11月2024
今回ご紹介するのは、2024年11/8~13に個展を開催された霜田あゆ美さんへのインタビューです。
絵の具や切り絵など、様々な方法で制作された作品で、素敵に会場を彩ってくださいました。
特にアップリケの作品はとても可愛らしく魅力的です。
個展タイトル「あんのんと暮らす」に込められた思いもお聞きしました。
会場の様子をインタビューとともにお楽しみください!
展示作品はオンラインショップでお取り扱い中です。
http://hbgallery.shop-pro.jp/
ー個展「あんのんと暮らす」では
毎日が平穏に過ぎていきますようにという霜田さんの気持ちが込められた作品が
絵の具や刺繍作品、切り絵など、様々な手法を用いて制作されています。
霜田さんが個展のタイトルにあるように、
「出来るだけあんのんと暮らしたい。」
という想いに至った経緯や理由をお伺いできますか?
まあ、ニュースなんかを見ていると暗澹たる気持ちになるじゃないですか。
環境問題も不安だし、災害も多いですしね。
こんなのんきな絵をいつまで描いていられるんだろう?と
遠い目になったり、いや、こんな絵を描ける安穏な暮らしを大事にしなくちゃ!
なんて鼻息荒くなったり。
…ということで「安穏」をひらがなにしてマイルド(?)なタイトルにしました。
ー展示会場では霜田さんが装画を担当された、
いしいしんじさんの小説「ぶらんこ乗り」のアップリケによる刺繍作品が展示されています。
この時に初めてこちらの技法で仕事をされ、
当時はまだアップリケに苦手意識をもたれていたそうですね。
「今年とつぜん好きになりました」とおっしゃる霜田さん。
苦手だった時と現在では霜田さんの意識にどのような変化があったのでしょうか?
意識の変化というより、老眼が進んだという身体的な変化がきっかけでしょうね。
老眼の進み具合と同時に、いろんなことが「だいたいこんな感じでいいや」という心境になりまして。
アップリケの縫い目も雑でいいのでは?と思ったら、急に楽しくなりました。
布を大まかに切ってまち針で軽く止め、縫いながら形を決めて行ったらストレスがなかったんです。
そもそもわたしは、メキシコとかラオスの雑貨、こどもの絵の「下手さ」が好きなんですね。
それなら自分の絵も「下手」がいいじゃんと。
好きなことをやったほうが楽しいですしね。
ー霜田さんは画家のアンリ・マティスがお好きで、
絵の具やコピックでマティス作品の模写もされていますね。
霜田さんがマティスを好きになられたきっかけは何でしたか?
作品を制作する上で、マティスから影響を受けたことはありますか?
わたしは美大や専門学校の出身ではないのですが、画材店に就職しました。
それがちょっとコンプレックスで、暇な時間にお店の本棚の美術書を開いて見ていました。
お店には展覧会のチケットがよく送られてきていて、じゃんけんに勝ってマティス展のチケットをもらい観に行きました。
そこでマティスの絵は好みだと気づきました。
28歳で安西水丸さんの教室に通うようになってから、好きな絵の模写がいちばん勉強になると知りました。
コピックは会社のオリジナル商品で身近だったので、社員割引で買ってずいぶん使いましたよ。画材店で働いて良かったです。
マティスの色づかいや筆のタッチは取り入れたいなあと思って、時々画集を眺めます。
ー霜田さんが今後挑戦されたいこと、
イラストレーターとしての展望などをお聞かせください。
やりたいな思うことは割りとすぐやってみるほうで、手法はずいぶん広げてしまったので、
次に個展をするとしたら、テーマとか絵のモチーフで何か挑戦してみたいかな?
イラストレーターとしての展望…うーん、絵を頼まれて答えをだすのに精一杯、って感じです。
でも、最近は仕事もなるべく気楽にやろうと思っています。
インタビュアー 須貝美和
2024年11月16日 1:30 PM |
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今回ご紹介するのは、2024年11/1~6に個展を開催された山口志のぶさんへのインタビューです。
四季を感じる蜜蝋画で制作された作品で、素敵な展示空間にしていただきました。
蜜蝋画ならではの独特のテクスチャはずっと観ていたくなります。
以前は違う画材で制作されていた山口さん。
蜜蝋画を始められた経緯もお聞きしました。
会場の様子をインタビューとともにお楽しみください!
