HB Gallery

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2月2025

たざきたかなり+山田将志二人展「絵からはじまるエトセトラ」

今回ご紹介するのは、2025年1月31日から2月5日に二人展を開催された、
たざきたかなりさん、山田将志さんへの展示インタビューです。
「待ち合わせ」をテーマとして、ストーリーのある構成で作品を展示してくださいました。
作品を観るだけではなく、お二人のことを知ることができる素敵な展示で、連日盛況となりました。

会場の様子をインタビューとともにお楽しみください!

展示作品はオンラインショップでお取り扱い中です。
http://hbgallery.shop-pro.jp/

ー2014年にswitch box あけ/たて(横浜)で、
たざきさんと山田さんは初めての二人展
「絵からはじまるエトセトラ」が開催されています。
それから11年の年を経て、再び同名のタイトルで
HBギャラリーで二人展を開催されようと思ったきっかけや理由、
背景などをお伺いできますか?

 

(山田)
タイトルは自然と「同じがいいよね」みたいな感じですぐ決まりました。2014年のつづきというか、終わっていないような気持ちがあったので同じにしたかったです。
HBギャラリーを選んだ理由は、あまりギャラリーに詳しくないのですがHBギャラリーは絵を描きはじめた頃から知っていたのでいつかやってみたいという想いはありました。しかしその一方で2人ともなぜかHBギャラリーが似合わないというか、らしくない感じはしていました。笑 でもあえてやらなそうな場所でやったら面白いかもと思い決めました。
あとは今回のテーマは「待ち合わせ」なんですが2人が左右の壁に別れてそれぞれの1日がはじまり、最後に落ち合うという構成にしたいと考えていたのでHBギャラリーの形が理想的でした。


ー印象的なタイトル「絵からはじまるエトセトラ」にこめられた想いや、
「エトセトラ」という言葉のイメージ、
「etc.」でなく「エトセトラ」と、
カタカナ表記にされた理由などお伺いできますか。

 

(たざき)
実は山田くんには話してないことなんですが、当時POP ETC(ポップ・エトセトラ)というアメリカのバンドが大好きで、”ポップ”(大衆向け)に括られない、名前の無い何かという意味での”エトセトラ”に、自分たち2人のイメージを重ね、感銘を受けたことで拝借しました。自分の中には名前を付けてもらえない未熟者というのもその時は含まれていました笑
そんな小難しいイメージとは裏腹に、とっつきやすい言い回しにしたくてPUFFYの「渚にまつわるエトセトラ」の語感から、”絵からはじまる”という言葉が浮かびました。なので最初は大した意味はありませんでした笑
そして10年を経て、自分と山田くんは絵を描き続けてきたことで、仲間ができて、家族ができて、”エトセトラ”という言葉の意味は、自分たちの属性ではなく、2人の周りにいる(ある)様々な人や出来事という言葉の意味に変わっていきました。それはまだまだ2人が描き続けていく限り、かけがえのない”エトセトラ”は増えていくと思っています。

ーお二人の展覧会「絵からはじまるエトセトラ」は
今後も継続されるのでしょうか?何か構想はありますか?
Instagramのアカウント @paint_etc.2025
でも、展示情報やお二人の新作がアップされますか?

 

(山田)
「絵からはじまるエトセトラ」は今後巡回展をする予定です。場所はまだ決まっていないのですが……地方と2014年に2人展を開催したswitch box あけ/たて(横浜)ではやりたいと思っています。
作品は今回展示した絵を少し入れ替えて新作も加え「待ち合わせ」後の2人の物語を描きたいです。
インスタアカウントはこれからも展示情報や作品をアップしますのでフォローしていただけると嬉しいです。

 


ーたざきさんから山田さんへ
山田さんからたざきさんへ
今回の二人展に関して一言、メッセージを頂けますか?

 

(山田)
たざきくんとだからHBギャラリーでできたと思っています。2人展ができて本当に幸せです。巡回展もよろしくお願いします。

(たざき)
無事に展示が始まりましたね。巡回しながら完成に近づけていきましょう。引き続きよろしくお願いします!

 

ーたざきさん、山田さん、お二人それぞれの今後の目標や、挑戦したいこと、
展望などをお聞かせください!

