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3月2015

領家明子個展「景色をまたぐ」

今週の作家さんは領家明子さんです。ご自身はじめての個展となります。
現在、島根県にお住まいの領家さん。展示のためはるばるお越しいただきました。
ふだん見ている、身近な景色を元に描かれたという今回の作品。
領家さんのフィルターを通すと、だれも見たことのない新しい景色に生まれ変わりました。
表現力豊かな色彩と形は、絵を描く楽しさに溢れています。領家さんの初個展、ぜひ多くの方にご覧いただきたいです!

 

 

— 今回はどんなテーマで描かれましたか?

昨年、田舎に引っ越したことで、風景を描く感覚が変わりました。
ずっと建物を描いていたのですが、あまり執着がなくなったので
建物を含めた風景を描こうかなと思い、まわりにあるものを見て描きました。

— 地元のある、島根県にお引っ越しされたんですよね。海は近いですか?

山も海もあります。すぐ行ける場所です。

— 絵に描かれた場所は、昔から馴染みのあるところなのでしょうか。

10年以上居なかったので、新鮮な部分もありました。

 

 

— 領家さんは東京に5年程お住まいだったんですよね。
青山塾へ通われていたそうですが、その頃から風景を主に描いていましたか?

人が描けなかったので、風景を描いていました。

— 風景といっても、領家さんの作品は色遣いも形もすごくおもしろいですよね。
映画がお好きだそうですが、そういったものが絵に影響していますか?

何か描きたいなと思うのは、映画の場面というよりは音楽の方が大きいかもしれないです。

 

 

— 学生の頃から絵は描かれていましたか?

きちんとやりはじめたのは3年前くらいです。
昨年仕事を辞めてからはがっつりやれるようになりました。

— イラストレーターを意識したのもその頃でしょうか?

今でもなれたらうれしいと言うか、未だにイラストレーションというのが100%よくわからないです。
他の人のようなイラストレーションにはならないから、どうしたらいいのかなという気持ちが漠然とあります。

 

 

— 地元に戻られて、絵を描く上で良かったなと感じることはありますか?

環境が変わったのが一番大きいです。仕事も辞めて時間もあるので、描く時間が増えました。
あと、東京に居たときは建物が近かったといいますか、距離感が違うなと感じます。色も全然違う。

— 色遣いも以前と変わりましたね。赤色が増えているように思います。

そうですね、赤とか朱色とか。
色は頑張って変えようとしている部分と、環境の変化との両方だと思います。

 

 

— 以前より絵が全体的に広々としていて、色遣いも自由な感じがいいですね。
領家さんは、今後どのような活動をしていきたいですか?

仕事をしたいです。媒体問わず、何でもやってみたいです。

— 書籍以外にも、音楽、舞台など色々合いそうですよね。今後のご活躍楽しみにしております!

 

村上朋子個展「立ち止まってみたら」

今週の作家さんは村上朋子さんです。ご自身はじめての個展となります。
村上さんが大好きな植物をテーマに、椿やモクレン、ハナミズキなど
やさしい色合いとカタチで、版画のようなぬくもりを感じる作品が並びました!
ゆったりとした時間を感じられる展覧会です。ぜひ見にいらしてください!

 

 

— 今回はじめての個展となるそうですが、やってみようと思ったきっかけなどありましたか?

自分が色々と営業をしてみて、もっと色々な人に作品を見てもらうきっかけになればと思いましたし、
仕事を増やしていきたいと思ったときに、個展をひらくのがいいのかなと考えました。
あるディレクターさんに「個展した方がいいよ」とアドバイスを頂いたこともありますし、
イラストレーターとして活躍している方たちは、何だかんだ自分から活動しているなと思っていました。

HBで個展をした人は仕事が増えているイメージがあります。
自分の好きなイラストレーターさんはどんな活動をしてるのかなと調べたり、
どうして仕事にむすびついたのかを自分なりに分析してみると、
個展を開いたり、自分なりに作品ファイルを作ったりすることでした。

 

 

— 確かに、みなさん自分からどんどん動いていますよね。作品を飾ってみていかがですか?

