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11月2019

町田七音個展「figment」

今週の作家さんは町田七音さんです。HBでは3年ぶり2回目の個展開催となりました。引き寄せられるような瞳と、美しい乳白色の肌を持つ女性たち。静かな中にも力強さを感じる町田さんの立体世界をお楽しみください!

milky white ≠ [ lost color ]

 

乳白色で統一された今回の作品たち。これまでの方向性とは何か違うものをやりたかった、と町田さん。全身像ではなく、すべてがトルソのような立体作品です。かちっと綺麗に作り込んで来たこれまでの作品と違い、ラフな要素を入れてみたかったとのこと。なかなかその表現が出来ずに模索していたそうですが、胴体を荒く削ったように見せたり、粘土をくっつけてからちぎったり…と試していくうちに、この表現も悪くないかもと思えるようになったとのこと。ラフな部分は「残す」というより「作る」という感覚だった、と町田さん。今回制作されたのは町田さんの想像上の人物で、モデルはいないのだそう。

 

milky white = [ goat horn ]

milky white = [ possibility ]

milky white = [ hide one eye ]

粘土を触りながら作りたいものを考えていくそうで、ラフスケッチもほとんど描かないそうです。まず粘土で大まかな全体像を作り、そこから頭部、髪の毛、胴体などのそれぞれのパーツを切り分けて彫っていくとのこと。作りながらイメージが固まっていくため、どうしても考える時間が多くなる、と町田さん。どつぼにはまると長く、何かが違う…の繰り返しになるそうです。独学で立体制作を初めて2019年で10年。節目の年に個展をしようと思い、今回の個展開催を決めたとのこと。

町田七音個展 「figment」は11/20(水)まで(最終日のみ17時まで)です。美しい作品たちとぜひ間近で対面していただきたいです!

 

milky white = [ downcast eyes ]

田尻真弓個展「ひより」

今週の作家さんは田尻真弓さんです。HBでは5年ぶりの個展開催となりました。
今夏は春夏秋冬をテーマに、あまり描いたことがなかったという風景画を中心に色彩豊かに描かれました。すべて個展のために描かれた新作です!これまで描かれたお仕事の貴重な原画の数々も。ぜひお越しくださいませ!

「 雪中日和 」

 

今回の個展では、今まで描いてこなかったものや苦手と思っているものを描くことが課題だったという田尻さん。1月から12月まで、季節感ある風景画を描かれました。アイデア出しが難しく時間がかかったそうですが、とにかく描き始めて考えながら進めていったとのこと。原画を見せる事はめったにないので、手描きの良さなどを感じてもらえたらうれしいです。

 

「 散歩日和 」

「田植え日和」

 

人物画のお仕事をたくさん経験されている田尻さん。今回は寄をてらわずに描きたいという想いで、自然な表情や仕草の女子高生を描くことにも挑戦されました。普段は原稿に書かれた風貌などからキャラクターのビジュアルを肉付けするように描くそうですが、ゼロから描くのは意外に大変だったとのこと。今回は風景と人物の両方を描いてみたけれど、まだ同じ感じには描けていないような気がする…と田尻さん。今後の課題だそうです。

 

 

「1日1落語」の原画。

ギャラリーの元オーナー唐仁原が田尻さんに課した、落語家の似顔絵。過去に展示のために描いた稲川淳二の似顔絵を見てもらったことがきっかけでした。落語の動画を見聞きしながら特徴を捉えていったという田尻さん、5月22日から9月5日まで毎日描き続けTwitterに投稿。個展が終わったらまた再開予定だそう。
絵の構成力と迫力、仕事の美しさは原画ならではです。プロフェッショナルな作品の数々をぜひ見にいらしてください!

 

草間花乃個展「Raspberry」

今週の作家さんは草間花乃さんです。初めての個展開催となりました。
古着好きな2人の女の子の日常を、季節の移り変わりと共に描かれました。アンティーク家具や美しい模様の壁紙など、草間さんの好きな世界感がたくさんつまっています。温かみのある原画をぜひご覧いただきたいです!

 

 

趣味や好みが似かよっていて外見的にも双子のような友達をイメージして描かれたという2人の女の子。お化粧をしたり、自転車に乗ったり、お茶をしたり…と、好きなことがたくさんつまった楽しい時間が描かれています。ノスタルジックな雰囲気の三つ編みの女の子は、子供の頃に読んでいた「メリーポピンズ」や「赤毛のアン」のイメージから来ているとのこと。
画材はアクリルガッシュと色鉛筆。服も背景もどちらも柄で描きこまれていながら、濃密さだけでなく透明感も感じられる作品です。

 

 

服の模様や部屋の壁紙など、丁寧な描き込みが魅力の草間さんの作品。壁紙やアンティーク家具がお好きだそうで、日頃から集めていた資料を元に描いているそうです。描くときは大変だけれど、出来上がるとやっぱり好きだなと思う、と草間さん。人物を描くときは、小学生の娘さんや海外のモデルを参考に。大人になりすぎないように、リアルになりすぎないように気をつけたそうです。

2人目のお子さんを産んでから、イラストレーターを目指したという草間さん。子育てと絵は両立できないと思い、一度は描くことを辞めていたそうです。けれども、いつまで経っても手は離れないと思い、6年のブランクを経て再び絵を描き始めたそうです。自然と描きたいと思ったのは女の子の絵。普段は一人でいるのが好きなタイプだそうで、絵の中の双子のような女の子の世界は未知の世界だそうですが、可愛くて絵にしたくなる魅力があるとのこと。影響を受けた作家は、林静一、高橋真琴、中原淳一だそうです。

 

 

大学時代は現代アートを学ばれていたことから、イラストレーションはより大衆的なものと捉えているそうです。わからなさすぎるものは描かずに、素直に「可愛い」「綺麗だな」と伝わるような絵を描きたい、と草間さん。
これまでのお仕事は本の装画や百貨店のビジュアル、雑誌の星座占いコーナーのイラストレーションなど、幅広く活動されています。ラフが決まれば塗りの作業は早いそうで、完成させるまではだいたい1週間程度とのこと。今回の絵を描くにあたり、広告と装画、どちらにも使ってもらえるような絵を探っていた、と草間さん。華やかさや顔の表情などは特に意識されたそうです。

今後益々のご活躍が楽しみな草間さん。絵を描く楽しさが伝わってくる作品たちをぜひご覧いただきたいです!