展示作品はオンラインショップでお取り扱い中です。
http://hbgallery.shop-pro.jp/
ー山口さんは2回目のHB個展となりました。
2022年3月の個展「蜜蝋と版画」でも
蜜蝋を使った版画作品を展示されましたが、
今年の個展は前回の版画形式とは違う技法とお聞きしました。
具体的にどのような点が異なるのでしょうか?
前回の技法は紙とアイロンを使った版画技法で今回の作品は木製パネルに描いた作品を加えました。
大きく違うのはアイロンを使わずパネルに描いたそのものが作品になるところです。
紙技法は紙に溶かした蜜蝋を薄く塗り、ニードルなど鋭利なもので引っ掻いて絵を描き、その溝に絵の具を擦り込みます。
できたらその上から別の紙を重ね上からアイロンをかけます。
すると余分な絵の具と蜜蝋が重ねた紙に吸い取られ、溝にすり込んだ線だけが残ります。
パネル技法はまず下地を塗り、そこに溶かした蜜蝋を塗って引っ掻いて絵を描きます。
ここまでは同じですが、パネルの場合はこれが作品となります。
ー山口さんが今回の個展「蜜蝋画と四季」で、
四季をテーマにされた理由をお伺いできますか。
昨年蜜蝋画で初めていただいたお仕事がカレンダーでした。
それまでも蜜蝋画でカレンダーを作っていたのですが、植物や食材など季節のものが表
現しやすい技法でした。
そして近年の異常気象によって日本の四季がなくなりつつある中で、改めてそれぞれの
季節を大切にしたいと言う願いを込めて今回の展示を開催しました。
ー山口さんは電線や路地をモチーフに
これまでの個展でも風景画の作品を発表されてきました。
リキテックスとペンで数々の風景を描かれてきた山口さんが
蜜蝋画を始められたきっかけは何でしたか?
また、山口さんが感じる蜜蝋画の魅力を教えてください。
イラストレーターはお仕事上クライアントさんの意向を反映するために思うように描かなければなりません。
実際私も考える通りに絵を描いてきました。
でもそうなるとやはり表現がパターン化して面白みもなくなってきます。
それに比べ蜜蝋画は使い慣れないニードルや描き慣れない蜜蝋の質感、
そしてアイロンや色付けなど全て出来上がるまでどのようになるか分かりません。
思うように描けないのが面白いと感じました。
ー会場でも展示されている、
片山鋲螺工業株式会社さんの今年のカレンダーのお仕事では
ネジやボルトなど、企業が製造されている製品が、
季節のモチーフと共に山口さんの蜜蝋作品で見事に表現されています。
これまで描いたことのないモチーフを、ご自身の世界観で表現するために、
山口さんが工夫されたことや、逆に苦労されたことなどはありますか?
ネジを描くのは非常に面白かったです。
いいモチーフだなと思いました。
どの月にどのネジを使うか被らないように考えるのは大変でしたが楽しみながら作業できました。
一度に描いてしまうと修正が効かないので線、色、背景を全てバラバラに描きパソコン上で重ねるといった工夫もしました。
あとは印刷の段階で微妙な蜜蝋の色合いを出してもらうのも大変でした。
その甲斐もあって、大変好評で増刷されたとか。
嬉しいことです。
ー山口さんは2026年に銀座で個展を予定されているとのこと。
今後の画家としての活動はもちろん、
イラストレーターとしての展望などもお聞かせください。
とにかく蜜蝋画は原画を見てもらいたいと思いました。
あの独特の柔らかい質感は印刷や画像ではなかなか伝わりにくいと思います。
なので蜜蝋画は原画を楽しんでもらいたいと思い販売目的で画廊を選択しました。
蜜蝋画の素晴らしさを伝えつつも、イラストレーターとしてもまた違った伝え方をできればと思います。
要するに欲張りなんですよー。
インタビュアー 須貝美和
2024年11月9日 1:10 PM |
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今回ご紹介するのは、2024年10/25~30に個展を開催されたタムロアヤノさんへのインタビューです。
タムロさんはHBでは2年ぶりの個展開催となりました。
オイルパステルや油彩で描かれた可愛らしくも力強い作品たち。
活動の幅をどんどん広げていらっしゃいます。
現在の画風になったきっかけや、今後の展望をお伺いしました。
会場の様子をインタビューとともにお楽しみください!
