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6月2023

藤原なおこ個展「MOGU MOGU MOGU」

2023年6/23~6/28に行われた、藤原なおこ個展「MOGU MOGU MOGU」
藤原さんはHBでは初めての個展です。たべものをテーマに楽しいアイデアの作品が盛りだくさんの展示でした!ぜひこちらのブログインタビューでも展示の様子をお楽しみくださいませ。

一部展示作品はオンラインショップでもご覧いただけます。
http://hbgallery.shop-pro.jp/

 

Q1.
現在は書籍や雑誌、広告など、幅広い媒体でお仕事をされている藤原さん。
案件によって求められるモチーフは様々ですが、何を描かれても一目で藤原さんの絵だとわかります。
お仕事の絵を進める上で、藤原さんが大事にされていることなどはありますか?

 

A1.
求められているものをちゃんと描くことに一番意識を向けています。
ちょっと難しいテーマだったり固い印象のものを柔らかくシンプルにして欲しいという
ご要望が多いのですが、それに答えつつ案件によってきちんと感も加えたり
クスッと笑える面白い感じのニュアンスを足したりと、ヒアリングしたことに
「こういうものをイメージされてるかな」と答え合わせしにいくような感じだと思います。

 

 

 

Q2.
オリジナル作品ではコラージュやアニメーション、
カレンダー制作など、様々な表現手段でご自身の絵を具体的な形にされています。
お仕事とは別に、このような創作活動を積極的に行われている理由や目的などをお伺いできますか。

 

A2.
オリジナルの作品は自分のために描いているような気がします。
その時に気になっているものを描いたり作ったりしては満足するんですが
グッズを作って販売したり展示をするのは、それを誰かも気に入ってくれたら嬉しい、
というやっぱり自分のためが原動力になっていると思います。
なのでオリジナル作品からお仕事に繋がっていくのはとっても嬉しいです。
カレンダーも元々は自分の「作ってみたい」という気持ちからでしたが「毎年楽しみにしている」と
言ってくださる方がいるのが嬉しくて10年近く続けられています。

 

 
Q3.
イラストレーターとして1日の時間をどのように過ごされていますか。
お仕事の時間帯や生活リズムをお聞きしたいです。

 

A3.
会社員時代があったせいか、9時-17時みたいな生活リズムをずっと続けています。
お仕事の返信が夜に来ることも多いので夜も稼働してるのですが、あまり大きく
リズムを崩すことはないように思います。
最近は座りっぱなしはやばいと気づき、1時間に1回は立って動いたりストレッチを
するようにしていますが頻繁に忘れがちです…
Q4.
今後の発表予定や挑戦されたいこと、
イラストレーターとしての展望などをお聞かせください。

 

A4.
今回の展示でプロダクト作品を多く作った経緯でもある、パッケージイラストや
雑貨商品などのお仕事に携われたらと思っています。
展示で生まれたキャラクターの漫画の続きや絵本なども制作していきたいし、
アニメーションもやってみたいことのひとつです。
作ることが好きなので、ただ絵を描くだけでなく色んなものに自分のイラストを
落とし込んでいきたいと思います。

 

