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8月2014

松倉香子個展「どこかへ一緒に行こう。」

今週の作家さんは松倉香子さんです。今回がご自身の初個展となります。

淡い色彩の世界の中に、ぽつりと佇む人物。
松倉さんの作品は、儚げで消え入りそうな世界のようで
でも、見る人の心にずっと残るような圧倒的な存在感があります。

新作のほかこれまで手がけられたお仕事の貴重な原画も展示しています。
松倉さんの集大成、ぜひ見にいらしてください!

 

 

— とても見応えがありますね。今回が初個展とお聞きして驚きました。

普段勤めているので、あまり在廊できないなと思い、なかなかやる機会がなかったのですが
ここ10年で作品がたまったので展示をしてみようと思いました。

 

— 絵はいつ頃から描かれているのですか。

小さい頃から絵は好きだったのですが、描きはじめたのは17年前くらいです。
青山塾やパレットクラブができたばかりの頃に通っていました。
その頃は教室へ行っただけで満足していて、絵は全然描いていなかったのですが…

その後、ギャラリー勤務をしながらコンペに出すようになりました。
絵を仕事にしようという気持ちよりは、ただ漠然と描きたいという気持ちの方が強かったです。

 

 

— 絵をはじめるきっかけは何でしたか?

最初に勤めた住宅関係の仕事で、よく建築事務所へ営業に行っていたのですが、
そこで建築家の方が1人で色々と作っているのをみて、羨ましいなと思ったんです。
自分で作り出す仕事っていいなと思いました。
それから自分も絵が好きだったことを思い出して、教室に通い出しました。

— 描きはじめた頃から、今のようなタッチだったのでしょうか。

最初の頃はいろんなタッチに振り回されていました。
鉛筆で描いたり、パソコンで描いていた時期もありました。
自分の描きたいものを描いてみたときに、コンペにひっかかったという感じです。

 

 

— 絵を描くときに、頭の中でイメージしたものをはき出すような描き方をされますか?

自分の中で2パターンあって、あらかじめ構図を考えて描くときと、
描きながら「どうなるかな?」と進めていくときがあります。最近は後者の方が多いですね。
ササっと構図を描いてからの方が、あとから気に入るものが多いのですが、なかなか難しいです。
構図が決まってしまえば、あっという間に描けます。

 

— 画材は何を使われているのですか?

アクリル絵具と、 壁画用の画材を使っています。その上に水彩絵具で描いています。
以前、仕事で壁用の絵具を使う事があって、大量に残っていたものを使ってみました。
絵具を盛って描くのがけっこう好きです。

 

 

— 装飾の部分が白く盛り上がっていて質感が面白いですね。
描くモチーフも独特で素敵だなと思いました。恐竜の骨や流木など、絵のポイントになっていますね。

最近は、水草や流木のあるアクアリウムのような世界観にはまっています。
人物に関しては、見た人によって合わせられるような、自分を投影できるようなものがいいなと思っています。
少年なのか少女なのか、どちらにも見えるような曖昧な描き方をしています。

 

 

— 人物の表情もとても好きです。今後、こんなお仕事をしてみたいというものはありますか?

やなせたかしさんが詩と絵を書かれた素敵な本があるのですが、
いつか自分でもそんな本を作ってみたいなと思います。

— それはぜひ見てみたいです!拝見できるのを楽しみにしております。

 

仲條正義賞 角田正之個展「平面ブルース展」

HBファイルコンペvol.24 大賞展7週目は仲條正義賞を受賞された、角田正之さんです。

不思議なマスクをかぶったような、愛らしいキャラクターが多く登場する角田さんの作品。
一体これは何だろう?と、見る人を惹き付けるユニークさが魅力です。
どの作品も純粋に、手の動くまま楽しく描いている様子が伝わってきます。

今回は5回目の応募で、見事に大賞に輝きました。そんな角田さんの集大成をぜひご覧ください!

