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3月2016

もとき理川個展「フランスのカリスマ」

今週の作家さんはもとき理川さんです。HBでは4回目の個展開催となります。
作曲家、作詞家、映画監督、俳優、歌手…と、多くの肩書きを持ちマルチな才能で愛されたセルジュ・ゲンスブール。波瀾万丈な人生を予期させる誕生のエピソード、数々のスキャンダルや事件、終焉までを、もときさんの軽妙かつ饒舌なタッチで見事に描かれました。エピソードとあわせてお楽しみくださいませ!

 

 

今回のテーマは、もときさんが何年も前から描きたかったというゲンスブールについて。
音楽をテーマに個展をしようと思っていたそうですが、調べて行くうちに、元々好きだった彼の人生があまりにも面白すぎたため、音楽を離れ、1人の歴史にテーマをシフトしていったというほど、彼の人生は波乱に満ちていました。
もときさんは、実際にパリへ取材に行かれ、彼のお家もお墓も訪れたそうです。

 

 

 

 

調べていくほど魅力的なキャラクター、そして、普通に生きていたら絶対に起こらないような数々の出来事や事件。

ゲンスブールが生まれた当時は、夫婦の仲が良くても移民は食べていけないため、子どもが出来ても始末しようという時代だったそうです。しかし中絶すると死刑になるという時代背景、ユダヤ人だったため何度も殺されかけた家族…そんななか、あることがきっかけで中絶に失敗し、誕生したのがゲンスブールだったそうです。この人の人生ってどんなものなのだろう?というところから、彼への興味が湧き、ドラマチックな生い立ちから、その後ビジネスで成功をおさめていく様子、手当たり次第な女性関係などが、ユニークに生き生きと描かれました。

 

 

 

今回もさまざまなタッチに挑戦されたもときさん。最近はまっているという、ステンシル技法も取り入れました。心にじんわりと来るような、あたたかみのあるタッチはもときさんの新境地とも言えるのではないでしょうか。
しかし、技法にとらわれることなく、ゲンスブールの人生を描き出すことに特筆した今回の作品たち。
1枚1枚、ゲンスブールへの愛情が込められています。ぜひ見に来てください!

 

北住ユキ個展「マリー・キュリー」

今週の作家さんは北住ユキさんです。HBでは初めての個展となります。
2度のノーベル賞を受賞した科学者、キュリー夫人の生涯をテーマに、北住さんならではの色彩と、表情豊かなマチエールで描かれました。物語とあわせてお楽しみください!

 

 

古本屋さんで出会った『放射能』というマリー・キュリーについて書かれた、絵本のような1冊をきっかけに、今回の展示テーマに至ったという北住さん。小学生の頃に読んだ偉人伝の印象が強かったキュリー夫人、この本では私生活にも焦点をあて、恋愛や不倫などさまざまな要素を含んだ内容でとても興味深かったそうです。それを自分なりの描き方で描いてみたいと思い、今回のテーマに繋がりました。ラブストーリーであり歴史でもある、100年前のことが今に繋がっていて、そんなに遠くない出来事の数々。キュリー夫人のひとりの女性としての一面が、北住さんならではのタッチで表情豊かに瑞々しく描かれました。

 

 

 

セツ・モードセミナーで勉強された後、これまでずっとイラストレーションのお仕事をされてきた北住さん。雑誌のイラストレーションが多く、流行に合わせた画風で描くことが多かったそうです。仕事の絵ばかりで、自分の描きたい絵を描かなくなっていた頃、MJイラストレーションズへ入塾します。はじめの頃は評価はなかったものの、好きな人の影響を受けたり、いろんなものを見て行くうちに、徐々に自分の絵が見えてきました。
2年前程から現在のタッチで描くようになったそうで、原画は紙に絵の具を塗ったものを貼り絵のように構成されています。

近年ではコンペへ出品して作品を知ってもらうこと、FlickerやTumblrなどを利用し、作品を頻繁にアップすることを習慣にしているんだそうです。今後もいろんなお仕事をやってみたいそうですが、特に物語が好きなので自分の絵柄に合った内容のものを描けたらと仰っていました。HBファイルコンペVol.26では鈴木成一さんの特別賞に輝いた北住さん。7月には特別賞者6名でのグループ展も控えています。夏の展示もお楽しみにしていてください!

 

 

谷端実個展「縁起者」

今週の作家さんは谷端実さんです。HBでは初めての個展となります。
一富士二鷹三茄子、松竹梅、亀、龍、白蛇…などなど、日本の縁起物を身に纏った、
ユニークなキャラクターたちが勢揃いしました!谷端さんの独特のカラーや、大胆かつ繊細なタッチが存分に楽しめます。隅々までじっくり見ていたい、そんなキャラクターたちにぜひ会いに来てください!