本当に全部お膳立てして頂いたと言いますか…
意外ときちんと収まったので、ひと安心です。

— 今回はテーマを植物に絞って発表されましたね。

元々、植物だったりガーデニングがすごく好きなんです。
描きたいテーマはたくさんあったのですが、色々描くと印象が薄れてしまうのではと感じました。
何がいいかなと思ったときに、自分の好きなものでやろうと。そこで植物をテーマにしました。

個展の目的は仕事につなげるためですが、仕事が来る前の段階として
こういう絵を描く人がいるんだ、ということを知ってもらいたいという気持ちも大きいです。

 

 

— 実物では複雑な形をした植物も、村上さんによってデザインされていて素敵ですね。
まわりに植物がたくさんあるのでしょうか。散歩などよくされますか?

今住んでいるところが緑豊かなところで、川崎市で二子玉川へもすぐ行けるのですが、
川を一本渡ると、梨畑があったりぶどう畑があったりしてびっくりしました。
子どもの送り迎えなどで自転車で通ると、小さな川があったり、川沿いに色々な植物が植わっていたりします。
近くに森林公園もあります。

 

 

— 色々な植物を観察できそうですね!
村上さんは現在の絵のスタイルになってどれくらい経ちますか?

色々と試行錯誤で、HBファイルコンペで初めて2次通過したのが2008年なんですが、
そのときは布や別の素材を使って切って制作していました。
営業へ行ったときに「切った線がおもしろいね」と言って頂けたことがきっかけです。

2012年には、アートディレクターの大貫卓也さんの『チョイス』で選んで頂いたときは、
白黒のタッチの作品でした。そのときに「これでいいんだ!」と確信ではないですが、そう思いました。
“和”の感じを褒めて頂けて、そういう絵は意外と少ないから、というような講評をして頂いて
なるほどなと思いました。今でも少し和を感じさせるように、意識して制作しています。
いかにも和風な絵や、墨で描くような和風ももちろんありますが、
かわいいけれど、和の感じがする絵は少ないかなと思います。

 

 

— 村上さんの和の感じはとても親しみやすいですね。 今後はどのように活動していきたいですか?

装丁のお仕事や広告、幅広くやりたいです。
どんどんやっていけたらいいなと思います。文芸誌のお仕事などもやっていきたいです。

 

 

袴田章子個展「健太とケン」

今週の作家さんは袴田章子さんです。HBでは初めての個展となります。
四季折々の自然豊かな風景と、少年と犬のほのぼのとした日々が丁寧に描かれました。
トリミングや色合いも美しく、抜けのある気持ちのよい作品です。ぜひご覧いただきたいです!

 

 

— 袴田さんはこれまで個展をされたことはありましたか?

4年前にもやったことがあったのですが、作風は今と違って鉛筆画での展示でした。
イラストレーションを意識した個展は初めてです。

— 展示をしてみていかがでしたか?

反応をもらえることが何よりありがたいですね。
自分でもこれだけ揃って見ることがなかったので、次の課題が見えてきました。

 

 

— 今回の少年と犬のテーマは、スケッチを描いていて思いついたのですか?

なんとなく描いていたものを、広げていきました。小さい紙に描いていたので、ほんとうに落書きだったんです。

— 2人のほのぼのとした雰囲気がいいですね。
袴田さんの作品は風景がとても印象的ですが、写真は普段からよく撮られるのですか?

ケータイで写真を撮ったりするのですが、だいたい間に合わないんですよね。
撮りたいときに、カメラを持っていなかったり。でも景色は覚えています。

 

 

— 昔見た風景なども覚えているのですか?

印象的な景色だったりすると、大かた覚えていたりします。
あれを再現してみたい!という気持ちで描きます。
ここ好きだな、と思うと旅先でも覚えていますし、新幹線に乗って見た景色などけっこう覚えています。
この辺の森にたしかいい小屋があったなぁとか。
いいなぁと思う景色があっても、速すぎて写真にはおさめられないんですよね。

 

 

— すごい観察力と記憶力ですね!記憶を頼りに描いているとは驚きました。

イラストレーターを志したのはいつ頃ですか?

MJイラストレーションズに入った頃なので、約5年前くらいです。
写真をやっていたときがあったのですが、やっぱり絵の方が思い通りに表現できるなと思いました。
絵で活躍している方を見て、羨ましくなったんです。

— 5年前に入られてから、現在も通われているんですよね。

はい、そうです。最初はイラストレーションというものがわかっていなくて、
2年くらい経って徐々にわかってきました。絵と何が違うのか、結構迷いましたね。

— 絵のタッチも変わりましたか?

