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せいのみわお個展「アナログ」

今週の展示はせいのみわおさん「アナログ」です。HBでは初めての展覧会です。HBスタッフ一同が、以前よりコンペなどでずっと気になっていた、せいのさんの展覧会がついに開催!
丁寧な手仕事の作品たちをぜひお楽しみ下さい!

1.個展開催おめでとうございます!今回の展覧会のタイトルや、コンセプトなどございましたらぜひお聞かせ頂けますでしょうか?

 

ありがとうございます。憧れのHBギャラリーさんで個展の機会をいただけましたので、作品を十分アピールできたらと思いました。自分の作品の魅力はなんだろうと考えた時、切り絵の「手作業感」による温かみというところに思い至りました。それを表す言葉をタイトルに掲げ、さまざまな作品で手作業感の魅力を表現する展示にしようと決めました。

2.せいのさんは切り絵の手法で作品制作されていますが、現在の制作にたどりついた経緯などお聞かせ頂けますか?

 

大学を卒業してイラストをやりたいと思っていましたが、絵の具や色鉛筆は色数も無限なことに加え、にじみなどのランダムな表現もあり、扱いに苦手意識がありました。そんな時、子供の頃から折り紙が好きだったのと、美大生の時の課題で紙を扱った作品が多かったことを思い出しました。紙であれば自分は自在に扱えるのではと思って、切り絵での制作を始めました。

3.にじ画廊の展示の際は、作品を元にしたファブリックを、今回の展覧会では紙の立体なども制作されていますが、この様なアイディアはどんな時に出てきますか?

 

切り絵の平面作品以外の表現は、意外と商業的な視点から思いついているかもしれません。布雑貨になったらもっと手に取ってもらえるかもとか、紙のお置物があったら可愛くて売れそうとか。もともと「どうしたら売れるか」と考えて制作するのは好きではありませんがイラストをやっていて、手に取られるハードルを下げることも大事だと気づき始めた気がします。そこから思いついたアイデアで、今回のような新しい表現も生まれました。

4.比較的作家性が強い作風だと思いますが、クライアントワークの際に、作風を維持しながら、相手の要求に応える際に意識している事などはございますか?

 

依頼してくださる方は私の作品を見て頼んでくださっていると思うので、基本的には自分らしく描いています。色選びなどは、全体のトーンは相手に寄せつつも自分しかやらないような組み合わせ方を意識するかもしれません。大学でグラフィックデザインをやっていましたので、色々な制限の中で表現するというのはデザインらしいなと思って面白いです。

5.せいのさんの作品と合わせて、noteで綴られる文章もとても面白く拝読しております。文章の発信をはじめたきっかけはありますか?

 

ご覧いただきありがとうございます。これからの時代、AIや他の多くのイラストレーターと差別化するのが難しくなっていく中、どんな人が絵を描いているのかということが大事になってくると予想しています。私の作品と共に、私自身がどんな人間でどんな思いで表現しているのかを見せるためにnoteを始めました。

6.今後挑戦したい制作や、お仕事などありましたらお聞かせ下さい!

 

ファブリックやパターンの制作をもっと充実させて、それを活かせるお仕事をやってみたいです。あとは広告とか表紙とか、大きいお仕事にも挑戦してみたいと思っています。ぜひお声がけお待ちしております。

大きなポスターにして街中に飾りたくなるせいのさんの作品、今後のご活躍も益々楽しみにしております!

唐仁原多里

守屋玲子個展「Beautiful Journey」

今週の作家は守屋玲子さんです。守屋さんはHBファイルコンペでも藤枝リュウジ賞を受賞され、角田光代さんの「紙の月」の新聞連載など、様々なお仕事でもご活躍されています。HBでは久しぶりの展覧会となります!

