HB Gallery

Blog

3月2021

大久保つぐみ個展「beautiful town 18℃」

今週の作家さんは大久保つぐみさんです。昨年4月の個展が延期となり、今回待望の開催となりました!普段の生活で見落としてしまうような風景も、大久保さんの手によってきらきらと輝くようなワンシーンに。個展のために制作されたオリジナルグッズも好評販売中です!ぜひ会場でお楽しみくださいませ。

 

HBでは約4年ぶり2回目の個展開催となりました。前回の個展「beatiful town 18時」が根底になっているという今回の作品たち。前作と同じタイトルの絵や、同じ場所を描いたものもあり、それぞれ対応しているものがあるとのこと。

見ない間にどんどん変わっていく街並み。自分が見ることの出来るうちに描きとめたい、そんな気持ちが作品作りのテーマでもあるそうです。街は人が作っているため、有機物と無機物が混ざり合っているところが魅力とのこと。街が生きている、その途中を描いている、と大久保さん。

 

 

日が当たっているところや影を見ると、綺麗だなと感じて描きたくなるそうです。今回は春の展示なので、明るい、はじまりのような雰囲気を意識したとのこと。描かれたのはすべて実際に行った場所や見たもの。描くとき心がけていることは、自分が楽しいと感じることが一番、と大久保さん。描きたい!という衝動を止めずに描くと、終わったときに「こんなものができた!」という驚きがあるそうです。描きたい気持ちが絵に表れ、ここが描きたかったんだなというのが明確になるとのこと。

 


近頃のお仕事は、instagram広告や、CMアニメーション、大学パンフレットの表紙、冊子の挿絵など様々。
展示では毎回、作品テーマや季節に合わせてオリジナルグッズを制作。夏には風鈴を作ったことも。”ワクワクするようなもの”をテーマに「あの時買っておけばよかったな…」と思ってもらえるような、それくらいのものが丁度いい、と大久保さん。

SNSの投稿は、毎日欠かさず、といったルールは決めず、自分がやりたい時にやるとのこと。見てくれた人が「あ、今日見れてラッキー」と思ってもらえるようなものでいい。昨年は意識的に、展示やお仕事で描く以外に、小さな絵を毎日描いていたとのこと。でも、描きたくない時は描かない。これが全てではないので、生きていく上でも「こうしなきゃダメ」と決めない方がいい。そんな考え方をお話してくださいました。限りある日々の一瞬一瞬を大切に、大久保さんの作品から改めて感じられました!

 

 

平野瑞恵個展「Garden」

今週の作家さんは平野瑞恵さんです。HBでは8年ぶり、4回目の個展開催となりました。瑞々しい色彩と筆致が心地よい平野さんの作品。原画ならではの、色の重なりや透明感をぜひお楽しみください!

 

頭の中から溢れ出すイメージが、居心地のよい庭のような、癒しの空間となる画面作りを目指したという今回の作品たち。普段はデザイナーさんのリクエストに応え、お仕事のために描くことが多いそうですが、オリジナル作品は自分の中から自然と出てくるものを表現したい、と平野さん。1枚1枚、どこで描くのをやめるか、いつも筆をとめるところを意識して描かれるそうです。「これで終わり」と絵を完成させることが快感とのこと。

今回は3月の開催ということもあり、春に向かっていく気配や、今のコロナの状況から前進するように、明るい方へ、ということを特に意識しながら制作されたそうです。

 

 

現在、エッセイスト・森下典子さんの連載で見開きイラストレーションを担当されている平野さん。雑誌の挿絵などのお仕事の進め方は、まず誌面レイアウトをもらい、文字がどれくらい配置されるか、イラストレーションが文字にかかっても良いのかを確認。それらを汲んだ上でレイアウトを軸にして描かれるとのこと。装画の場合は、デザイナーさんとのやりとりの中で、色の希望などを確認し、イメージを作っていくそうです。

 