 

 

10歳上のお兄さんの影響で、仮面ライダーやウルトラマン、ソフビ人形、キン肉マン消しゴムが大好きだったという谷端さん。初期の頃の映像の色味や、オレンジ色をした昔のウルトラマン、画面にホコリが入りこんでしまったままの昔の映像…などたまらないものがあるそうです。絵を描く上では、パソコンに取り込むと簡単に消えてしまうようなゴミ、紙のシワ、ホコリ…そういったものも大切にされているそうで、それも含めて見せることのできる、原画での展示が嬉しいそうです。

 

 

大学時代は、寺門孝之さんに絵を教わっていた谷端さん。
紙の端っこが折れたり、汚れたりしても「事件が起きた!」という表現で「良し」と言ってくれる寺門先生。
のびのびとした楽しい教えが、今の谷端さんのスタイルにも影響しているのかもしれません。
谷端さんも「楽しんで描いているなと伝わったら嬉しいです」と仰っていました。

 

 

今回描かれた縁起物のモチーフは、浮世絵の縁起巻きを資料にされました。
キャラクターのフォルムは、思うままに手を動かして描いているそうです。

縁起のいい黄色とモノクロの線画のタッチも味があって好評です!

 

 

CDジャケットや、雑誌「POPEYE」「Number」でのイラストレーションなど、少しずつお仕事が増えて来ている谷端さん。
これからはまだやったことのない、本の装画を描くのが目標だそうです。物語を読んでイメージして描くことで、自分の世界で終わらず、開いている感じの絵が描けたらなとお話されていました。次は女の人も描いてみたいそうです!

ずっと憧れだったイラストレーターという職業。仕事もたくさんこなしていきたい、と抱負を語ってくれました。今後の展望については「これからもなるべく正直に生きたい。絵を見ることも大好きなので、イラストレーションが身近にある人になりたい。がんばっていきたいです!」とのことです!

 

 

田辺俊輔個展「ストーン・フェイス」

今週の作家さんは田辺俊輔さんです。HBでは初個展となります。
学生の頃から大好きだったという役者、バスター・キートンをテーマに、映画のワンシーンや、キートンの歴史や半生を描かれました。 キートンの飄々とした表情や、昔の映画を思わせるような、セピアがかった鉛筆線がとてもよい風合いです。ぜひ見にいらしてください!

 

 

阿佐ヶ谷美術専門学校でイラストレーションを学ばれていた田辺さん。
学生の頃は、毎週、画風や画材を変えて描く試行錯誤の日々だったそうです。高校まではほとんど絵筆をもつ経験のなかった田辺さん、専門学校に入ってからは筆に変わる武器を探すため、クレヨンで描いてみたり、フィルムの現像をするように印画紙に写したりと、さまざまな実験を試みました。追究した結果、現在のタッチであるコピー機を使用した手法に辿り着きます。今回の作品も、アナログの温かみもありながら、デジタルでしか出せない田辺さん独特のタッチで表現されました。

 

今回の展示テーマに選んだのは、学生の頃から大好きだったという役者バスター・キートン。
チャップリンほど有名ではないというキートン、同年代や20代の若い人にはあまり知られていないのでは?という思いから、展示で知ってもらう機会になれば!と話されていました。タイトルになった「ストーン・フェイス」は、いつも無表情なことがトレードマークのキートンのあだ名から来ているそうです。作品を描くために、30本ほどキートンの映画を見て研究した田辺さん。おすすめ作品は「マイホーム」と「探偵学入門」だそう!

 

 

 

田辺さんがイラストレーターとして本腰を入れはじめたのはここ1~2年。大好きなイラストレーションに、まとまった時間を作りたいという思いから、昨年まで勤めていたDTP関連のお仕事を辞められて、今はフリーランスで活動をしはじめました。初のお仕事は、今月発売号の文芸誌「kotoba」で描いたイラストレーション。映画と本にまつわるお話で、ご自身の好きなものとリンクしていて嬉しかったそうです。今後のご活躍もたのしみです!

 

 

そんな田辺さん、4/8(金)から3日間は、
中銀カプセルタワービル内でのイラストレーションの展示も決まりました!こちらもぜひお見逃しなく!

 

田辺俊輔個展「中銀カプセルタワー」
2016年4/8(金)〜4/10(日) 13:00~17:00(入場受付16:00まで)
場所: 中銀カプセルタワービル
※入場無料・要予約

予約方法: 「希望日・展覧会予約」を件名に、氏名・職業・年齢・住所・電話番号・メールアドレスを本文に明記のうえ、ginzamikke@outlook.jp宛にメールにてお申し込みください。3/7(月)より予約受付を開始いたします。
※展示場所以外への立ち入り、見学はお断りいたします。