 

 

1.久しぶりの個展開催、おめでとうございます!今回展示したいと思ったきっかけや、タイトルに込めた思い、展示のコンセプトなどお聞かせ下さい。

子供も少し大きくなったので、久しぶりに東京で個展をしたいと思いました。今回は、自分の中では女性と美がテーマでした「Beautiful Journey」は、美しい人生の旅、美の旅です。美というのは女性の永遠のテーマなのかもと思い、人生になぞらえてつけてみました。自然と調和しながら生きることや、女性性を癒し、元気になれるような展示にしたいと思いました。

 

 

2.守屋さんといえば、大胆なタッチが心地よい作風がおなじみですが、ホームページなど拝見すると細かく描かれた作品もございます。作品を描く上で、緩急の付け方など意識している事はございますか。

仕事の依頼内容によって、細かく描く場合もありますが、全体的にホッとどこかで抜けを感じられる気持ちの良い絵を描きたいと思っています。

 

 

3.現在、長野在住の守屋さん。日々の暮らしから制作に影響を受ける事などはありますか。

信州は気候がカラッとしているので、気持ちが良いです。風景や自然の中で感じることが制作に活かされていると感じています。料理をしたり、庭で植物や野菜を育てたり、子育てなども、日常がそのまま作品に影響していると感じますが、自分自身の成長や変化が一番影響していると思っています。

 

 

4.長くイラストレーターとして活躍されていますが、続けるために意識している事などはございますか。

活動をとめないこと、、、でしょうか。唐仁原さんに教えて頂いた「職能を磨いていく」ということも、心に留めています。自分らしくあることを大切にしています。それには自分を知ることがすごく大切だと感じます。体験することで自分の理解が深まるので、色々チャレンジしています。あとは、心も体も健康でいること。

 

 

5.今後挑戦したいお仕事などあれば、ぜひお聞かせ下さい。

美容関係、化粧品関係などのお仕事をやりたいです!ちょっと大人な女性っぽい感じの、とか。やったことないのでワクワクします。

 

今回展示されていた作品でスキンケア用品のシリーズなど、パッケージなどの展開も拝見したいと思いました。母として日々を過ごしながら、イラストレーターとしても活躍されている守屋さんにとても励まされました!展示は6月4日まで!どうぞお見逃しなく! 唐仁原多里

西山寛紀個展「AND OBJECTS」

今週の作家さんは西山寛紀さんです。

お気に入りのアイテムで上がる気分、
西山さんならではの心地よい作品たちをお楽しみください。
作品やグッズは会場でもHBギャラリーのオンラインショップでもお求めいただけます。

「MANUAL WIND WATCH」(キャンバス作品)¥110,000-(税込)

「GLASSES」(キャンバス作品)¥110,000-(税込)

「POUCH & LIP BALM」(キャンバス作品)¥88,000-(税込)

「CAT & BALL」(キャンバス作品)¥88,000-(税込)

「SUN & FLOWER」(キャンバス作品)¥66,000-(税込)

「TONER」(キャンバス作品)¥66,000-(税込)

「LIVING ROOM」(キャンバス作品)¥176,000-(税込)

「BLACK BEER」(キャンバス作品)¥275,000-(税込)

「RELAX」(キャンバス作品)¥165,000-(税込)

「GO THERE」(キャンバス作品)¥220,000-(税込)

「MOBILE」(ジークレープリント作品)¥22,000-(税込)

「CHEERS」(ジークレープリント作品)¥22,000-(税込)

「SCENT OF FLOWER」(ジークレープリント作品)¥22,000-(税込)

「TEA TIME」(ジークレープリント作品)¥22,000-(税込)

「BLOWING IN THE WIND」(ジークレープリント作品)¥44,000-(税込)

 

西田稔、髙橋良輔、堀口忠彦、やすみ哲夫「あかばんてん」展

今週の展示は西田稔、髙橋良輔、堀口忠彦、やすみ哲夫の4名による「あかばんてん」展です!

伝説のクリエイター集団の展示開催は40年ぶり!

あかばんてんは、まんが日本昔ばなしをはじめとして、

数々のアニメーション作品などの制作を行ってきた面々です。

各自の個性光る作品たちをお楽しみください!

40年ぶりの集合写真!

 

西田稔さんの作品、ジャングル大帝の背景画など

素晴らしい作品は眼福ものです!

 

髙橋良輔さん アニメーション作品のイメージボードなど

大人気で完売いたしました!

 

やすみ哲夫さんは花かっぱなどの作品を手掛けられています。

今回はクラフト作品で作った有名人などを展示中!

