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11月2013

原口健一郎個展「on the weekend」

今週の展覧会は、HBギャラリーで毎年行われる企画展、収穫祭です。
ココファームワイナリー、ワインラベルの制作を
毎回イラストレーターさんにお願いし、
それに伴い11月頃に個展を開催しています。今年の作家さんは原口健一郎さんです。

おだやかな週末をイメージして描いたという今回の作品。
一日中、大好きな楽器を奏でていたくなるような…
そんな心地のよい空気に包まれた展覧会となりました。

 

 

 

 

 

 

 

大高郁子個展「マジック山水図」

今週の作家さんは大高郁子さんです。
HBでは2年ぶり8回目の個展となります。

「マジック山水図」と題した今回の展覧会は、
すべての作品が、わら半紙に油性マジックで描かれています。
文人画の池大雅、徳山玉瀾、浦上玉堂からインスパイアされ描いたという今回の作品たち。
山水画の水墨表現とは正反対の、きりりとした油性マジックの線画から
ユーモアたっぷりな全く新しい山水画がうまれました!

 

 

—今回、山水画をテーマにしようと思ったきっかは何ですか?

去年のHBファイルコンペでちょっと描いてみて楽しかったので、
個展ではそこからもうすこし広げてみようと思ったのがきっかけでした。

— 元々、山水画はお好きだったんですか?

若い頃は全然興味がなかったんです。
東京国立博物館が好きでよく行くのですが、そこで池大雅や蕪村、雪舟の作品を見て
「すごい絵だ!」と思ったんです。
一色で似たような絵だけど、絵の中で遊べるバランス感覚や絵の構図とかが、とにかくすごい。
そのまま描くと古いものになってしまうけど、油性マジックで描いてみたらどうなるかな、と。
描いてみたら意外と面白かったんですよね。

 

 

— 油性マジックとわら半紙はいちばん相性がよかったですか?

わら半紙の色味がいいなと思って使いました。
普段、大学でイラストレーションの講師もしているのですが、
生徒たちに「トイレットペーパーとか、包装紙とか…画材屋に売っていない紙も試してごらん」と
よく言っているので、自分でも何か使って描いてみようと。
わら半紙は描きやすかったですし、油性マジックのにじみが合っていて良かったです。

 

— 下書きはせず描くのでしょうか?

馬や人物を描き入れるところはおおまかにあたりをとるんですが、他の部分は下書きはしていないですね。
枝ぶりや岩の形を描くときはトイレにも立たずに一気に描きます(笑)
全体を一気に描き上げないと、線を描くときのストロークが変わってしまうんですよね。
その日の気分やコンディションで変わってきてしまうので、時間をかけてはダメなんです。
日はまたがずに、一気に3~4枚描いていました。

最初に描いた絵(DMの絵)と最後のほうに描いた絵では線が変わっていて、自分でも驚きました。
熟練度が違うと言いますか…描いているあいだにこんなにも線が変わっていったんだと。

 

 

— 手の感覚をたよりに…といった感じでしょうか。線画のおもしろいところですね。
元にした作品は水墨画ですよね、ぼかしたような箇所は新たな線をひく勇気がいると思います。
そのあたりはどうでしたか?

池大雅は線の人なのですが、浦上玉堂はぼかしが多いんですね。
ほとんどがかすれで描いているので。その部分のどこを切り出して行くのか悩みましたね。
何を描いて、何をやめるか。
全体ではなくほんの一部を描くとか、山まで描いてあるけれど人と家の部分だけトリミングをして描くとか。
意識的に描きました。部分的に色を使おうかとも思ったんですが、その色を塗った部分が意味を思ってしまいそうだったので、今回は線とフォルムだけで表現しよう!と決めて描きました。

 

 

— グラフィカルな山水画、とてもおもしろいです!最後になりますが、展示してみていかがでしたか?

