国分チエミ個展「CASA」
今週の作家さんは国分チエミさんです。HBでは約2年ぶりの個展開催となります。
しんとした空気につつまれた一軒の家。深い色彩で表現された幾何学模様や、淡く光り輝く白い家など
思い思いの景色が描かれました。描きたいイメージをどこまでも追究し続ける国分さん。
そんな国分さんの最新作、ぜひ見にいらしてください!
— 今回の個展テーマは、いつ頃決めて制作を始められましたか?
はっきりと決めたのは、今年のはじめくらいです。準備を始めたのもそのくらいです。
— 「家」というモチーフは、これまでも描いていたものなのですか?
そうですね。家もそうですが多角形を描くのが好きです。本当は抽象画を描きたいという気持ちはあるのですが、マチエールを追求した絵だけを描いて も、イラストレーションとは認めてもらえないので、何かシンプルな、でもそこに意味のあるモチーフを加えるようにしています。
中でも家という形は 好きなアイテムのひとつで、これまでも機会があれば描いてきました。生き物の絵が並ぶ会場に躍動的な空気が流れるのとは対称的に、家などの無機質なモチーフが並ぶと、時が止まり、空間が静まり返って感じるから不思 議です。今回の個展会場では、その静けさを深く新鮮に楽しめました。
— 国分さんはお仕事をされながら、定期的に個展を開催されていますよね。
国分さんにとって、展示をすることはどんなことですか?
私の場合、個展を開催してこなければ、ここまで仕事を続けられなかったのではないかと思っています。仕事だけをし続けていると、やがて過去の自分の塗り直しの繰り返しになり、ついには行き詰まってしまうんじゃないかという大きな不安を感じるから です。個展という区切りを課すことで、じっくり絵と向き合い「自分は本当はどんな絵が好きだったか」を思い出させてくれることもあるんだと思います。
— なるほど。自分で描いているだけではダメで、やはり発表することに意味がありますか?
きっと大きな意味があるのだと思います
— 人に見せるのは緊張しますよね。
以前からカラフルな色彩と白色が好きで、そのような配色でたくさん描いてきましたが、DMの絵は敢えて黒色で表現してみようと目標を立てました。 黒を使って光とか体温を感じさせる事ができたら素敵だなぁと思って。他の絵も、最初に漠然と仕上がりのイメージを持ちます。ですがそのまま満足のいく仕上がりになるかと言えば、それはまた別のお話(笑)。技術が着 いて行きません。
— DMの絵は、原画で見ると深い黒の表現がすばらしいですね。その他の絵も、近くで見ると色々な画材が使われているように見えます。
作品はアクリル絵の具で描いています。鉛筆やペンを使ったりしますが、ほとんどはアクリルです。よく、パステルを使っているみたいとも言われますが一切使っていないんです。
— 国分さんの絵は、印刷では表現できない魅力がたくさんありますね。
今後やってみたい活動はありますか?
これまでは東京を意識して個展を重ねてきた訳ですが、視点を変えて東京以外の場所で展覧会を開いてみるのも面白いかもしれない…と思い始めた ところです。まだまだ漠然としたビジョンですが、いつか瀬戸内の小さな島のギャラリーなんかで個展を開く事ができたらいいなぁ、と夢は広がるばか りです
— 環境が変わると、作品の見え方も違うかもしれませんね。
今回の個展はいかがでしたか?ご自身が感じた課題はありますか?
好きなオリジナル作品が増えましたし、自分の好きな世界観を再認識できた展覧会でもありました。ですが、まだまだ満足にはほど遠いです。これからもひとつひとつ自分の枠を外して、新境地を探って行きたいと思っています。
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