 

堀口忠彦さんの作品は耳天使のジークレー作品です。HBで制作をお手伝いしました。

 

昨年秋にもココファームワイナリーの収穫祭でお世話になった堀口忠彦さんが2月17日に旅立たれました。

だれにでも優しく、いつも食べきれないほどの差し入れをくださり、

豪快に笑う堀口さんの事が忘れられません。ご冥福をお祈り申し上げます。唐仁原多里

mur個展「NOTES」

前回のブログでは、2025年4月25日(金)から30日(水)に個展「NOTES」を開催された
murさんの展示コンセプトをお届けしましたが、
展示インタビューにもご回答いただけましたので、ご紹介させていただきます!

展示作品はオンラインショップでお取り扱い中です。
http://hbgallery.shop-pro.jp/

ーmurさんにとって15年ぶりとなる今展覧会「NOTES」の開催おめでとうございます!
murさんが印象に残っている香りや、美しい瞬間の記憶などがございましたらお聞かせ下さい。

 

香りや記憶は、ふとした瞬間に立ち上るものだと感じています。
どこかで嗅いだはずの香りに心を引かれるとき、具体的な記憶ではなく、情景の“余白”のようなものが呼び覚まされる感覚があり、
それは制作にも通じるところがあるかもしれません。

ー制作だけではなく、会場の見せ方などにも様々な気遣いが感じられる今展示ですが、
構成などで意識した部分はございますか?

 

香りの移ろいをコンセプトに、「Top」「Middle」「Last」と変化していく香水のノートを軸に構成しています。
時間とともに雲散していくような印象を、色や線で緩やかに表現しました。また、作品ごとの“間”や“作品数”を保つことで、
鑑賞者が一つひとつの作品と静かに向き合えるよう配慮しています。

ーmurさんはfashionにも造形が深く、会場にある人物画も素敵ですが、
影響を受けた雑誌やブランド、モデルさんなどはいらっしゃいますか?

 

制作の際に明確にファッションを意識しているわけではありませんが、
美意識の方向として、ファッションと制作が共鳴している部分はあると思います。
洗練と違和のバランスや、線や余白に宿る緊張感など、美に対する姿勢は共通するものがあるのかもしれません。

ーmurさんは HB WORKにて川名潤さんの特別賞を受賞されています。
受賞後に制作に変化などはございましたか?

 

受賞によって何かが変わったというよりも、自分の制作が誰かの目に留まり、言葉をいただけたこと自体が貴重な経験でした。
静かに続けてきたことが、ふと外に開かれる。その静けさと手応えの両方を、これからも大切にしていきたいと思っています。

ーHB WORKの受賞者展の際など、細やかなお気遣いで会期を盛り上げて下さったmurさん、
対話の際に意識している事はございますか?


気遣いというよりも、礼節を重んじたいという気持ちがあります。
言葉や態度には、その人がどこに重心を置いて生きているかが滲むと思っているので、誠意と尊重を持って言葉を交わすことを大切にしています。
会話とは互いが歩み寄って、ようやく成り立つ営みだと考えています。

ー今後挑戦したい制作の展望や、お仕事などがございましたらお聞かせください!

 

何かを“狙う”というより、日々の制作のなかで確かに手応えを感じる瞬間を積み重ねていきたいと思っています。
虎視眈々と、と言いますが、その視線は外へではなく、己の深度に向けていたいです。

 

mur個展「NOTES」

2025年4月25日(金)から30日(水)に個展「NOTES」を開催された
murさんのコンセプトを展示作品とともにお届けします。

※以下の文章はmurさんのInstagramより引用しています。
出典:mur Instagram投稿[https://www.instagram.com/p/DI37T_ApDbJ/
 

◾︎展示コンセプト
香りの移ろいをコンセプトに、香水のノート(Top、Middle、Last)を基にした雲散していく順序で構成しています。
「価値を見直し、真価を問う」という根幹テーマに基づき、見えるものだけでなく、見る意思と行動によって初めて見えてくるものにも焦点を当てております。
ぜひ、その視点でご覧いただければ幸いです。