 

8年前の個展から、毎年欠かさずオリジナルカレンダーを制作。お仕事でお世話になった方や関係者へ、お礼の気持ちを込めて送っているそうです。1年を通して見てもらえるツールでもあるため、続けるモチベーションにもなっているとのこと。装画、パッケージ、テキスタイルなど実績も豊富な平野さんですが、新しいお仕事はいつもワクワクするそうです。特にパッケージに興味があるそうで、商品をより良くしてあげられる、力を持った絵にしたいとのこと。これまでの経験を活かし、今後も様々なお仕事にチャレンジしていきたいそうです。

 

花村信子個展「アネモネアンスリウム」

今週の作家さんは花村信子さんです。HBでは初めての個展開催となりました。普段から女性をテーマに描かれる花村さん、今回の絵にはそれぞれ花の名前がつけられました。アネモネ、スズラン、ヒヤシンス、ミモザ…など、一輪挿しの花のように描かれた女性たち。ふわっと香るような独特の存在感をお楽しみください!

「クレマチス」

気になる人や好きな人、集団の中にいても雰囲気で気づく人。その人に対して想いがある人にしか感じられない雰囲気や感覚を絵に表せたらいいな、と花村さん。少し意地悪いところや、可愛いだけじゃない、色々なことを想いながら生きている…そんな女性たちを描きたいと思ったそうです。色を選んでいる時が一番楽しく、完成するまで何回も絵を眺めるとのこと。「これ以上やらない方がいいな」と思った時に絵が完成するそうです。

 

「ウメ」

「ツバキ」

山口県在住の花村さん。絵を描き始めたのは50歳になってからでした。高校生の頃は少女漫画を描かれていて、担当の編集者が付き、デビューのお誘いがあるほどだったそうです。純粋に少女漫画が好きだったというだけで、デビューには気乗りしなかった花村さん、結婚と出産を経験され、25年ほど全く絵を描いていなかった時期もあったとのこと。ふと、「人生で後悔することがないかな?」と考えたとき「また絵を描いてみよう」と思えたそうです。

 

「アイリス」

「バラ」

その後は、東京で開かれている様々なイラストレーション塾を受講。最初の頃は「イラストレーションの概念を一から考え直すように」と厳しい指摘があったことも。それでも諦めずに食らいついて行き、昨年の春には見事、鈴木成一さんがデザインをされた『赤ちゃんをわが子として育てる方を求む』の装画のお仕事へと繋がりました。重たい内容のお話だったそうですが、生まれたばかりの赤ちゃんは何も知らないし、生まれた命はどこでも一緒。そんなまっさらな感じを描きたいと思ったのだそう。

 

 

山田博之さんの塾では「あるものをそのまま描いて」というアドバイスが。そのまま描いているつもりでも、それがなかなか描けなかったとのこと。何枚も何枚も描いては見せ…を繰り返し、少しずつ自分が描く事のできる自然な絵が出てきた、と花村さん。

 

今回展示する絵が定まってきたのは今年の1月頃。「よし、これでいこう」と決め、その後は1日1枚描き進めていったそうです。お仕事も少しずつ依頼が増えており、春にはwebサイトに描かれたイラストレーションも公開されるとのこと。イラストレーションは使われて初めて活かされるものだと思う、と花村さん。人の手を携えて、何かを成し遂げるための一端になり役に立てたら嬉しい、とお話してくださいました。今後益々のご活躍が楽しみです。

HB WORK Vol.2 メールのサーバエラーがありました

HB WORK Vol.2たくさんのご応募ありがとうございました!
3/8(月)の18:38以降にお送りくださった方々、サーバエラーとなりまして大変ご不便をおかけ致しました。
すべて作品届いております。ギャラリーからまだ返信が来てないという方はお手数ですがご連絡くださいませ。

イシイ超サヤニー個展「超巴里」

今週の作家さんはイシイ超サヤニーさんです。ご自身初個展となります。二十世紀前半にフランス・パリで活躍した、パブロ・ピカソ、アーネスト・ヘミン グウェイ、ココ・シャネルを中心に、活気あるパリのシーンを描かれました。独特のフォルムと温かみのある色鉛筆のタッチをぜひ原画でご覧頂きたいです!

