HB Gallery

Blog

6月2021

岩切千恵個展「クロロフィル」

今週の作家さんは岩切千恵さんです。HBでは初個展となりました。植物や虫などの小さな生き物をテーマに、もっとも身近にある小さな自然を抽象的に表現されました。涼しげな色彩と表情豊かなマチエールをお楽しみください!

「蓮(ハス)」

カーボランダムとコラージュを組み合わせて描かれた今回の作品たち。工房へ通い版画制作をされていた経験から、当時の試し刷りや未完成の作品が数多く手元にあったとのこと。それらを素材として、新たな作品を作ろうと思ったそうです。「この部分は葉っぱに使えるかも」と様々な紙の破片を組み合わせていく時間は、とても楽しく充実した日々だった、と岩切さん。

「梛(ナギ)」

 

元々、抽象画を好んで描かれていたそうで、今回描かれた植物たちもイメージを優先して描かれたとのこと。2018年頃からは、山田博之さんのイラストレーション塾を受講。はじめの頃は、大きな絵から小さな絵までありとあらゆる作品を講評してもらったそうですが、山田さんに「半夏生」のシリーズを見てもらった際に「抽象でもいいから、好きなことをやってみたら」とアドバイスを頂いたとのこと。今回も具象のモチーフを描いてはいるものの、好きな形になるよう落とし込み表現されました。

 

「半夏生 5」「半夏生 6」「柊黐(ヒイラギモチ)」

 

「半夏生 2」

これまでにリトグラフやカーボランダム、水墨画など、様々な技法で制作されてきたそうで、今回の展示は今までやってきたことの集大成のようなものになったと思う、と岩切さん。お仕事では装画やテキスタイル、絵本など幅広く興味があるそうです。今後の作品も楽しみです!

大滝直子個展「英国グリーンジャケット」

今週の作家さんは大滝直子さんです。HBでは初めての個展開催となりました。高校生の頃、イギリスへ留学された大滝さん。当時の思い出や初めて見るイギリスの新鮮な景色、昨年再び訪れた時の出来事を綴られました!特別な制服、グリーンジャケットを着た当時の大滝さんと、大人になった大滝さんが再び絵の中で出会います。お楽しみに!

「ラブリーラビッシュ」

「コーフキャッスル」

高校姉妹校の希望者でイギリスの高校へ留学された大滝さん。中学生の頃から英語がお好きだったそうで、留学制度のある高校を受験し、実際に現地で学ぶことが出来たとのこと。今回はその当時の思い出や景色、昨年再会した人々を描かれました。

 

「ロンドン衛兵交代式」

「英国グリーンジャケット」

姉妹校の日本の生徒たちと記念の1枚。イギリスの語学学校へは、日本の制服の上に特別な緑色のジャケットを着て登下校していたそうです。留学期間は10ヶ月という貴重な日々。海外での生活はとても性に合っていたそうで、もっと長く住んでみたかったとのこと。

 

「ケンブリッジの二階建てバス」

「ケンブリッジの街並」

昨年、コロナになる2ヶ月前に運良く再びイギリスへ行くことができた大滝さん。ホストファミリーはどこか別の場所へ引っ越してしまい会えなかったそうですが、当時知り合った現地の友達や先生と再会でき嬉しかったそうです。

 

 

会場には大滝さん手作りの絵本の数々も。保育士をしながら絵の活動をされている大滝さん、『おひるねきらい』はお仕事での経験を元に描かれました。元々文章を書くことがお好きだったそうで、8年ほど前から作り始めた絵本。『カーテンがごわっと』は絵本のコンペで三次通過し高評価だった1冊です。体調が悪い時に、風で動いたカーテンを見て閃いたという物語。お留守番をする子どもの不安な気持ちが詩的に表現されています。

いつか絵本を出版するのが目標とのこと。会場ではまだまだ色々な絵本を見ることができますので、ぜひお手にとってご覧頂きたいです!

柿崎サラ個展「Invisible Dog Leash」

今週の作家さんは柿崎サラさんです。HBでは約5年ぶり2回目の個展開催となりました。「Invisible Dog Leash」とは、子供の頃に遊園地で買ってもらった「透明犬の散歩ひも」のこと。昔の思い出のようで違う記憶、現実での出来事のような夢…そんな、どこか曖昧で、印象的なシーンを思い思いに描かれました。クールなタッチとユーモアが心地よい作品です、ぜひご覧くださいませ!

 

「Puppy-Go-Round」

「Invisible Dog Leash」

柿崎さんが幼い頃に見た「透明犬の散歩ひも」の光景。硬いワイヤーで作られたひもを持つだけで、ハーネスを付けた透明な犬を散歩しているかのように見える、ユニークなおもちゃだったそうです。そんな少しナンセンスだけど、愛おしいものたちが今回のテーマ。

「Honey」

「Twilight」

展示タイトルにもなっている「Invisible Dog Leash」という曲が入った音楽のアルバムを作るような、そんなイメージで今回の新作を描かれたそうです。夢の中で起こる不思議なこと。昨日の出来事は現実だったのか、それとも夢だったのか。初めて見る光景なのに、どこか懐かしい気がする…そういうものを描きたかったと柿崎さん。

「Un-Float」

「Snack Time」

 

イラストレーションのお仕事は、連載のお仕事をはじめ、カレンダーや広告、本の装画、雑誌の挿絵など様々。最近では立川で開催された蚤の市 GREEN HOOP MARKET Vol.4のメインビジュアルを担当されました。普段の生活は、深夜まで描いている日もあるそうですが、できるだけ午前中には起きて、気持ちよく1日がスタートできるように心掛けているそうです。絵の具を使う時はできるだけ昼の明るい時間帯にと決めているとのこと。

音楽のお仕事は特に興味があるという柿崎さん。CDジャケットやMVのアニメーションなど手掛けてみたいそうです。今後の作品も楽しみです。

 

 

浅羽容子個展「私的宇宙録」

今週の作家さんは浅羽容子さんです。HBでは約5年ぶり2回目の個展開催となりました。たくさんの別宇宙があるという理論、”マルチバース(多元宇宙論)”に惹かれた浅羽さん。ユニバースとマルチバース、それぞに想いを馳せて描かれました!浅羽さんの原画ならではの重厚な迫力をお楽しみください。

「相転移」

以前から宇宙にまつわるものがお好きだった浅羽さん。個展のテーマに悩んでいたときも、自然と描き初めたのは宇宙を感じさせる絵だったそうです。昨年、宇宙に関する本を読んだ際に”マルチバース(多元宇宙論)”という理論があることを初めて知り興味を持たれたとのこと。知らない世界への憧れ、別のところにも世界があると思うとロマンがあるなと感じ、個展のテーマにしたいと思ったそうです。自分の人生の記録のような意味合いも込め、今回のタイトルを「私的宇宙録」と題されました。

「過保護な3月」

「遠い夏のモニュメント」

アイデアはいつも落書きを描くように描き溜めているとのこと。そこから描きたいものをピックアップをして、さらに発展させて描いていくことが多いそうです。宇宙関連の本を見ていると、そこからイメージが湧いてくることもあるとのこと。

「第五章」

作品作りで常に心掛けていることは、オリジナリティを大切にすること。自分らしさとは何かを模索しながら日々描いているそうです。

「文明」

絵を描くこと以外に、文章を書くこともお好きな浅羽さん。そちらでも成果があがるよう頑張りたい、と目標をお話してくださいました。絵のお仕事が来る来ないに関わらず、これからもずっと描いていきたいとのこと。今後の作品も楽しみです。