 

 

 

— 今回の展示はどんなテーマで描かれたのですか?
フラットっぽいのを描いていたり、ペタっとしたものを描いています。
トッカフォンドが好きで、深みのある悲しげなものを描きたいなと思って制作しました。

— 不思議なキャラクターのようなものがたくさん出てきますが、顔が特徴的ですよね。マスクのような。

あまり表情を描きたくなくて、人にフォーカスされる気がしてちょっと嫌だなと思いました。
顔にマスクをかぶせたり、色で塗りつぶすような描き方になりました。
画面の雰囲気で見せたいというのがあります。

 

 

—  描くときには、物語や設定など決めているのですか?

設定を考えて描くときもあるのですが、まじめな絵になってしまってダメなことが多いです。
そういう描き方も嫌いではないのですが、考えないときのほうが描けます。
絵の具を散らかしたりして、塗りつぶしていく途中で形にして、画面上で変わっていく感じが描いていて楽しいです。

 

 

— 楽しく描いているんだろうなというのが伝わってきます。
今後、こういうお仕事をしてみたいなどありますか?

何かあればぜひやってみたいですが、そんなに欲求が強いわけではないです。コンペも仕事につなげたくて
応募したというよりは、審査員の方々に自分の絵を見てほしくて応募した、という感じです。

 

— HBのコンペに応募されたのは何回目ですか?

5〜6回くらいだと思います。

 

 

— 個展は初めてだそうですが、展示してみていかがでしたか?

色々な方々とお会いできて、とても刺激になりました。
それと、展示することで客観的に自分の作品を見ることができ、またやりたい事が増えました。

—  現在は、デザインのお仕事をやりながら絵を描かれているとのことですが、
今後もお仕事をしながら絵を描いてこうかなという感じでしょうか。

そうですね、絵は今後もずっと描いていくと思います。

— 壁画など、大きいサイズの絵もいつか見てみたいです。また作品を拝見できるのを楽しみにしております!

 

 

審査員の仲條さんと。

永井裕明賞 ササキエイコ個展「See」

HBファイルコンペvol.24 大賞展6週目は永井裕明賞を受賞された、ササキエイコさんです。

さまざまな素材を使ったコラージュと手描きの質感がユニークなササキさんの作品。
デザイン的センスと、自由に手を動かして描く楽しさに溢れたずっと見ていたくなる作品です。
原画ならではの素材感をぜひ間近でご覧頂きたいです。

 

 

— 永井裕明賞おめでとうございます。今回の展示テーマをお聞かせいただけますか?

私が描くものは、身近なものや感覚的に描くものもあります。
絵は”見る”行為ではあるけれど、香りや感触など、視覚だけではない五感を使って楽しんでほしいという気持ちで描きました。”目に見えるものだけじゃないものを見る”ということをテーマにしています。

 

 

— よく見るといろいろな素材を貼って描いていますね。質感がとてもおもしろいです。

学生の時からアクリル絵具と紙を使ったコラージュで描いていて、今もその技法で定着しています。
画材は縛らず、色鉛筆や修正テープ、シールなどいろいろ使って描くのが楽しいです。

— 素材は普段から探したり、集めたりされているのですか?

学生の時はすごく集めていました。大学4年の時にヨーロッパへ旅行に言った際、
色んな素材を集めて持って帰りました。今もその素材を絵に使用しています。
海外の新聞は日本のものと色味が違ったり、罫線の入り方などがおもしろいなぁと思います。

 

 

— 原画を見ると素材への探究心を感じます。絵はずっとお好きでしたか?

絵は幼い頃から描いていました。最初は絵本を見るのが好きで、そのうち自分でも絵を描くようになりました。
高校では日本画を描いていたのですが、岩絵の具以外のもっといろんな画材で描きたいと思うようになり
卒業後は、京都精華大学のデザイン学部のイラストレーション科に入りました。
大学の授業では、テンペラやシルクスクリーン、銅版画、カラーインクなどさまざまな画材に触れました。
銅版画にはまり、ずっとプレス機を使い制作をしていた時期もありました。

紙に色を塗り、その素材だけを切り貼りして絵を描く、という授業がきっかけで
今の作風につながったと思います。大学での経験は大きかったなと感じます。

 

 

— 普段、ササキさんは絵を描く以外ではどんなことがお好きですか?