◾︎Top Note / Top to Middle
鮮やかな色彩で感覚の美しい入口を表現しました。

色彩が描き出す一瞬の印象が、観る者に新たな視点を提供することを意図しています

◾︎Middle Note / Middle to Last
香りが時間とともに落ち着き、深まりゆく様子を、動物や自然を通して表現しました。
また、香りの移ろいの中で薄れていく感覚に重ねて、地の匂いが露出していく過程にも注目しました。
「忌み嫌われる存在」(カメムシ、カエル、蛇など)をモチーフに、隠せない性を描き出しながら、その存在に潜む美しさを引き出しています。
見方を変え、視点を穿つことで、その美しさが昇華されるという思いを込めました。

◾︎Last Note
「見る意思」を持つことで初めて浮かび上がるような絵を制作しました。
目に見える価値にとどまらず、見えない本質が存在することを伝えたかったのです。

◾︎会場限定作品
最後にご覧いただく作品は、会場でのみご覧いただけるものとなっています。
一見「無」と見えるものの、「見る行動」を起こすことで初めて浮かび上がる作品です。
SNSでアップされた物ではその全貌を見ることができませんので、
是非会場で直接ご高覧いただけますようお願いいたします。

イラストレーターとして活動する中で、私は最初の1秒の印象がその後を大きく左右すると考えています。
目に見える美しさを感じつつ、同時にその本質までを感じ取っていただける絵を描けるよう、
日々思慮を重ねています。
ただし、目に見える価値とともに、目に見えない本質もまた存在すると私は信じています。
消えた香りにすら価値があるのか、その問いを胸に一歩立ち止まり、
考え、感じる余白を持っていただけたらと思います。
その“気づき”が種となり、発芽し、育ち、自分自身の「Notes」を見つけるきっかけになればと願っています。

「やさいとイラストの時間展」

「やさいの時間のイラストレーターさん、そうそうたる面々ですよね。」

 

ふと飲みの席で出会ったイラストレーターさんに言われた一言。

NHKテキストやさいの時間のアートディレクターになってからの5年を振り返り、

本当にその通りだなと思う。

デザイン事務所から独立し、ひとりでやっていくためにどんな人間関係も何かに繋がると信じてギャラリーを回った。

多くの素晴らしい作家に出会い、いつかこの人たちに自分のデザインする媒体で絵を描いてほしいと思った。

それがひとりで作るより何倍も誌面を良くするスペシャルな絵だということがわかっていたから。

やがて現実となり、たくさんの誌面を作った。

誌面のために描かれたカットは、カットなどと呼ばれるようなものではなく、ひとつひとつに物語が広がっている。

ページという平面には階層があり、レイアウトがうまく置けたときは、

文字と絵がぶつかることなくそれぞれが生き生きと空間を保ち、きれいに織り重なるように感じる。

いわゆる実用書であるテキストに、読者が見過ごしたかもしれない魅力がまだ溢れている。

作品を見たときにあなたもきっとその魅力に引き込まれて、新しいイラストと本の世界を発見できるはず。

鍋田哲平

坂之上正久

中村隆

原田俊二

kigimura

浅妻健司

唐仁原多里

鍋田哲平

「NHK 趣味の園芸 やさいの時間」は、NHK Eテレで放送されている家庭菜園の番組「やさいの時間」と連動したテキスト(雑誌)です。

番組と合わせて読むことで、さらに詳しい栽培情報や、初心者にも分かりやすい解説、美しい写真などを楽しむことができ、
野菜作りの基礎知識から、具体的な栽培方法、収穫後の活用法まで、家庭菜園に関する情報が幅広く網羅されています。

 

展示作品はオンラインショップでお取り扱い中です。
http://hbgallery.shop-pro.jp/

ヤマグチカヨ個展「旅の途中」

2025年4月4日から9日まで個展「旅の途中」を開催された、
ヤマグチカヨさんの展示インタビューをお届けします。

サンパウロ、サンフランシスコ、ヨセミテ、日本の山、シャモニー。
5つの旅先でヤマグチさんが出会った風景や瞬間が、エピソードと共に
鮮やかなイラストレーションで表現されました。
インタビューとともに、ヤマグチさんが感じた旅の空気をお楽しみください。

展示作品はオンラインショップでお取り扱い中です。
http://hbgallery.shop-pro.jp/


Q1.
ヤマグチさんは、谷川俊太郎さんの『普通の人々』刊行記念原画展をはじめ、
イベントなどの場で作品を発表されてこられましたが、
個展という形での開催は今回が初めてとのことですね。
今回、個展を開催しようと思われたきっかけや理由についてお聞かせいただけますでしょうか?
 
