安里貴志個展 「fragment」
今回ご紹介するのは、2024年5/31~6/5に個展を開催された安里貴志さんへのインタビューです。
HBギャラリーコンペでも賞を受賞され、注目されている安里さん。
独特のテクスチャで描かれた作品で素敵な展示空間にしていただきました。
そんな安里さんならではの作品はどのように制作されているのか等お聞きしました。
会場の様子をインタビューとともにお楽しみください!
展示作品はオンラインショップでお取り扱い中です。
http://hbgallery.shop-pro.jp/
https://www.instagram.com/takashi_asato/
現在の画風に至るまでに、ペンやクレヨンなど様々な画材で
グラフィックデザインやイラストレーションの研究を重ねてこられた痕跡が伺えます。
安里さんがこれだけの試行錯誤を継続できた理由はなぜでしょうか。
また、安里さんが制作を通して追い求めてきたテーマや、
表現したいこと、見たい景色などがあれば是非お聞かせください。
それを解消するのに日々の実験や研究はちょうど良かったというのはあります。
あと、1日1枚制作している時期は短時間で描くしかなかったので、
他のイラストを見てこんな感じにしたいとか考える間もなく、自分の絵に向き合うことしかできなかったのが良かったと思っています。
頭の中にある方法や感覚で描いていく中で、遊びを加えたり、発見があったりと自分なりの楽しみに繋げられたからこそ継続できたのだと思います。
また、これまでやってきた実験、制作を通して、自分のコントロールできないアナログ感や偶然性に魅力を感じているので、そういった予定調和ではないところを楽しんでいきたいなと思いました。そして、日常の繰り返しの中にある少しの変化やちょっとした喜びを表現できたらいいなと今のところ思っています。
前の質問の答えとも少し重なるのですが、デザイナーとしても社会人としても何もできず、何か武器になるものがないと不安だったので、イラストのスタイルを作っていこうと思って取り組み始めました。結果的に、大衆に向けての広告デザインに対して好き勝手に自分の趣味趣向に合わせたイラストを描いてみたことが、仕事とのバランスがとれて良いチャレンジになったとは思います。
作風については、自分の好きな映画や音楽の、抑揚の少ない穏やかな感じに合うテンション感でありたいと思っているので、自分の好きで落ち着くところを確かめながら絵とすり合わせています。
また、影響というほどではないかもしれませんが、アウトサイダーアートという位置付けの作品を見た時の感動を今でも覚えていて、糸を執念深く縫い続けたり、緻密で色鮮やかな点を打ち続ける作品たちから伺える、純粋な行為としての作品作りに、憧れというかリスペクトがあります。その個人的なこだわりを貫くスタンスから学び、現在の色鉛筆の線をしつこく複製してテクスチャとして用いる手法に繋がっている気はします。
お仕事で言うと、商業施設のビジュアル、パッケージもやってみたいですし、温度感や柔らかな空気感のあるイラストなので、ファッション系や香り系の微妙なニュアンスの表現も得意かと思います。ぜひやってみたいです。展示の機会があれば色々な場所でやりたいと思っていますし、その都度作品として表現方法や技法など、何かチャレンジしていきたいとも思っています。
インタビュアー 須貝美和
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