本が好きで、幼い頃はグリム童話を読んでいました。大学時代も赤ずきんをテーマにしたビジュアルブックを制作したりと、「物語が好き」ということが制作のベースにあると思います。

— 学生時代はデザインの評価が高かったとお聞きしました。他にはどのようなものを制作されていたのですか?

先生方からは絵より、写真を使ったりコラージュしたものを作り始めてから評価されるようになりました。
手描きの素材をパソコンに取り込んで、文字を作ったりカレンダーを作ったりしていました。

— ずっと手描きをベースにしていろいろなものを作られていたんですね。今後はどんな活動をしていきたいですか?

本や絵本が好きなので、自分でお話を作るところからやってみたいです。
絵本もかなり自由だと思うので、絵と言葉で何かできたらいいなと思います。

— ササキさんの絵本、ぜひ見てみたいです。今後益々のご活躍を楽しみにしております!

 

 

審査員の永井さんと。

夏期休廊、オンラインショップお休みのおしらせ

まことに勝手ながら、

8月7日(木)〜 8月13日(水)まで、夏期休廊とさせて頂きます。

それに伴いまして、HBオンラインショップの発送業務もお休みさせていただきます。
休廊期間中にいただきましたご注文やお問い合わせについては、
8月14日(木)以降に順次対応させていただきます。

商品発送は8月15日(金)以降となります。商品到着が遅れますことご了承くださいませ。

 

ご不便をおかけ致しますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

鈴木成一賞 はやしあおな個展

HBファイルコンペvol.24 大賞展5週目は鈴木成一賞を受賞された、はやしあおなさんです。

白と黒の面と線だけで表現されたはやしさんの作品。
日々の暮らしのなかにある静物を、ミニマムな技法で描いていながら見る人には確かに伝わってくる
豊かな表現力が魅力的です。

ファイルコンペには初応募で見事に大賞を受賞されました。
受賞後には、鈴木成一さんデザインで装画を手がけられるなど、今後のご活躍が楽しみな作家さんです。

 

 

 

— この度は受賞おめでとうございます。今回が初個展だそうですが、展示してみていかがでしたか?

自分の絵だけで、ひとつの空間ができるのがおもしろかったです。
HBで個展をするのがずっと夢だったので、初個展がHBでうれしいです。
HBのコンペが一番、賞をとりたいと思っていました。

 

 

 

 

— こちらもうれしいです。ありがとうございます!今回の展示テーマやコンセプトをお聞かせ頂けますか?

静物というテーマをメインにおいて制作しました。
初個展なので一つの具体的な世界というよりは、淡々と絵が並べられたらいいなと考えていました。

— 画材は何を使われていますか?

黒いインクと、月光荘さんの8Bのえんぴつで描いています。4年ほど前からずっと使っていました。

 

 

—  ファイルコンペにご応募いただいた作品もすべてモノクロでしたね。
たくさんの作品の中で、色は使っていなくてもとても存在感がありました。

前々からモノクロでは描いていたので、まずはこれでいこうと決めました。
モノクロの世界が好きです。

— 普段、絵を描くこと以外に、すきなことや興味のあることはありますか?

去年フランスに行った際に、蚤の市でみつけたアンティークのパーツがすごく好きで
ねじや釘など、部品のシンプルな形自体に魅力を感じます。
そういうものにインスピレーションを受けて描いています。

 

 

 

— 今後、どのような活動をしていきたいですか?

一番やりたいのは雑誌の表紙です。広告のお仕事もそのうち頂けたらいいなと思います。

— すきな雑誌はありますか?

「BRUTUS」や「Casa BRUTUS」 が好きです。

 

 

 

— はやしさんの作品が表紙になったらとても素敵だなと思います。
作家さんとして絵を続けていくというよりは、イラストレーターというお仕事として続けていきたいですか?

そうですね。紙のお仕事や印刷物になってこそだと思うので、どんどん印刷されたいです。
印刷物のイラストレーションとしてちゃんとやっていきたいです。

— 鈴木さんとお仕事をされた2冊目の本も楽しみです。今後のご活躍も楽しみにしております!

 

審査員の鈴木さんと。