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10月2014

和田誠個展「画家群像」

今週はHBギャラリーでは毎年恒例の、和田誠さんの展覧会です。
今回は画家をテーマに、ピカソやマティス、ダリ、ゴーギャンなど世界の画家のポートレイトを制作されました。
顔の特徴はもちろん、服装や背景なども入念に資料を探され、それぞれの画家の特徴に合わせて描かれたそうです。

今回はそんな和田さんの新作、全12作品を展示・販売しております。
画家のポートレイトはこれまであまり描かれたことのないテーマだそうで、
和田さんにとってもチャレンジングで新鮮な展覧会となりました!

 


「パブロ・ピカソ」

 


「サルヴァドール・ダリ」

 

作品はすべてリキテックスプライムという和田さんお気に入りの画材で描かれています。
発色も美しく油絵のような質感で、上品な佇まいです。
展示作品の中には知る人ぞ知る画家も!

 

 

「フリーダ・カーロ」

 


「ヴァンサン・ヴァン・ゴッホ」

 

会場では、和田さんの新刊やポストカードなど会場限定のグッズも充実しております。
この機会にぜひお求め下さいませ!

和田誠個展「画家群像」は11月5日(水)17:00までです。お見逃しなく!!

 

菅野裕美個展「木漏れ日のように」

今週の作家さんは菅野裕美さんです。HBでは5年ぶりの個展となります。
物語の世界観や、登場人物の感情を繊細に描くことのできる菅野さん。
これまでに数々の装画や小説の挿絵を手掛けられています。
今回は新作とあわせて、お仕事の原画を展示しております。 ぜひお越しくださいませ!

 

 

— DMの絵やタイトルがとても素敵だなと思いました。どんなイメージで描かれたのですか?

タイトルを先に決めて、DMをどうしようかと考えたとき
明るい色にしようというのがまずありました。
木漏れ日というと、薄暗くやわらかい感じですが、明るい色を使いたいと思いました。
イメージを膨らませているような絵になっています。

オリジナルの絵を描くときは、こういう風に描こうと決めずに描くことが多いです。
あまり決めすぎると固くなったり、自由な発想が出てこなくなることがあるので、
なるべく決めすぎず、描き始めています。

 

 

— 菅野さんのような作風の場合、普段のお仕事では依頼される際にどのくらいの指定がありますか?

私の絵を使いたいと思っている方は、かっちりとしたものよりは、世界観や空気感を
求めている方がほとんどなので「登場人物を2人載せたい」とか顔の向きの指示があるといった具合です。
ほかに、庭やバラなどのアイテムが物語で重要な場合は
デザイナーさんからふわっとイメージを提案される場合もあり、
そういった場合は自分の中でチャレンジで、自分の色を固くならずに出そうという気持ちで描きます。

 

 

— 菅野さんの絵が表紙だと読んでみたいという気持ちになります。
本の表紙は目立つ存在だと思うのですが、描く際にどんなことに気をつけていますか?

目にとまるときは遠いところに置いてあったりもするので、
実際に絵を遠くに置いて、引いて見たりもします。
あとは人物の表情です。こうしようと思ってやってる訳ではないのですが、
話を読んで気持ちが入っていくと、そういう絵が描けます。
人物を描く事が多いからかもしれませんが、役者が演技をすることに似てるなと感じています。
客観的な面もありますが、登場人物を演じているような感覚で
物語に入り込むことで何か惹き付けるものが描けるのではと思っています。

 

 

— 菅野さんの描く表情がお好きな方は多いと思います。最後になりますが、今後どういうお仕事をやってみたいですか。

絵本が合いそうだねとよく言っていただける事もあり、興味があります。
物語を1つ1つ絵で表現していくことがチャレンジであり、力量がいることだと思うので、
自分の中で出来る事が増えるんじゃないかなと思っています。
また、細かい指定をうけても自分の色が出せるような、
職業イラストレーターとしてはまだまだなので、できるようになったらいいなと思います。

 

井上文香個展「パリの思い出」

今週の作家さんは井上文香さんです。HBでは初個展となります。
パリで1年間滞在されていたことのある井上さん。
今回はその当時の思い出深い風景やエピソードを、透明感ある瑞々しいタッチで描いています。
会場いっぱいに飾られた作品は見応えたっぷりです。

 

 

— 今回の展示テーマをお聞かせください。

いつか描きたいと思っていた、パリでの思い出を描こうと思いました。
ずっと描きたいと思っていたけど、描けなかったのでそれを今回HBでやらせてもらうということで、
なんだか出来そう、やろう!という気持ちになりました。
いい舞台で、今までやりたかったことを出し切りたいという想いで
チャレンジという気持ちが大きかったです。
ぱっと思いついたことよりも、やりたかったけどたまっていたことを、自分なりに爆発させた感じです。

 

 

— 展示作品も多く、とても見応えがありますね。一堂に飾ってみて、改めて感じたことはありますか?

細かい事が気になる方なのですが、できるだけ気にしないでどんどん描こうと思ってはいました。
飾ってみて、改めてそれでよかったと思います。自分の中でよりシンプルに自然に描けるようになったと思いました。
量を描いてみないとわからなかったので、良かったと思いました。

 

 

— 自然と筆が動いているようでとてもいいですね。井上さんは普段から色々なタッチで絵のお仕事をされていますが、
今回展示された作品のタッチでもお仕事をやってみたいというお気持ちはありますか?

