大賞展7週目は鈴木成一さんの大賞、岸野衣里子さんです。
第28回ザ・チョイス年度賞大賞も受賞された、今注目の若手作家さん。
HBファイルコンペでは、初参加での受賞となりました。
— ファイルコンペには初のご参加で大賞に選ばれましたが、受賞した感想はいかがですか?
そもそも自分が選ばれると思っていなかったので、え?!と思いました。
本当にびっくりしましたし、嬉しく思いました。
— では今回の展示コンセプトをお聞かせ下さい。
私はいろんな国の民謡が大好きで、以前に自分で本にまとめた事があったのですが、
今回はその本の展示バージョンにしようと試みました。
イギリス、アイルランドの民謡から出てくる空気感や世界観を
まとめようと制作していたのですが、最終的には好きに描いていました。(笑)
やはり最初に決め事があると、固くなってしまいますね。(笑)
— 前回もそうでしたが、不思議なオブジェがありますね。この正面の展示作品はなんでしょうか?
これは民謡研究家のおじさんの部屋をイメージして制作しました。
真ん中上部にあるクロスの飾りは、アイルランドのセント・ブリジッド・クロス(アイルランドの節分「インボルグの日」2月1日にドアなどにつける、麦わらで作ったクロス)というもので、先日アイルランドに旅に行ったときに買いました。その他、机や旗などは自分で作ったものです。
— あと、これはなんですか?
これは妖精です。
— 岸野さんならではの独特な世界観ですね。
— 話は変わりまして、鈴木成一さんの大賞を受賞した事で、
「星星峡(幻冬舎)」の表紙・カットの制作につながりましたが、
今回初めてイラストレーションのお仕事をされていかがでしたか?
文章を読んで、アウトプットをするという流れで制作をした事がなかったので
難しさを感じつつ、面白みもありました。とても新鮮です。
イラストカットは白黒のみで描いていますが、
そういう制約をつけた事がなかったので、実験しながら描いています。白黒の表現でどこまで出来るのか…
あと、デザインにおこされた自分の作品を見るのも初めてですし、
ああこうなるんだ!と、すべてが未知でとても面白いです。
— では最後に、今回の展示のご感想をお聞かせ下さい。
今出来る事を出し尽くしました。もうなんにもできません。(笑)
これが今の私のすべてです。
前回と同様、今回も岸野さんの世界観が満載の作品たち。
岸野さんの制作したいものが明確に見え、表現の素晴らしさを感じる展示でした。
今回の受賞をきっかけに、イラストレーションのお仕事も増えるといいですね。
これからどんな作品が生み出されるのか、今後の岸野さんに是非ご期待下さい!
インタビュー / HBstaff 土生はづき
2012年8月29日 4:58 PM |
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大賞展6週目は、藤枝リュウジさんの大賞を受賞された山下以登さんです。
HBギャラリーでの展示は2008年、2011年につづき今回で3度目となります。
— 藤枝リュウジ賞受賞、おめでとうございます。受賞されたお気持ちをお聞かせ下さい。
「うれしかったですね。15年くらいでしょうか、HBのファイルコンペにはずっと応募していました。
藤枝リュウジさんには今の絵とは違う、顔の無い絵を描いている頃から作品を知って頂いていましたので、
これまでの変化をずっと見ていてくださっていたので余計にうれしいですね。
あきらめずに描き続けていてよかったです。」
— ずっと描き続けていた事が今回の受賞につながったのでしょうね。
「線画での表現は仕事に繋がりにくかったこともあり、表現で悩み、描くのを休んだこともありました。
色鉛筆で描いていた絵で仕事が入り出していたので、この表現でいこうかなと思っていた頃、
唐仁原さんが「この線でいこうよ。他に描けるひといないんだから。」と背中を押してくださいました。
それからは「おもしろいね」と評価してくださる方が増えてきています。
自分の中でぐるぐると螺旋をたどるかのように、はじめに戻ったり、行ったり来たりしながら
今の表現にたどり着いたのかなと思います。
今回発表したような線画も、これまでの色鉛筆での表現も、両方頑張っていきたいと思っております。」
— 今回の「ふくろとじ」という展示タイトル、おもしろいですね。
以登さんの個展のタイトルはいつも魅力的なのですが、毎回悩まれますか?
「すごく悩みますね。いいタイトルをつけている作家さんがいると、やるな~!と思います。
今回の展示は物語をテーマにしようと考えていたので、候補には『目次に無かった物語』というものもありました。
藤枝さんに展示のご相談に伺ったところ、※『江戸紫絵巻』のようなものをやってみようよ!と
(※著者は井上ひさし氏、挿絵は以登さんのお父様の山下勇三氏)
ご意見をいただいたので、物語性の中に少しエロティシズムの要素も取り入れ今回のような展示に至りました。
エロ本の「ふくろとじ」という意味合いではありますが、その言葉からは、
袋をあける前のワクワク、ドキドキ感も表現できるのではと思いました。
袋のすきまから見えるように、あからさまに見えるのではない、ちょいエロな感じを今回の作品では表現しました。」
以登さんの描くしなやかな線画には、単に美しいだけではない
芯の強さや粘り強さのようなものさえ感じられました。
今回は、絵だけではなくスチレンボードを使ったオブジェの作品もあります。
様々な魅力を孕んだ以登さんの線画は、22日水曜日までご覧頂けます。
女性も男性も楽しめる「ふくろとじ」をぜひご覧下さい!
