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5月2019

おぎわら朋弥個展 「またね」

今週の作家さんはおぎわら朋弥さんです。昨年のHBファイルコンペVol.29では鈴木成一さんの特別賞に、今年はザ・チョイス年度賞大賞に選ばれたおぎわらさん、今回が初めての個展開催となりました。おぎわらさんの描く油絵の具の筆跡が想像力をかきたてます。お楽しみに!

 

 

散歩で会った誰かの家の愛想のいい犬、普段の帰り道、最近行かなくなった公園、思い出の中のあの子…いいなと思うふとした瞬間を描かれました。自分の気になったものを描いた結果、また会いたい思い出のような…そんな作品になったそうです。

 

 

油絵の具で、厚紙やキャンバスペーパーに描かれているそうです。
その場でお持ち帰りができる小さな作品もたくさん展示しております。この機会にぜひどうぞ!

 

 

おぎわらさんが手掛けられたお仕事の数々。初めての装画のお仕事はパステル画で描いた作品だったそうです。
これからも、アーティストではなくイラストレーターとしてやっていきたい、とおぎわらさん。絵本を作ることを目標にされているそうで、長い目でのんびりと作っていきたいそうです。

再来月、7月5(金)~7/10(水)にはHBファイルコンペVol.29 特別賞6人展も控えています。こちらもお楽しみに!

もとき理川個展「マニアックしりとり2」

今週の作家さんはもとき理川さんです。HBでは3年ぶり5回目の個展開催となりました。
「ん」からはじまるユニークなしりとりをテーマに、カッティングシートの切り絵を用いた、もときさんならではの楽しいカタチと色彩をお楽しみください!

「マリインスキーげきじょう」【マリインスキー劇場】

 

今回のテーマは、3年前に展示のために制作された手作り絵本「マニアックしりとり」の続編です。前回が「ん」で終わっているため、再開も「ん」からはじまるしりとり。あまり一般的ではないという言葉やモチーフはインターネットで検索し、出来る限り自分の意志が入らないような、あえて絵にならなそうなものを選ばれたそうです。それでも、どの作品ももときさんのタッチで見事に表現されています!

「シュールストレミング」【surströmming】

「ルガー」【Luger】

作品は黒色をベースに7色のカッティングシートで構成されています。中には、そのモチーフにまつわる各国の言葉が切り絵になっているものも。文字を切る作業が一番楽しい、ともときさん。元々、外国語がお好きだそうで、Wikipediaで翻訳されたドイツ語やフランス語、ロシア語…など正しい翻訳で説明されていて、とても勉強になったそうです。描くモチーフは分野も様々に、国も偏らないように意識されたそうです。

「らししょくぶつ」【裸子植物】

「うたごえきっさ」【歌声喫茶】

オリジナルグッズはトランプを制作。前回の「マニアックしりとり」20点と今回の新作32点、52点すべての絵が収録されているZINEのようなトランプです。¥1800で好評販売中!

お仕事では本に関わるものが多く、表紙や中扉、カットなどまるまる1冊担当することも増えていて嬉しいそうです。「タイトル文字も描いてほしい」という依頼も増えているとのこと。会場には普段のお仕事の本もずらりと並んでおります。カラフルな色彩もお好きだそうですが、今回の作品のように落ち着いた色合いの絵でもお仕事をやっていきたいそうです!

もとき理川個展「マニアックしりとり2」は5/22(水)まで(最終日のみ17時まで)です!ぜひ見に来てください!

平井利和個展「熊を放つ 第一章ジギー」

今週の作家さんは平井利和さんです。HBでは昨年のHBファイルコンペ大賞展以来、約10ヵ月ぶり4回目の個展開催となりました。今回は、小説家ジョン・アーヴィングの処女作『熊を放つ』の第一章をテーマに描かれました。自由自在に描かれた線画の数々をお楽しみください!

今回のテーマは2016年頃から温めていたものだったそうで、きっかけはHB塾の課題で取り組んだ、黒1色でスケッチブックを1冊描くという授業だったそうです。そこで20歳の頃に読んでいたという『熊を放つ』をテーマに。その後、2017年4月〜18年3月までのNHKラジオ『エンジョイ・シンプル・イングリッシュ』のテキストブックでイラストレーションを担当することになった平井さん。『熊を放つ』の描き方をそこで発展させられるいい機会だなと思ったそうです。黒1色の描き方を徹底したり、ページものの見せ方を意識して描いていたことが、このお仕事でとても役に立ったとのこと。

昨年の年末は仕事がなく悔しかったそうで、HB塾卒業した後もまたスケッチブックを描き始めたそうです。今は第2章『ノートブック』を描いているとのこと。

 

 

 

今回は新たに白色を使って描いた作品も。とらやの御棹菓子見本帖のようなイメージで、年月が経ち、黄ばんだ紙の上に白く浮かび上がるような絵になったらいいな思いながら描いていたそうです。絵の中に手描き文字を入れたのは、フィリップ・ワイズベッカー、ポール・コックス、葛西薫など、平井さんが影響を受けた方々のエッセンスを含んでいるとのこと。色は黒を基調にするルールを自分の中で作っていたそうです。

 

 

滑稽だったり、ちょっとオーバーだったりするところもあれば、ラストは重い方へどんどん向かって行く感じが、ジョン・アーヴィングの好きなところだそう。20歳の頃に読んだ際には、中盤あたりまでが読みづらく一旦は断念したそうですが、ラストの疾走感はとても面白かった印象だったとのこと。また大人になって読んでみると、アーヴィングが実験している感覚がわかり、彼自身が変わっていっているのがわかり面白かったそうです。絵を描くにあたり、はじめは物語の1シーンを描いていたけれど、途中からは場面をコラージュするように描くようになったそうです。抽象的なニュアンスも多かったことから、そこへ合わせていったとのこと。

 

来年、再来年と続けて個展を開催予定の平井さん。再来年は『熊を放つ』第2章のノートブックをテーマにされる計画中とのこと!お楽しみに。