インタビュアー 須貝美和

亀山和明個展 「鎌倉の海へようこそ。」

今週の作家さんは亀山和明さんです。
HBでは初めての個展です。日々変化する鎌倉の海の一瞬を切り取った作品をお楽しみください。

一部展示作品はオンラインショップでもご覧いただけます。
http://hbgallery.shop-pro.jp/

Q1.
亀山さんは20年もの間、グラフィックデザイナーとして活躍されたのち、
2002年に画家へと転身されました。そのきっかけは何だったのでしょうか。

また、海を描くために鎌倉へ移住されたそうですね。
その後描き続けられた鎌倉の海の作品点数は約4,200点以上にものぼります。

今回のHB個展でも海がテーマですが、
亀山さんにとって「海」とはどのような存在なのでしょうか。

A1.
まだ時代もイケイケで、昼夜逆転当たり前だったデザイナー生活から、画家に転向したキッカケは、休暇に訪れたハワイの自然でした。朝陽で目覚める。夕陽と飲むビール。真っ青な海。満天の星空。都会の中でクタクタだった僕にとって、自然と共に過ごした数日は忘れられない時間となり、この先はそんなふうに生きたいと思ったんです。
なので鎌倉に移住して、海をテーマに絵を描こうと考えたのは自然な流れだったと思ってます。
そして、いざ描き始めると海ってやつは、刻々と変わる表情、色合い、時間帯、季節、自分の心の有り様によっても見え方が変わってしまう果てしなく手強いモチーフだと気づかされたのです。
5000枚近く描いたものの、未だ満足には至らずといった所。
きっとこの先も、もしかしたら生涯追い続けるテーマなんだと思います。惚れちゃったから仕方ないんでしょうね。

Q2.
亀山さんは各地で毎年個展を開催されていますが
HBギャラリーでは初めての発表となります。
長く展示経験を積まれてきた亀山さんから見て、
HBギャラリーはどのような印象でしょうか。
今回、HBで展覧会を開催する目的などもお聞かせください。

A2.
とても使いやすい、開放的なギャラリーですね。
ギャラリー自体のファンの方も多いようなので
僕にとっての新しい出会いに期待しています!
表参道では、初の展示なので、はじめましての意味も込めて、活動初期から現在までの作品を展示してます。

Q3.
精力的な制作と作品の発表を何年も継続されている亀山さん。
続けることが一番難しいことだと思うのですが、
亀山さんの継続力の源は何でしょうか。
制作と発表を続けていくために、大切にされていることなどはありますか。

A3.
自分がやってる事、自分の作品を好きでいる事、信じてあげる事が大事だと思っています。その、根っこにあるのは、感動です。海や空の光景に感動して、表現したいと思えば、作品は生み出せる。でも感動がないと何も描けません。
僕の場合は、日々海に通って感動の種をチャージしてます。
あとはやりやすい形を見つけて楽にやる事でしょうか。苦しい事で頑張ると折れてしまうので、楽しいと思える事を楽しくやってればいいと僕は思ってます。
そのうち、気づいたら積み上がってる、、みたいなのがいいんじゃないでしょうか。

インタビュアー 須貝美和

青山功「where are u now ?」

今週の作家さんは青山功さんです。aoyamaisao.com

青山さんの初個展、心地の良い海辺の風景をお楽しみください!

Q1.
既にイラストレーターとしてご活躍なさっている印象ですが、
個展は初めてですね。グループ展と個展の違いや、初個展開催の経緯をお聞かせください。

まだ活躍しているとは思っていません。個展開催については、絵を習い始めて6〜7年がたったのでひとつの句読点みたいなものです。今回の個展で少しは自分の立ち位置とかがわかるのかなぁと思ってます。タイトルの”where are u now ?”は自分への問いかけでもあります。
 個展だとグループ展と違い自分だけの空間が出来るのでそこは嬉しいけど、責任感も感じます。
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Q2.
ゆったりと心地良い時間が流れる青山さんの作品。
実際に海の近くにお住まいの青山さんは、日常的にサーフィンもされているとのこと。
海で過ごす時間はご自身の絵にも影響があると感じますか?

自分にとって合った環境に身を置くことはすべてに大きく影響していると思います。色々な面でバランスを取れてるような気がします。
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Q3.
車やバイクなどの乗り物は複雑な形のモチーフですが、
青山さんは基本的に下描きなしで絵を描かれていますが、
絵の制作過程や、下描きをされない理由などあればお教えください。

自分の絵は色合いが淡いので、下書きをすると鉛筆の線が見えてしまうのもあるのですが、大概最初の線の方が良いことが多いので、そこは下書きより絵の具の方に取っておきたいなと思ってます。
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Q4.
青山さんの1日の生活リズムや過ごし方を教えてください!
(絵の制作時間の確保、サーフィン、etc…)

家で仕事をする日は朝起きて海を見に行きます。頭と身体が起きるのと、波のチェックのためです。潮の動きと波を見て仕事と海に入るタイミングなど考えます。
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Q5.
今後はイラストレーターとしてどのような活動をしていきたいですか?
(展示予定や最近のお仕事などもお聞かせください)
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 とりあえず今のところは大きい展示は予定無いです(少し前の絵で国内とTISの香港の展示に参加予定です)。
 今回の展示で少しでも仕事の幅が広がればいいなと思っております。
漠然としてますが、なるべく多くの人の目に触れるような媒体の仕事ができたらと考えております。
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青山さんのお優しいお人柄や、日々の海沿いでの心地よい暮らしが絵に溶け込んで
とても気持ちの良い空間となっております。明日は最終日、ぜひお立ちよりくださいませ!