インタビュー / HBstaff 桑原紗織
2012年8月21日 1:28 PM |
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誠に勝手ながら、8月9日(木)〜16日(木)までお休みさせて頂きます。
どうぞよろしくお願い致します。
2012年8月7日 6:08 PM |
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大賞展5週目は、仲條正義さんの大賞を受賞された高橋ユミさんです。
昨年HBギャラリーで初個展をし、今回で2回目の個展になります。
イラストレーション1本でお仕事をされている、プロのイラストレーターさんです。
— 仲條正義賞受賞おめでとうございます。大賞を受賞された感想はいかがですか?
なかなかもらえる賞ではないので、本当に信じられないという感情と同時に、とても嬉しく思いました。
連絡を頂いたときちょうど電車からおりる時で、電話の声が「え?!」と大きくなってしまい、
周囲の人にご迷惑をおかけしてしまいました(笑)
— おちゃめな一面もあるんですね高橋さん(笑)コンペのご参加は何回目ですか?
出してない年もありましたが、出し始めて7年ぐらいだと思います。
参加回数は5~6回だと思います。
— 6回目にして大賞を受賞できたのですね。 何か今までとは違ったファイル作りをされたのですか?
2~3回目前から二次選考まで行くようになったのですが、ある程度一連の流れにそって制作しています。
毎年描きおろしを出品していましたが、自分の好きなもので、コンセプトにそった作品にしていました。
20点そろえるという意味でも、自分が鍛えられましたし。
— 仲條さんに選ばれた感想をお聞かせ下さい。
私の作品は他の審査員の方の好みから離れている気がしていましたし、
仲條さんがいつも選出する作家さんは、アーティスティックな方が多い印象でしたので、
毎年私の作品に目をとめていた、とお話してくれた事が驚きましたし、とても嬉しく感じました。
— 仲條さんとお会いしていかがでしたか?
私は昔から仲條さんのファンで、花椿を一冊でなく何冊かもらって保管用にとっておくぐらいだったんです(笑)
資生堂パーラーのクッキー缶のカスをキレイに楊枝で掃除して、とっておいたり(笑)
それぐらい好きなデザイナーさんでしたので、とても嬉しかったです。
実際お会いして、温和で優しそうな印象を感じました。
— 今回個展を開催していかがでしたか?
前回の個展は洋風なものを制作したので、今回は見ている人に新鮮な印象を持っていただきたく思い、
普段は描かない和風なものを中心に制作しました。
皆さんに楽しんでもらう為に、チャレンジしていかないとと思います。
受賞は自信にもつながりますね。
— この受賞が高橋さんの分岐点にもなりそうですね。
そうですね。ほめられてのびるタイプなので、これからも模索しながら自分を見せていけたらと思います。
— 話は変わりまして、高橋さんはイラストレーターさんになられて何年ですか?
また、どのようにイラストレーターさんとして活動して来られましたか?
大学の頃もイラストレーターの仕事は意識はしていたのですが、
卒業後はデザイン会社に就職し、デザイナーとして働いていました。
その頃もグループ展に参加したり、社内のイラストカットなど描いたりはしていたのですが、
29歳の時にこのままデザイナーを続けなからイラストレーションを描くか、
本気でイラストレーターになるかで迷いまして、
安定はしたかったのですが、楽しいと思う方に進みたいという気持ちが大きくなり、
後悔するならイラストレーターになりたい!と思い切って上京しました。
— 上京したての時はどのような活動をされていましたか?
最初の何年かは、知り合いのご紹介でデザイン会社でアルバイトをしたり、
専門学校の講師をしてみない?というお話をいただいたりしながら、
始めて4年目ぐらいからイラストの仕事も増えて来ました。
私は本当に縁に恵まれていると思います。
親切な方にお声をかけてもらう事が多かったです。
— デザイナー時代と今とではどのように違いがありますか?
そうですね、フリーになって責任感がより強くなりました。
社内にいるときは誰かが助けてくれたり、逆に手助けをしながら皆で作り上げて行きますが、
フリーになると私一人なので、様々な判断ややり方を自分なりに考えながら仕事をしています。
そこがフリーの楽しいところでもありますし、大変な所でもあるのですが。
ほんと病気になれないですよ!自己管理が大事です。
— 今後の目標や、活動についてお考えですか?
仲條さんからのアドバイスですが
「イラストレーションにこだわるのではなく、デザインも意識したら
相乗効果が出て、作品に広がりが出てくると思うよ」
というお言葉を頂き、自分の絵を使って何か制作してみようかと考えています。
イラストレーション、デザインと隔てなく自分が楽しいと思えるような作品を制作したいなと思いました。
あとは今回の個展の作品を持って営業にも行こうと思います。
今回の受賞を機に、また試行錯誤をしながら制作をして行きたいとお話されていた高橋さん。
新しい事への挑戦を忘れない、素敵な作家さんでした。今後の作品を拝見するのが楽しみです。
インタビュー / HBstaff 土生はづき
2012年8月7日 5:16 PM |
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