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mur個展「NOTES」

前回のブログでは、2025年4月25日(金)から30日(水)に個展「NOTES」を開催された
murさんの展示コンセプトをお届けしましたが、
展示インタビューにもご回答いただけましたので、ご紹介させていただきます!

展示作品はオンラインショップでお取り扱い中です。
http://hbgallery.shop-pro.jp/

ーmurさんにとって15年ぶりとなる今展覧会「NOTES」の開催おめでとうございます!
murさんが印象に残っている香りや、美しい瞬間の記憶などがございましたらお聞かせ下さい。

 

香りや記憶は、ふとした瞬間に立ち上るものだと感じています。
どこかで嗅いだはずの香りに心を引かれるとき、具体的な記憶ではなく、情景の“余白”のようなものが呼び覚まされる感覚があり、
それは制作にも通じるところがあるかもしれません。

ー制作だけではなく、会場の見せ方などにも様々な気遣いが感じられる今展示ですが、
構成などで意識した部分はございますか?

 

香りの移ろいをコンセプトに、「Top」「Middle」「Last」と変化していく香水のノートを軸に構成しています。
時間とともに雲散していくような印象を、色や線で緩やかに表現しました。また、作品ごとの“間”や“作品数”を保つことで、
鑑賞者が一つひとつの作品と静かに向き合えるよう配慮しています。

ーmurさんはfashionにも造形が深く、会場にある人物画も素敵ですが、
影響を受けた雑誌やブランド、モデルさんなどはいらっしゃいますか?

 

制作の際に明確にファッションを意識しているわけではありませんが、
美意識の方向として、ファッションと制作が共鳴している部分はあると思います。
洗練と違和のバランスや、線や余白に宿る緊張感など、美に対する姿勢は共通するものがあるのかもしれません。

ーmurさんは HB WORKにて川名潤さんの特別賞を受賞されています。
受賞後に制作に変化などはございましたか?

 

受賞によって何かが変わったというよりも、自分の制作が誰かの目に留まり、言葉をいただけたこと自体が貴重な経験でした。
静かに続けてきたことが、ふと外に開かれる。その静けさと手応えの両方を、これからも大切にしていきたいと思っています。

ーHB WORKの受賞者展の際など、細やかなお気遣いで会期を盛り上げて下さったmurさん、
対話の際に意識している事はございますか?


気遣いというよりも、礼節を重んじたいという気持ちがあります。
言葉や態度には、その人がどこに重心を置いて生きているかが滲むと思っているので、誠意と尊重を持って言葉を交わすことを大切にしています。
会話とは互いが歩み寄って、ようやく成り立つ営みだと考えています。

ー今後挑戦したい制作の展望や、お仕事などがございましたらお聞かせください!

 

何かを“狙う”というより、日々の制作のなかで確かに手応えを感じる瞬間を積み重ねていきたいと思っています。
虎視眈々と、と言いますが、その視線は外へではなく、己の深度に向けていたいです。