陣内昭子作品展『樹』- The Tree with Me -

今週の作家さんは陣内昭子さんです。HBでは2回目の個展となりました。
陣内さんにとっても初の試みとなる大作の掛け軸など、見応え抜群の展示です!

一部展示作品はオンラインショップでもご覧いただけます。
http://hbgallery.shop-pro.jp/

 

Q1.
昨年3月のHB個展では作家としてのキャリアをスタートするアクションと位置付けられました。
2回目の個展はどのような思いで準備に取り組まれましたか。
また、今回の個展タイトル『樹』- The Tree with Me -についても教えてください。

 

A1.
何事にも言えるのですが、始めることより続けることの方が大変だと思っています。
2回目は、今後の自分の制作スタイルを見ていただく個展と位置付けて制作しました。
まずは、テーマ設定から。最初の個展の中心だった絵本の準主役、木馬の母親の「くすのきのきりかぶ」
に想いを馳せて、個展タイトルを決めました。

 

Q2.
入った時にまず目に入る大きな樹の絵。
こちらは実在する樹木なのでしょうか。

 

A2.
これは最初に描いた絵で、『My Mentor』と名付けました。
F80のキャンバスにアクリルで描いています。
近所の公園にある実在の欅(けやき)で、毎日に前を通るたびに挨拶をしています。
樹肌が自然と剥がれて、雨に濡れると色鮮やかなオレンジが現れ
美しい模様が魅力。
どんな時にもそこにいて、動じずに私を受け止めてくれる存在です。
そこにいてくれるだけで感謝したいキモチを象徴する作品にしました。

 

 

Q3.
絵本「ふうちゃんとミーのぼうけんのうた」で用いられたステンシルによる表現は
陣内さんの作品の魅力の1つですね。
今回の展示作品ではステンシルに加え、紙版画も用いられています。
そのような表現方法に至った理由を教えてください。

 

A3.
ステンシルで描く時の線は、面の境界線になります。色面で構成する画面がしっくりとくる気がして自分の好きな技法になりました。
ただ、今回は見上げるような樹を描くために長い画面にする必要があり、最初は、ステンシルで樹のラインを描こうしましたが、
型の制約(ドーナツ状にはできないなど)を守ると、思い描いていたイメージと離れてしまいました。
そこで何か方法はないかなと考えているうちに臨床美術の仕事で、高齢者の方と一緒にやっている紙版画を思い出しました。
紙を自由な形に切れ、線が伸びやかになること、紙の質感の差が和紙の上にテクスチャーとして現れて、
樹肌のテクスチャーと重なることから「これはイケる!」と取り組みました。掛け軸の長さや仕立て方法など、
課題はありましたが、手応えを感じています。

 

 

Q4.
アートディレクター、臨床美術士、絵本作家としてキャリアを積まれてきた陣内さんが、
今後目指していかれるビジョンや姿はどのようなものでしょうか。

 

A4.
職業上の肩書はあまり気にしていません。
ただ、作家としてスタートしたという覚悟はしっかり維持していこうと思います。
作品を作って発表する行為は、これまでの自分の経験を総動員し、
さらけ出す行為で、ある意味恥ずかしく勇気がいることです。
でも、それだけに自分がやってきたこと全てが必要だったと自己肯定にも繋がるとも感じています。
昨日の来訪者のおひとりから「一度釜の火を落とすと良い火加減になるまで時間がかかる」と名言を頂きました。
苦しくても1年に1回は個展をやり続けてみようと思っています。
しばらくは、『樹』のテーマは続けていくつもりです。

 

インタビュアー 須貝美和