 

(山田)
描きたい絵がまだまだたくさんあるのでこつこつと描き続けます。

(たざき)
映画の広告や装画、音楽関係など色んなお仕事していきたいです。いつか山田くんと一緒になにか仕事が出来ないかなぁと思っています。

 

インタビュアー 須貝美和

 

中尾正風個展「いっぱい いる」

今回ご紹介するのは、2025年1月24日から29日に個展を開催された中尾正風さんへの展示インタビューです。
走る人、座る人、枕を投げる人…様々なポーズの「人」が、
1枚の画面の中に所狭しと描かれ、訪れたお客様を魅了しました。
展覧会の様子をインタビューと共にお届けします。

展示作品はオンラインショップでお取り扱い中です。
http://hbgallery.shop-pro.jp/

-中尾さんは初めての個展となりますが、
これまでも圧倒的な描写力で、食べ物や風景など、
多種多様な題材を、様々な表現で描き分け、
ご自身のInstagramで発表されてきました。
今回の個展作品は、述べ2700人以上の「人」を約半年間かけて描かれたそうですね。
中尾さんがたくさんの「人」をモチーフに選ばれた理由を教えてください。

動物としての「人」が好きなんです。
人は喋りだすと嘘をついたりしますが、言葉を除外すると人の本質が見えて、動物のように見えてくるのが好きです。
どんなにカッコつけてる人や、偉そうな人も、
みんな必ずどこかにダサい部分や、隠しきれない癖みたいなのがあって、
そこが人としての最高に愛くるしい部分だと思ってます。
渋谷スクランブル交差点のライブ映像をYouTubeで観ながらお酒を飲むのが好きなのですが、
日頃から人を俯瞰で観察してることが多い気がします。

- 一見するとアナログで描かれたかのような中尾さんの作品は、全てデジタルで描かれています。
中尾さんがデジタルで人を描き込む際に意識されていることなどがあれば教えてください。

 

めんどくさいと思うところまで描き込まないことを意識してます。
デジタルは修正ができてしまうので、キリがないんですよ…。
一時期けっこうリアルな絵も描いていたのですが、神経質で細かいところまで気になる性格なので、
10時間くらい平気で描き続けてました。
それはそれでゾーンに入れる感じが楽しいし、お仕事としては大歓迎なのですが、
それだけになると知らないうちに疲弊して、長い年月は続けられないなと気づきました。
なのでオリジナル作品は自分が描いていて、「手」が気持ちいいと思うところまでで止める。それ以上は描かない。
そうやって美味しいとこ取りをしたので、今回の個展は2700人を超える数の人を描けました。
絵をご覧になったお客様には「リアル過ぎず、ゆる過ぎず、丁度いい塩梅」
というようなポジティブな感想をたくさんいただけたので、これで良かったんだなと思いました。

 

- 中尾さんはイラストレーター山田博之さんが主催される塾でイラストレーションを学ばれたそうですね。
山田さんからはどのようなアドバイスを受けましたか?
塾に通う前と後で、中尾さんの作品制作にどのような変化がありましたか?

 

山田さんのアドバイスの中で、1つ挙げると「仕事を意識するな」ということです。
僕は今まで仕事に繋がるように色々な人の絵を参考にして組み合わせながら、
「唯一無二の絵のタッチ」を模索していたのですが、
山田さんに「これ、仕事を意識して自分に嘘ついてる絵だよね」と一瞬でバレてしまって…笑
仕事を意識して他者の目を気にして絵を描くと、だんだんと辛くなっていくんですよね。
それからは、勉強という意味では全く他人の絵を見ないようになりました。
自分の描きたいモチーフを素直に描きたいように描いてます。
今は「普通だけど既視感がない絵」を目指しています。

-中尾さんが今後挑戦されたいお仕事や活動、
イラストレーターとしての展望などをお聞かせください。

 

今後もオリジナル作品は「今描きたいもの、惹かれるもの」を描き続けていきたいので、
自分の絵から滲み出る匂いみたいなものを魅力と感じる方と出会えたら嬉しいです。
そして自分を見つけてくださった方には、お好きなように自分の絵を料理していただきたいと思っています。

インタビュアー 須貝美和