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5月2017

山浦のどか個展「BAGLE PARTY」

今週の作家さんは山浦のどかさんです。HBでは初めての個展開催となりました。
昨年のHBファイルコンペVol.27で鈴木成一さんの特別賞を受賞された注目の作家さんです。
色鉛筆の繊細なタッチで、独自のユニークな模様を描く山浦さん。抽象から具象、さまざまなモチーフに挑戦されました。ベニヤ板を切り出して描いた作品や、四季をテーマにした立体作品など、質感にこだわった楽しい空間となっております。ぜひお越しくださいませ!

「Morning Plate」

 

今回は山浦さんがいつか描きたいと思っていたという”食べ物”がテーマです。抽象画から徐々に具象画を描くようになってきそうですが、なかなか食べ物を描くきっかけが無かったとのこと。しかし、山浦さんご自身に環境の変化があったことで、食べ物への見方が変わってきたそうです。食材の選び方や盛りつけ方、こんな工夫をしたら美味しそうに見えるかも…など、気持ちが自然と食べ物へ向くようになり、今回の作品につながりました。ベーグルのねじり、フルーツのしずる感、食器の光沢や質感など、どんなモチーフを描いても山浦さんの作品と一目でわかるユニークなタッチです。

 

「枕」

 

グラフィックデザインを専攻していた大学生時代。就職活動の息抜きとしてベニヤ板に絵を描き始めたのが、今のタッチになるきっかけだったそうです。光を表現しているもので、色々な人が身近に感じるモチーフとして、髪の毛のキューティクルを描くのに夢中だったとのこと。ベニヤ板は最初は四角いまま描いていたそうですが、自分で形を作った方がおもしろいしと思い、板を切り抜いて描くようになりました。下書きの線にこだわらず、その時の気分で感覚的に切ることも大事にされるそうです。

 

四季をテーマにした立体作品。

 

「Lunch Plate」

 

予備校時代のデッサンで描いていたモノトーンの世界。その頃から光るモチーフがお好きだったそうです。ガラスや貝がら、金属、サテンの布…など、今も光を魅力的に描く山浦さんのテーマの原点がそこにありました。
会場では山浦さんオリジナルのハンカチやブローチなどグッズも充実しております。ぜひお立寄りくださいませ!

7月7日からの特別賞6人によるグループ展もぜひお越し下さいませ!http://hbgallery.com/schedule/index.php?bg=201707

 

 

大久保つぐみ個展「beautiful town 18時」

今週の作家さんは大久保つぐみさんです。ご自身初めての個展開催となりました。
色とりどりのマーカーで、思い思いに色をのせて描く大久保さん。普段は見過ごしてしまいそうな、何気ない日常のワンシーンを描かれました。美しい色彩の原画をぜひご覧いただきたいです!

 

今回の個展テーマは身近な街。ご自身の住む街や、行ったことのある場所を大久保さんならではの視線で描かれました。個展タイトルの「18時」には、季節的に日が長くなってからの18時、まだまだ遊べる明るい夕方のイメージが含まれているそうです。影がのびる様子や、夕暮れ時の空の色を思わせる色彩、光の様子が瑞々しく表現されています。

 

 

植木鉢がたくさん並ぶ玄関、壁がつぎはぎの家、大きな黄色い実のなる庭木、街の掲示板、ゴミ袋が積み重なった集積所…など、住んでいる場所や育った街は違うけれど、誰もが一度はどこかで見たことのある風景。 作品からは、何気ない風景にも足をとめる、大久保さんの視線が感じられます。

 

 

元々は大学で油彩を描いていた大久保さん。その頃から楽しく描ける題材が植物だったそうです。自分の描きたいスピードと画材が合わず、そんな時に描いてみたのがマーカーだったとのこと。下書きをせず、直接紙にインクをのせていくそうです。ご友人のアドバイスがきっかけで現在のタッチになり、楽しくてどんどん作品が増えていったそうです。

 

 

いつかご自身の絵を大きく引き伸ばして見てみたいとのこと。大久保さんが使用しているマーカーは、インクがはやく乾いてしまう点やペン先が細いことから、大きな絵を描くには限界があるそうです。巨大なポスターや広告になったときの絵を見てみたい、とお話してくださいました。舞台がお好きだそうで、宣伝のチラシのお仕事をするのも目標とのこと。本の装画など、まだ経験したことのないお仕事が多いためどんどん挑戦してみたいそうです。今後のご活躍も楽しみです!

 

平井利和個展「繋がりたい気持ち」

今週の作家さんは平井利和さんです。昨年2月のHBでの個展以来、2回目の開催となりました。
今年のザ・チョイス年度賞で見事、優秀賞に選ばれた今とても勢いのある平井さん。その受賞作となった、新作の力強いポートレイト作品を中心に、お仕事の原画やご自身で刷ったシルクスクリーンのグッズなど盛り沢山の会場となっております。ぜひお越しくださいませ!

 

『繋がりたい気持ち』と題した今回の個展。平井さんがはじめて手掛けたイラストレーションのお仕事、伊藤忠商事の原画から展示はスタートします。その絵を見た方から次のお仕事へ繋がり、それを見た方からまた次のお仕事へ…と、そんな平井さんのお仕事遍歴を見ることのできるユニークな展示構成となっています。

 

 

昨年の個展後、ご自身で作品集を作り売り込みをされた平井さん。500冊配り、徐々に装画や挿絵のお仕事に繋がったそうです。雑誌 POPEYE、Tarzan、Ginzaのお仕事など会場でもご覧いただけます。
現在発売中のNHKテキスト『Enjoy Simple English』では連載を担当。いつかやりたいと目標にしていたお仕事だったそうでとても嬉しかったとのこと。江戸川乱歩の怪人二十面相に挿絵を描くお仕事で「目の強い感じ」というイメージから平井さんにご指名があったそうです。誌面レイアウトにも平井さんのアイデアがつまっています。

 

 

前回の個展後からポートレイトを描くようになったという平井さん。はじめた頃は竹ペンで描いていて、今よりもっとエッジの効いた作品だったとのこと。もっと大きな絵を描きたいと思い、以前使っていた日本画の筆で描いてみたことで今のタッチになりました。日本画用の筆はこしがなく、ひきずるような線が描けることが平井さんの好みだったそうです。なめらかな線が見ていて心地よい作品たちです。
新作には、烏口やステンシル、版画など、少し不自由でなかなか思うようにいかない画材を楽しんで描いている作品も。仕事の絵では完成度を求めるため、そればかりだと時々行き詰まることもあるそうです。そんな時に、はみ出すようにおもいきり描くことで、仕事の絵にもよい影響になるようです。

 

  

平井さん手刷りのシルクスクリーンのグッズたち。
ポストカードは一枚一枚、手で着色しているためそれぞれ色のニュアンスが楽しめます!

 

 

今後はポートレイト作品でも売り込みをし、広告のお仕事に繋げたいとのことでした。HBファイルコンペで大賞を狙い、来年の夏は個展を開催するという目標もあるそうです!これからもどんどんご活躍の幅が広がりそうで楽しみです。