最初は鉛筆で細密な絵を描いていたのですが、絵の具を使うようになりました。
絵の具の登場が一番大きい出来事だったなと思います。

 

 

— MJに通ってよかったなと思う一番のことは何ですか?

やっぱり仲間ができたことですね。あとはイラストレーションの楽しさを知ったことです。
毎回飲み会があるんですが、絵の話はほとんどなくて、生活の愚痴を言い合ったりしています(笑)

— みなさん仲良しですよね! 情報交換、楽しそうですね。
最後に、今後どんな活動をしていきたいかお聞かせいただけますか?

今回展示してみて、自分では気づかなかったのですが
「絵本にしてみたら?」 と言っていただけたので、作ってみようかなと思いました。

元々、字のない絵本も好きなので、絵だけで読める本もいいなと思います。
他にも、物語や背景が感じられるような、商品や本でイラストレーションに起用されたらいいなと思います。
憧れは「神谷バー」のお仕事です。ちょっとストーリーが感じられて、CMみたいな感じが憧れですね。

 

 

山下アキ個展「長崎教会めぐり」

今週の作家さんは山下アキさんです。HBでの個展は約2年ぶり、2回目となります。
山下さんの故郷・長崎をテーマに、レンガ作りの教会や石畳、整列したビルの窓など、
山下さんならではの視点で描かれた、色とりどりのユニークなペン画の風景が並びました。
展示作品を収録した作品集も見応えたっぷりです。お見逃しなく!

 

 

— 前回の展示の貼り絵もとても面白かったですが、今回は線画でたくさん描かれましたね。

今回は最初から線画でやろうと思っていました。 自分で発表したいことをテーマにしよう、とも決めていました。

— 山下さんが描かれた教会は、実際に行かれた場所ですか?

はい、そうです。五島列島の教会は去年、父と巡りました。
それより前の2011年に、熊本県の天草に、父とお正月に旅行へ行ったのですが、
そのときたまたま旅行プランに教会が入っていました。今思えばそこが最初に行った教会です。
大浦天主堂は以前から描いていたのですが、 それも2011年頃だったと思います。
最初は建築物の一貫として見ていただけでしたが、テーマとして巡り出したのは去年です。

 

 

— 地元をテーマに描いてみていかがでしたか?

よく知っている場所じゃないと描けないなと感じました。とても描きやすかったです。

— 展示作品にある「活水学院」は実際に山下さんが通われていた学校なのですね。

はい、そうなんです。ミッション系のプロテスタントの学校で、毎日礼拝をしていました。
聖書や賛美歌、礼拝は馴染みがありました。

 

 

— 今回のテーマは、山下さんのルーツでもあるのですね。 他にも、レンガや石畳などの連続した模様が山下さんらしいなと思うのですが、これらも何かルーツがあるのでしょうか。

レンガなどのモチーフは東京に来てから描き始めました。
長崎に住んでいるときは、レンガや石畳も気にしていなかったのですが、
振り返ってみると景色がよかったんだなと気づきました。
建築物もいいものがたくさんありますし、風景もとてもいいんです。
今になってみると、地元の風景がルーツになっているかもと思います。

 

— 長崎の良さが見えてきてよかったですね。山下さんの絵で、長崎の旅本などがあったら欲しいです。

最初はやりたいなと思ったのですが、今回は教会に特化してみました。
お土産や食べ物、地図などもぜひ描いてみたいですね。

 

 

 

 

— 今回、展示にあわせて作られた作品集もとても素敵です。制作してみていかがでしたか?

展示ギリギリの完成だったのですが、作ってよかったです。
自分でただ絵を並べるだけではない作品集を作りたいと思っていて、
編集の方が全体の構成をしてくださったりと、協力してくれたのが嬉しかったです。

— すてきな本が完成しましたね。
最後に、今後の活動目標をお聞かせ頂けますか?

もっとイラストのお仕事がしたいなと思います。
仕事の量と幅を増やして、堂々とイラストレーターと名乗れるようになりたいです。
待っているのではなく自分発信で、もっと頑張っていきたいと思っています!