展示作品はオンラインショップでお取り扱い中です。
http://hbgallery.shop-pro.jp/
ータムロさんは2年ぶり2回目のHB個展となりました。
2022年の初個展以降、アートフェアへの出展や日テレ「THE ART HOUSE」などのメディア出演、
今年の8月には「Independent Tokyo 2024」でグランプリを受賞、
10月にはアパレルブランド「Elura 」とのコラボ商品発売など益々活動の幅を広げてらっしゃいますね。
タムロさんご自身はこの2年間を振り返ってご自身の心境や制作などに何か変化はありましたか?
とてもワクワクするお仕事が増えました。商品パッケージだったりコラボとしてテキスタイルの柄になってお洋服や雑貨アイテムになったり。
また大きな商業施設のメインビジュアルなども任せていただけるようになり、
広がりや影響力のあるご依頼が増えたことをとても嬉しくありがたく感じています。
また最近は商業のお仕事だけでなく作家として自分の作品を制作することに意欲的になっています。
今後も展示や原画販売などの方向を増やしていくつもりです
ータムロさんは木製の板にオイルパステルと油絵で着彩した上で、
彫刻刀で画面を削り、凹凸を加えて描かれてらっしゃるそうですね。
タムロさんがオイルパステルや油絵具を使われるようになったきっかけは何だったのでしょうか?
これらの画材が可能にしてくれる表現とは何でしょうか?
また、彫刻刀で画面を削ることはタムロさんにとってどんな意味がありますか。
オイルパステルを使うきっかけは子どもができたことです。デザイン業はしていましたが自分の絵を描くという行為からは数年離れていました。
そんな中、パステルを使う息子と一緒に自由にグリグリと描き始めたのがこの画材と出会ったきっかけでした。
パステルはマットな質感ながらも色の発色が美しく、画面の隣り合う色との関係性を大事にしている私にとって最高の画材です。
また彫ることは絵のポイントを作ると同時に命を吹き込むという意味もあります。
地元が南大阪ということもありだんじりが盛んな町です。だんじりには繊細な彫刻が施されており神に捧げるもの、
そして魂を彫り込むという意味があると聞きました。そういったところから影響されていることもあり、
彫るという行為は私にとって作品を仕上げる上で大事な工程です。
ータムロさんの作品には猫が頻繁に登場されますが、
猫が描かれている作品の売上の一部を保護猫支援のために寄付される活動をずっと続けてらっしゃるそうですね。
タムロさんが保護猫を支援されようと思われた経緯などをお伺いできますか?
以前から絵を描くという行為は自己完結、自己満足の要素が強いと感じていました。
その上で自分が絵を描くということを通して何か意味のあることをしたい。社会に還元できることはないかと思っていました。
そんな中、身近に保護猫の支援をされている方と出会い、まだまだ困っている、苦しんでいる保護猫・保護犬がたくさんいることを知りました。
そんな経緯から自分の絵が周り回って何かに役に立つサイクルを作りたいと思うようになりました。
またその方が自分が絵を描く意義が生まれると感じ今に至ります。
ー今後挑戦されたいお仕事や活動、
タムロさんの今後の展望などをお聞かせください!
もっと海外での展示にチャレンジしたいと思っています。
この2024年の11月に韓国で展示できる機会に恵まれました。その経験を経て
さらにもっと大きな作品を仕上げ自分がどこまで飛べるか、自分の作品がどこまで届くかを試してみたいと思ってます。
インタビュアー 須貝美和
2024年11月2日 11:59 AM |
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