ぜひやってみたいです。自分の中で自然に描けた感覚があったので、
こういうことをお仕事にもできたらいいなと思います。

— 以前の絵と比べて、どんどん変化している印象がありますね。媚びていない感じが好きです。

自分の中で自然に自由に描けるように、マッチする感じを求めているところがあって、
そういうものが人に伝わることで、個性と感じてもらえるようなものになったらなと思います。
変化を求めているというよりは自分と絵の距離を縮めたいという気持ちです。

 

 

— 自分の気持ちと絵にズレがないような感覚ですか?

はい。これだけの量を描いて展示することは、自分にとって貴重な経験、財産になりました。

— すごく素敵な展覧会だと思います。最後に今後やってみたいお仕事などありましたらお聞かせください。

文芸誌や、新聞の小説など回を重ねていけるようなお仕事にも興味があります。
1回、1回だけれど、お話と共に継続しているところがおもしろそうだなと思います。
でも、今回の絵でできることはいろいろやってみたいです。

 

 

藤枝リュウジ個展「凸と凹と」

今週は、HBでは毎年恒例となっている藤枝リュウジさんの展覧会です。

今年のテーマは「凸凹」。そのチャーミングな形からうまれた、
かわいらしいキャラクターたちとの、ユーモアたっぷりな世界観がうまれました!
ポップな色と形、自由な作風は見ているだけでほのぼのとした気持ちに。
そんな藤枝さんの新作イラストレーション、全32点を展示・販売中です!ぜひお越しくださいませ。

 

「名木デコボコ」

「デコボコ美術館」

 

マジックでぐいっと描かれた、たのしい線!
間近で見ると、絵具の質感もおもしろいんです。

 

「ニャンとも」

「ワンダフル」

 

ちいさな動物シリーズは、みんなキスしてます!
お部屋に飾りたいなぁ、と思うようなかわいらしいものばかりです。
藤枝リュウジ個展「凸と凹と」は10月15日(水)17:00までです。お見逃しなく!!

田尻真弓個展「おそろい」

今週の作家さんは田尻真弓さんです。
ご自身4年ぶりの開催で、HBでは初個展となります。

これまで多くの装画や挿絵を手がけられている田尻さん。
女の子や、動物の絵を描かれる印象がありますが、今回の展示では「モノ」をテーマに
男女をユニークな視点で描いています。
お仕事の作品をまとめた、特大サイズの原画ファイルも必見です!お見逃しなく!

 

 

— 今回のテーマはどのように決められたのですか?展示構成もおもしろいですね。

最初は、唐仁原さんのところへ個展の相談に行かせてもらいました。
今回、展示しているようなモノの絵ではあまりお仕事をしていないので、
あまり人に見せてない絵をやった方がおもしろいんじゃないかと。
普段、お仕事で描くことの多い人物や動物以外で描こうと決めたのが最初です。

展示タイトルをイラストレーターの佐藤香苗ちゃんに相談したところ、
「形容詞が合いそうだね。」とアドバイスをもらい、形容詞の言葉の中からタイトルを探しました。
ギャラリーの右壁と左壁を分けて「対」にするということは決めていました。
それからは、展示する点数分のタイトルを決めてから、絵を描き始めました。

— 言葉が先にあったのですね。

普段の仕事も、タイトルと原稿ありきで描く絵を決めているので、
先にタイトルを決めて、しばりをつける方が膨らませやすいです。
ゼロから1は大変だけど、1から2は大変じゃないような気がします。

 

 

 

 

—  田尻さんがイラストレーターを目指したのはいつ頃ですか?

30歳を過ぎてからです。その頃は、DTP関係の仕事をしていて
仕事では素材集からばかりしか絵を使えず、つまらないな…と思っていました。
友人に相談したら「じゃあ辞めなよ」と言われて、会社にはその日に「辞めます」と言いました。
でもすぐには辞められなかったので3ヶ月後に辞めました。

その頃、一人暮らしをしていたので、派遣の仕事をしながらお金をためて青山塾に通いました。
2年間通っていました。

 

 

 

— 青山塾時代から、絵のお仕事はされていましたか?

在学中は仕事はしていませんでした。たまにコンペに出すくらいでした。
まだ仕事をできるところまで自分は達していないと思っていて、
もっと勉強したい!3年目も通いたい!と思っていました。
ペーターズのコンペで賞をいただいたことを機に活動を始めようと思い、
売り込みにも少しずつ行くようになりました。

 

— お仕事の絵を描くときに、気をつけていることや、これだけはゆずれない!ということはありますか?

自分が今出来ることや頑張れること、その時の描けるベストは尽くそうとしているつもりです。
「これでいいかな?」というのは、お金を頂いている限りしてはいけないと自分では思っています。
自分で手抜きをしないでやれたかどうか。
他の方がどう見るかは別として、自分自身の中で「ま、いっか」がないようにとは思っています。

 

 

— 原画を拝見すると、そのプロフェッショナルな姿勢がひしひしと伝わってきます!
最後になりますが、今後はどんなお仕事をしてみたいですか?

本や雑誌以外のお仕事もやってみたいなと思っています。
それ以外では何もやったことがないので。

仕事がつまりすぎているとか、法事で…とか、どうしようもないこと以外ではお断りしないので、楽しいお仕事をぜひやれたらなと思います。

— ありがとうございました。今後のご活躍も楽しみにしております!