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5月2016

戸屋ちかこ個展 「Fantasy Pop」

今週の作家さんは戸屋ちかこさんです。HBでは初めての個展開催となります。
ファンタジーな世界感と、女の子のビターな表情、色とりどりの甘い色彩が魅力の作品たち。クマ、猫、魚、鳥…など戸屋さんおなじみの動物たちも登場! 戸屋さんならではのガーリーな世界感、ぜひお楽しみください!

 

 

幼い頃から絵やマンガを描くのが大好きだったという戸屋さん。幼少期にバンコクで6年間過ごしたご経験があり、現在の色彩感覚はその頃の影響もあるのかもと。原色や明るい色は今でも大好きだそうです。

 

 

イラストレーションを意識したのは6年程前からとのことですが、ここ数年でさまざまなコンペで賞を受賞され、ご活躍の場を少しずつ広げられています。3年半ぶり2回目となる今回の個展。テーマは、戸屋さんの頭の中をのぞくような、ファンタジーでポップな世界感です。自由に楽しんで描いたのが伝わってきます!

 

 

動物が大好きな戸屋さん。共存したいという気持ちや、自分の願望がオリジナルの作品には反映されるそうです。一方、お仕事では、オーソドックスなものと自分のアイデアを入れたもの、両方を描いていけたらとのこと。
動物のほかには、テキスタイルもお好きだそうで模様を見ることが大好きなのだそう。戸屋さんのご家庭は、お父さんが繊維会社でお勤めをし、お母さんが洋裁の先生だったため、常に布に囲まれた生活をしてきたそうです。絵からも模様や装飾にこだわりが感じられます!

 

 

今後も絵本やファッション、テキスタイルをはじめ、広告や出版関係も活動を広げられたらと、まだまだ目標はたくさんあるようです!そのほかアートフェアにも興味があるそうで、海外も視野に入れ仕事につながる活動をしていきたいとのことでした。国内外問わず愛されるイラストレーターさんになるのではないでしょうか!今後のご活躍も楽しみです。

 

大塚砂織個展「Tickle me colorful」

今週の作家さんは、大塚砂織さんです。HBでは約9年ぶりの個展開催となりました。

『Tickle me colorful』とは、”Tickle me pink”という言葉を捩ったそうで、”Tickle” には”くすぐる”という意味があり”Tickle me pink” で “楽しくさせる”、”大変うれしい”といった表現になるそう。
今回はそんな、色とりどりで楽しく明るくしたいという思いから『Tickle me colorful』と付けられました。
するすると気持ちよく描かれた線画と、自由な気持ちになる楽しい空想の世界。そんな大塚さんのすべて描き下ろしの最新作、どうぞお楽しみください!

 

 

展示のはじまりには、ベルギーの歌手Bent Van Looy の「Words」という歌の歌詞からイメージした作品が並びます。
何を描こう?とモヤモヤしていた時にこの曲を聞き、シンプルな歌詞がすっと入って頭の中にイメージが浮かんできたそうです。大塚さんご自身で和訳された歌詞とあわせてお楽しみください!

 

    

 

イラストレーターとして、今年で19年目を迎えられた大塚さん。仕事で描く絵ももちろん楽しいそうですが、自分で好きに自由に描くことが減っていたそうです。展示ではどの作品も、鉛筆やカラーペン、万年筆など身近な画材で描かれています。 自由に描くと表現の仕方や画材の使い方の発見があり、大塚さんご自身も手描きの楽しさを再確認できたそうです。

 

    

 

今後はこれまでの手描き&デジタルのタッチと並行して、今回のようなすべて手描きでのタッチもお仕事にしていきたいとのことでした。お仕事で頂いたものをルーティンにならないよう、なにか新しさを加えて楽しんで描いていきたいそうです。

新しいイラストレーターさんもたくさん出てきて焦りを感じることもあるそうです。けれども、焦らずに自分なりに価値観を刷新し、常に自分が一番いいなと思うことを、あまり変化を恐れずに攻めの姿勢で続けていけたら…とお話してくださいました。そんな大塚さんの、現状に甘んじない姿勢が長くお仕事を続けられる秘訣なのでしょう。今後の作品もますます楽しみです!