家では全部の絵を並べられなかったので、うれしかったです!
全部並べてみて気付いたこともありますし、こんなにたくさん並べてもぎちぎちにならないんだなぁと。
意外に気にならなかったですね。もっといっぱい描いてもよかったかも、と思うくらい。
屏風にしてみたいなと思ったり、大きくしていく欲を刺激されたかもしれません。

今回の作品で「仕事には繋がらないかもね」というご意見もありましたが、
それが全然気にならないくらい、ふり切った、開き直った感がありました。
仕事は全く意識して描かなかったんです。画材も仕事のものとは全然違いますし。
まぁいいや、やりたいことをやろう!と。
人の目を気にして怖々やっていたものがなくなった、そういう思いで描けたのは初めてでした。

 

 

平野瑞恵個展「poco a poco」

今週の作家さんは平野瑞恵さんです。
HBでは5年ぶり3回目の個展となります。
瑞々しく透明感のある色彩、筆跡の重なりから、様々な情景を想起させる平野さんの作品。
思わず深呼吸をしたくなるような、心地よい空間が広がりました。

 

 

 

— 今回はどのようなテーマで制作されたのですか?

しばらくお仕事の絵しか描いていなかったので、少しそこから抜け出して、
何もないところから自然と湧き出るイメージを大事にしたいと思いました。
自由に手が動くまま描こう!と。作品はすべて描き下ろしです。

 

 

— 平野さんの作品は光の加減で、見え方が色々と変化しますよね。
描く時間帯は日中が多いですか?

自然光のなかで描くことを基本としているので、日中の気持ちのいい時間や
朝早い時間に描くことが多いですね。
自分のいい状態ででてくるものを大事にしたいと思っています。

— なるほど。音の影響などは受けますか?

静けさのなかで描くのも好きですし、人の気配があったり、
周りの音があった方が描けるときも。音楽をかけて描くこともあります。

 

 

 

— その時々の状況で、絵が変わるというおもしろさがありそうですね。
平野さんのような作風の場合、お仕事はどのように依頼されるのでしょうか。
言葉やニュアンスで伝えてもらうことが多いですか?

デザイナーさんによって様々なのですが、
ざっくりと色味を伝えてもらったり、おおまかなテーマを伝えてもらいます。
逆に「こういったものは描かないでください」と伝えて頂く場合も。
あとは自分の判断に任せていただけて、描いたものそのままで使っていただけることが多いですね。

 

 

— ご自身でテーマを決めて作品を描くことと、
お仕事として依頼されて描くこと、どちらがお好きですか?

両方好きです。仕事で描いていても、その延長線上で自分の作品に戻ってきたり、
両方を行き来する感じがあります。個展での制作があるから、自然と手が動くという部分があったり。

 

— 両方あることでどちらにもいい影響があるのですね。
今回、5年ぶりの個展ということですが展示してみていかがでしたか?

毎日、仕事のアトリエで自分の作品を近くで見ていたので
こうして飾ってみると、客観的に見えるなぁと思いました。
距離を置くことも大事だと思います。

 

 

— すごく気持ちのいい空間ですよね。
最後になりますが、今後の抱負をお聞かせ頂けますか?

これからも、淡々と繰り返し描くのではなく、ひとつひとつを大切に、
新鮮で素直な気持ちで取り組んでいきたいと思います。

— すてきなお話、ありがとうございました!

 

見る人のきもちにぴったりと寄り添ってくれるような、いろんな感情を描くことのできる平野さん。
すっと心にとけこんで、ずっと見ていたくなる作品が並びます。
色彩の美しさ、透明度の高さは原画ならではです。ぜひお越し下さい!

 

 

和田誠個展「OSCAR Ⅱ」

今週はHBギャラリーでは毎年恒例、和田誠さんの展覧会です。

今回は、2年前にHBギャラリーで開催した和田さんの展覧会「OSCAR」の第二弾。
アカデミー賞にまつわる映画をテーマに描いた全20作品を展示・販売しております。
作品賞、脚本賞、監督賞、美術賞、助演賞などに輝いた名作の数々。
和田さんファンにはもちろんのこと、映画ファンにとってもたまらない展覧会となりました。

 

1997年「LAコンフィデンシャル」

 

1941年「市民ケーン」

 

元々はモノクロ映画だったものが、
和田さんの手によって色彩を帯びたものに!
果てしない想像力から、新たな名シーンが誕生しました。

 

1972年「キャバレー」

 

1993年「シンドラーのリスト」

 

オープニングパーティーでは、和田さんによる作品解説もあり、
熱心に耳をかたむけるお客さんの姿も。
とても贅沢なひとときとなりました。

映画がすきなこと、絵を描くのがすきなこと。
シンプルだけど、とても大切なことを和田さんはずっと持ち続けている、
そんな印象を受ける展覧会となりました。