 
これまで色々な仕事で絵を描いてきて、これが私のスタイルですというよりは、
その時々のご依頼や案件に合わせて描いてきました。
今回の個展は、自分のスタイルを見つめ直すきっかけとして、初めての挑戦でした。

Q2.
今回の個展では『旅の途中』と題し、
ヤマグチさんがこれまでの旅先で目にされた風景や情景が表現されています。
ご自身のInstagramに投稿されている作品は
「自分の旅を伝えるために描きたいと思いながら、どうやったら表現できるのか」を模索されているそうですね。
ヤマグチさんが旅をモチーフに描かれるようになったきっかけや、
その背景についてお聞かせいただけますでしょうか?
 
 
改めて、自分の描きたい絵やモチーフってなんだろう?といろいろと描いてみて、やっぱり旅が好きで、
旅先で出会った感動を絵にできたらいいなというのがきっかけです。

Q3.
ヤマグチさんの作品は、鮮やかな色彩と心地よいストロークで、
まるでその場にいるかのような臨場感を感じさせます。
作品は写真をもとに描かれているとのことですが、
旅の記憶を写真から絵に落とし込む際に、
ヤマグチさんが特に意識されていることや、大切にされていることはありますか?

 

実際に自分が旅先で感じた、その場の光や音、空気感というか、気配ようなものを意識して描いています。
なので、写真をそのまま描くのではなく、絵を見た人がその情景を想像できる余白をどう残すか試行錯誤しました。


Q4.
ヤマグチさんが今後挑戦されたいお仕事や活動、
イラストレーターとしての展望などを是非お聞かせください。
 
 
具体的に挑戦したい仕事はパッと思いつかないのですが、
今回の個展をきっかけに自分のスタイルがこれから先どう変わっていくのか、自分でも楽しみにしています。
また機会があれば個展にも挑戦してみようと思います。ありがとうございました。


インタビュアー 須貝美和

西本未祐個展「vacant」

2025年3月28日から4月2日まで個展「vacant」を開催された、
西本未祐さんの展示インタビューをお届けします。

西本さんは、「HB WORK vol.4」川名潤特別賞、
「HBファイルコンペVOL.35」葛西薫大賞を受賞。
今年8月には受賞展も控えるなど、
目覚ましい活躍を見せる若手作家として注目を集めています。

本展では、シャープペンシルによる潔い線と、
そこから生まれる心地よい空気感が、
展示会場全体を穏やかな空間へと変えていました。
インタビューとともに、その魅力をお楽しみください。

展示作品はオンラインショップでお取り扱い中です。
http://hbgallery.shop-pro.jp/

Q1
  個展のタイトル「vacant」は空っぽを意味する形容詞ですが、
  西本さんはギャラリーのマンスリーコメントでも
  〉空きをつくりたくて
  〉絵を描いています。
  とおっしゃっていますが
  西本さんは「空き」にどんなイメージをお持ちでしょうか?
  いつから「空き」に興味を持たれるようになったのでしょうか、
  何かきっかけはありましたか?

 

「空き」は線を引かない部分を指します。私は空きに対して何もしませんが、線を引くと空気が含まれます。
昨秋から対象のドローイングを始めました。制作の過程で、線に生まれた空間を作品と考えるようになりました。

 

 

Q2
  西本さんの手によって引かれた線から
  画面に現れるモチーフと言葉は
  心地よく呼吸をしているかのような自然な存在感を感じ
  かつ作品としての美しさを感じます。
  展示作品は何の画材で描かれているのでしょうか?
  また、その画材を選択された理由も教えてください。

 

シャープペンで描きました。HBと2Bを使い分けます。昨年までは8Bの鉛筆で描いていました。
シャープペンはごまかしが効かないと感じます。嘘をつかないために選びました。

 

