたくて、タイトルはアルファベット一文字にしました。

Q3.
花村さんは挿絵など、文芸のお仕事を数多く手がけられてらっしゃいます。
物語に絵を付ける仕事において、何か心がけていらっしゃることなどはありますか?

 

A.
読んでいただく導入の部分を担うので、ついつい深く考えてしまうのですが、
感情移入しすぎず、少し距離をとり俯瞰してみる様心がけています。

Q4.
花村さんはこれまでも人物画を多く描かれてきましたね。
花村さんが絵にしたい、描きたいと思う人物はどんな人物なのでしょうか?

 

A.
その方の個性は語らずして現れると思っているので、絵が喋りすぎない様心がけています。
絵にしたい人はその時によって様々です。

Q5.
2年後にまたHBで個展を開催されるとのこと。
次回の抱負や目標などをお聞かせください。

A.

HBで個展をさせていただくことは、自分の目標でもありモチベーションを保つ要因になっています。2年後またご覧になっていただける様、描き続けていきたいです。

インタビュアー 須貝美和

西山寛紀個展「IN THE MOMENT」

今週の作家さんは西山寛紀さんです。
いまの季節にぴったりな、爽やかでのびのびとした心地よい作品をぜひご覧ください!

展示作品はすべてオンラインショップでもご覧いただけます。
http://hbgallery.shop-pro.jp/

 

 

Q1.仕事を削りながら個展作品の制作をされたそうですが
今回のHB個展は西山さんにとってどのような思いがありますか。

 

HB GALLERYは2018年のHB FILEコンペの副田高行賞以来5年振りでした。人生初の個展もHB GALLERYだったので、自分にとってはホームというか思い入れの深い場所です。
この5年間でさまざまな場所や環境で展覧会を開催したのでその経験が良い意味で反映できればいいなという思いで臨みました。
原画の支持体や大きさに対する考え方も5年前とは大きく変わりました。

 


Q2.西山さんは「日常」をテーマに描かれていますが、
個展タイトル「IN THE MOMENT」にされた理由をお聞かせください。

 

「日常を讃えること」がここ数年の個人的な絵のテーマで、今回の「IN THE MOMENT」もその一環の制作になっております。
今年の年明けにフィルムカメラを購入して自分の日常も撮るようになりました。

撮影時に何枚も撮ってすぐ見直したり補正ができるデジカメと違い、限られた枚数を無駄にしないよう一瞬を丁寧に一枚一枚切り取るように撮影する体験が新鮮でした。
自分にとって良いと思える写真が撮れる天候や時間帯は限られています。

特に自分の部屋で撮る場合は、光と影の関係がきれいに写る晴れた日の午前中がゴールデンタイムで、一枚一枚撮影する中で何げない一瞬も有限であることを改めて感じました。その時々に感じた空気感をより良いかたちで絵に反映させたいという意識が制作のモチベーションになったように思います。

今回作品を描く上では「シーン」というより「瞬間」のニュアンスをより強く意識したのでタイトルは「IN THE MOMENT」としました。

 

 

Q3.DMにも使われている作品「DAY LIGHT」を制作されていたときにレコードで流されていた曲は何でしょうか?
その曲を選ばれた理由も併せてお伺いしたいです。

 

James Ihaの“To Who Knows Where”ですね。晴れた日にぴったりで好きな曲で好んで流しながら制作していました。

以下の楽曲も最近の制作中によく聴いています。

Bat for Lashes “Desert Man”

Mount Kimbie “Human Voices”, “Black Stone”
Pinkshinyultrablast “Songs”, “The Cherry pit”

Tycho “Adrift”, “Whether”

 

 

Q4.仕事ではデジタルで制作されているそうですね。
展覧会などで発表されるアナログ作品の制作において、
何か意識されていることはありますか。
デジタルとアナログではどのように差を付けていらっしゃいますか。

 

自分は色と形による構成というとても汎用性のある作風なのでデジタル作品もアナログ作品も絵のディテール、内容で意識していることは基本的に同じです。
仕事でのデジタルで制作した作品はメディア(ポスターや装画、WEB)の正確な原稿として、アナログ作品は1点ものの作品として捉えています。

アナログ作品は支持体の種類、絵の具の調合や質感、塗る工程や厚みなど、自分の細やかな選択がよりダイレクトに反映されるので、それらを含めた「物体」として気に入るかどうかを特に意識して制作しています。

 

 

Q5.昨年のLurf MUSEUMからキャンバスに絵を描かれるようになったそうですね。
キャンバスでの制作は今後も継続されますか?
今後、挑戦されたいと思ってらっしゃる表現方法などはありますか?

 

キャンバス作品はガラス越しの額装をせず、絵の質感を剥き出しにして飾ることができるので気に入っています。大きな作品でも自分でキャンバスを張って制作できるので今後も続けていきたいと考えております。新しくやってみたいのは陶器などの立体作品ですね。仕事ではブランケットなど、日常使いできるアイテムも制作してみたいです。

 

インタビュアー 須貝美和