今回が初めての個展となったサヤニーさん、イラストレーターを目指し始めたのは約5年ほど前だったそうです。元々描いていた絵は、原色をふんだんに使ったカラフルなものだったとのこと。今回のような色使いにしてみようと思ったのは、HB塾に通い唐仁原に絵を見てもらったことだったそうです。「色を変えてみたら?もっとおさえて。」とアドバイスが。実際に描いてみると、自分にすごく合うなと感じたそうです。そのアドバイスを頂けたからこそ描くことができた、とサヤニーさん。色を抑えるにあたり、たとえば、赤系統の色鉛筆だけをテーブルに出し、その色だけしか使わないというルールを決め描き進めていくのだそうです。個展までの期間に150枚程を描き、そこから厳選した作品を展示しました。

 

今回描くにあたり、たくさんの資料を読んだり集めたりされたとのこと。元々、調べることや整理することがお好きだそうで、大変な作業ではなかったそうです。集めた資料を眺める度にこれも描いてみたいなと、次々とアイデアが湧いてくるのだそう。

 

2015年まで海外に滞在されていたサヤニーさん。以前からモノ作りが好きで、特に彫刻がお好きだったとのこと。日本へ戻って来てからは自分のやりたいことがわからない日々が続いていたそうですが、翌年ふと「イラストレーションを描きたい」と思ったそうです。基礎やデッサンの経験もなくスタートしたそうですが、遅いスタートだからこそ頑張らなきゃと思ったとのこと。

ほぼ毎日描き続ける日々だったそうですが、とても勉強になり楽しめたそうでう。今できる最大限の力で描き切ったサヤニーさん、今後どんなお仕事でも幅広くやってみたいとのこと。益々のご活躍が楽しみです!

OCO個展「today」

今週の作家さんはOCOさんです。HBでは初めての個展開催となりました。紙を使ったコラージュとドローイングによって作品を構成されるOCOさん。人々の営みが感じられるような、味わい深い世界観をお楽しみください。

「この街」

 

「today」と題された今回の作品たちは、個展までの日々、毎日紙を貼り積み重ねてきた記録として描かれたそうです。ぜひ原画で感じて欲しい、とOCOさん。日頃から建築物や風景を撮影することがお好きだそうで、撮りためた数多くの写真から、作品作りの最初のきっかけをもらうそうです。色は貼りながら感覚で決めていくとのこと。人の生活が感じられるような空間を描けるようにしたいという目標から、ここ数年は風景の中に人物を描くことにも挑戦されていたそうです。

 

「裏道さんぽ」

「明日をつくる今日」

上の絵は一度絵を壊したことで生まれた作品とのこと。家を描こうと思い描き進めていたところ、イラストボードの表面を剥がした際、灰色の下地が見えたことがきっかけで全く別の絵に。剥がれた箇所がコンクリートのような質感に見え、解体現場の絵にしようと思いついたとのこと。いい偶然や混沌としたところから制作意欲が出てくるんです、とOCOさん。

 

「あの街」

紙は以前から集めていたものを使用したり、チラシやクーポン券の一部など、生活の中で手にする何気ないものが多いとのこと。また、海外へ行った友人がお土産でくれたお菓子の包みなど、人からもらった紙を使うとやる気が出るとのこと。自分の生活圏でコレクションをしていると範囲が狭くなるそうで、人からもらうと新しい風が入って来たような感覚になるそうです。

イラストレーションのお仕事はこれからというOCOさん。作風を理解してくださる方がいたら嬉しいとのこと。今後のご活躍が楽しみです。

 

「ルーティン」