Q3
 西本さんはファイルコンペで葛西薫さんの大賞を受賞され、 
今夏には大賞展も控えていらっしゃいます。おめでとうございます!
さらに、この度、葛西薫さんデザインによる坂元裕二さんのシナリオ本
 『片思い世界』の装画を担当されましたね。
本の発売日が3月28日で、ちょうど個展の初日と重なるという、
素敵な巡り合わせとなりました。
こちらの装画に関して、葛西さんから何か指示はあったのでしょうか?
西本さんが制作時に意識されたことや工夫されたことについても教えてください。
ありがとうございます。
「片思い世界」では感覚を共有していただくのみで、制約と感じることはありませんでした。文字も含めて尊重していただき、嬉しく思います。
制作時は作品の世界感に浸るため、雰囲気に合う音楽を聴きました。また、外出の予定を極力控えました。

 

Q4
  西本さんが今後挑戦されたいお仕事や活動、
  作家としての展望などを是非お聞かせください。
媒体を問わず、作品が社会に出たときの反応に興味があります。
特に好きな媒体は本や雑誌です。「暮らしの手帖」が好きで、いつか関わることができたらと考えています。
また、ドローイングに限らず手芸や音楽等、手を動かす活動を続けていきたいです。

 

インタビュアー 須貝美和

4co個展「夜明けのトリー」

今回ご紹介するのは、2025年3月21日から3月26日に個展を開催された、4coさんの展示インタビューです。

HB WORK vol.4では岡本歌織さんの特別賞を受賞された4coさん。
オリエンタルな雰囲気を纏った作品で、魅力的な空間にしてくださいました。
今回は平面作品に加え、ガラスを使用したものや、立体作品も展示され、
様々な作品をご覧いただける個展となりました。

会場の様子をインタビューと共にお楽しみください!

展示作品はオンラインショップでお取り扱い中です。
http://hbgallery.shop-pro.jp/

 

 

ー個展「夜明けのトリー」には4coさんのどんな想いがこめられているのでしょうか。
「トリー」の意味や、今回のテーマについてお聞かせください。

 

長年の夢だったHBギャラリーで個展をさせていただくという奇跡がやってきて、
真っ暗だと思ってたら急に「夜明け」が来たような、最高の瞬間を表現したいと思いました。
「トリー」は、鳥という意味と、自分を反映させた主人公的な誰か、「火・水・風のトリニティ」などをこじつけています。

 

 

ー展覧会では平面作品はもちろん、
コラージュやガラスドームなど
様々な手法で制作された作品が展示されています。
4coさんが1つの表現方法にとどまらず、
素材や技法を融合した作品を制作されるようになった背景やきっかけなどをお伺いできますか。

 

特に意識したことはなかったのですが、大学でひと通り色々な技法を学べたことで、
絵に煮詰まると粘土を触る、ガラスで遊ぶみたいな気分転換を長年していました。
そのうちに、ジャンルにこだわらずに素材を融合させたら、やりたいことが色々叶えられそう…となったのかもしれません。

 

 

ー4coさんはご自身のホームページに
【一歩先を灯すように】という言葉を
ステートメントとして掲げてらっしゃいます。
4coさんの作品1点1点から物語性を感じますが、
その根底にはこちらのステートメントがあるのでしょうか。
また、構想から技法の選択まで、
4coさんが作品を制作される際にたどるプロセスなどお聞きできますか。

 

明確になにか物語やテーマがあるわけではないのですが、日々出会う人や日常から着想を得ることが多いです。
残念な失敗ややらかすことも、モチーフにすることで人生を愛したいと思い、作品にしています。
作品の「トリーたち」みたいに、急いでるなら飛べばいいのに、ひたすらドタドタ走っている、
そんな感じで、描き方も一歩ずつ楽しんでいます。
技法は、描きはじめは同じで、進めていくうちにそれぞれの素材や技法に絞っていきます。

 

 

ー4coさんが今後挑戦されたいお仕事や、
画家・イラストレーターとしての展望などをお聞かせください。

 

装画や挿絵など、エディトリアルのお仕事の経験がまだたまだなので、挑戦していきたいです。
また、技法や素材への実験のようなことも、これからも続けながら、ずっと描き続けていきます。

 

インタビュアー 須貝美和