 

三溝美知子個展 「そこ ここ かしこ」

今週の作家さんは三溝美知子さんです。HBでは約4年ぶりの個展開催となります。

今回の展示では、心の中に浮かんだり刻まれている風景を描いた新作と、
三溝さんが挿絵をご担当された、朝日新聞朝刊の連載小説 (2015年3月までの約1年間)「マイストーリー」林真理子著の原画を展示しております。ゆったりとした時間を感じられる三溝さんの最新作、ぜひご覧いただきたいです!

 

 

ガラスやコップの水滴、シルバーの反射、水面のゆらぎなど、目の前に見える光の印象を描くことの多かった三溝さん。今回はその物を見て描くということから少し離れ、日常生活のなかで印象に残っている風景や、いつ見たのかも忘れてしまうくらい印象的な光や色をテーマに、心の中にある表現したいことに焦点をあて描かれたそうです。

 

 

 

具象を描いていたときは何故それに惹かれて描いていたのかがわからなかったそうですが、対象物にかかわらず見たときに受けた印象や、言葉になる前のもやもやとしている感じを表現したいという気持ちが、絵を描くときの原動力である、ということがはっきりしてきたそうです。言葉と言葉のあいだに漂うものたち、それを感じた瞬間はすごく絵が描きたい気持ちになるのだそう。

個展で展示をする絵には制限がないため、その原動力になっている部分に自分を合わせて描くことができる、
それを仕事の絵にも生かしていきたいそうです。

 

 

 

三溝さんにとって初めての連載のお仕事だったという新聞連載。先方からの指示やラフを提出することもなく、自分の判断で絵を描き続ける日々。連載中はご自身の絵に対し、これでいいのだろうか?という不安な気持ちでいっぱいだったそうですが、それでも、とにかく自分にできることを精一杯やろう、絶対に力は抜かずに描こう、という想いで見事に描ききりました。
もし、またチャンスが巡って連載のお仕事を頂けた際には、より印刷に映えるような絵の見せ方、描き方をしたいと仰っていました。

絵を描くのがますます楽しくなってきたという三溝さん。自分の絵にできることがあれば媒体にこだわらず挑戦していきたいそうです。絵に真っ直ぐと向き合う、三溝さんのひたむきな姿勢を感じられる作品たちでした!

 

 

高山裕子個展 「水面にうつる風景を眺めて」

今週の作家さんは高山裕子さんです。HBでは初個展となります。
本の装画を中心にご活躍中の高山さん。思わず手にとりたくなるような本の顔として、様々なジャンルの物語を彩られています。今回は”水面にうつる風景”をテーマに美しい水面の揺らぎを、高山さんならではのタッチで表現されました。ずっと眺めていたくなるようなワンシーンを、ぜひご覧いただきたいです!

 

 

 

これまでも数々の展示で作品を発表されてきた高山さん。
“いつか行きたい風景”を主なテーマとして描き続けています。
今回のテーマは”水面”。実際に目にする風景よりも、水面に映った風景の方が美しく感じることが多いそうです。そんな気づきから、風のゆらぎや水面の曖昧な表情を、高山さんならではの視点で掬いあげています。

 

 

 

描きすぎずに表現できる高山さんのタッチと、水面というテーマがぴったりな今回の作品たち。実際に行きたい風景と、水の異次元な雰囲気、さらにはどこかわからない空気感がプラスとなり、見たことのない景色が生まれました。自分にしか見えないような、人の気づかない光の部分などを描いていきたいそうです。

これからも装丁のお仕事はもちろんのこと、これまでやってこなかったような絵のお仕事もしてみたいそうです。ご自身では、作品をファブリックにした”着れる絵”としても展開されています。絵をもっと身近に感じてほしい、という想いがたくさんの方に伝わるのではないかなと思いました。今後のご活躍も楽しみです!

 

↑高山さんの絵がプリントされたファブリック「水面」