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6月2013

仲條正義個展 「 LOST AND FOUND 」

今週の作家さんは、仲條正義さんです。

仲條さんは、資生堂PR誌「花椿」のアートディレクション及びデザイン、
松屋銀座、資生堂パーラー、東京都現代美術館など多数のCI計画を手がけられた、
誰もが知っているデザイナーです。

また、イラストレーションの仕事としては、「暮しの手帖」の表紙が印象深いです。

今回はそんな仲條さんの、全作20点描き下し、新作イラストレーションの展示となります。

 

 

 

今回の展覧会、仲條さんの知り合いのロンドンのカメラマン、ジェイソン・ エバンス氏から、
小さなパスポートくらいのノートを受け取った事から始まりました。

そこには、ジェイソン氏が姪の為に書いた詩が綴られていたのです。

この詩に絵をつけてくれないか。と頼まれた仲條さん。

様々な画材と格闘され、試行錯誤と繰り返し、すばらしい作品が生まれました。

 

 

 

全作新作、20点全て販売しております。

仲條さんの果てる事のない、アイディアと、作品の持つ力、面白さは圧巻です。

いつまでも新しい事にチャレンジされる仲條さん、いつまでもついて行きたい。

そんな存在だなと、改めて感じました。

ワタナベモトム個展「モトムノドレミ」

今週の作家さんは、HBでは初個展となるイラストレーターのワタナベモトムさんです。
普段のお仕事ではデジタルで絵を描かれることが多いモトムさん。
今回の展示では、すべて手描きの書き下ろし作品が飾られました。
モトムさん独特のデフォルメされたかわいらしい家具や器、色彩豊かな色とりどりの世界観、ぜひお楽しみください!

— 個展開催おめでとうございます。HBで飾ってみていかがでしたか?

あこがれの空間だったので感激です。
実際に並べてみるといろいろと反省点が出てきたり、次のテーマも見えてきますね。

— 今回はどんなテーマで描かれましたか?

今回は特にテーマは設けずに、静物シリーズで統一感を出そうと思って描きました。

—  このシリーズを描き始めたのはいつ頃からですか?

2~3年前からでしょうか。HBファイルコンペに向けて作品を制作していく中でできました。
ファイルコンペに照準を合わせて描いてるうちに、少しずつ変化していって
時間をかけて自然とこういうかたちになりました。

— 描き続けたことで、自然とこのモチーフにたどり着いたんですね。
画材はどんなものを使って描かれてますか?

クラフト紙にアクリルガッシュやリキテックスで描いてます。
気軽に描けて、そのへんにあるもので。

—  クラフト紙に描くというのはおもしろいですね。うっすらと紙の黄色が見えて、いい風合いがでてます。
制作中、むずかしかったこと、楽しかったことはどんなことですか?

むずかしいことは全然していなくて、いつも気軽に描いています。
塗るのも楽ですし。楽しんで描いてますね。
展示前に、唐仁原さんに絵を見てもらった際「この感じでこのまま行きなよ」と言っていただけて。
すごく安心しました。オーナーが言うのだから間違いないだろう!と。

— 楽しんで描くのが一番いいですね!好きなものを描いてるんだろうなというのが伝わってきます。

見る方からは「このモチーフはお家にあるものですか?」とよく聞かれるんですが、
すきな世界観で、すきなものを想像して描いてます。

— 理想のアトリエ像といった感じでしょうか。

そうですね、常日頃からこんなアトリエを持ちたいなぁという憧れがあります。

— ますます素敵な絵が描けそうなアトリエですね。
最後になりますが、今後の抱負をお聞かせいただけますか?

やっぱり、人物を描けるようにならないとなぁ…と。
あとは、展示が終わったらHBファイルコンペモードに切り替えようと思います!
人物を描けるようになったら、またHBで展示をしたいです!

— モトムさんの描く人物、見てみたいです。次のHBでの展示、たのしみにしております!ありがとうございました。

ご自身のすきなものに囲まれた理想のアトリエには、
モトムさんだけの、ゆっくりとした心地よい時間が流れていました。
会場に置かれた作品ファイルからも、常にオリジナル作品を描き続けている、
モトムさんの絵に対する姿勢がうかがえます。こちらもあわせてぜひご覧ください!

agoera個展「情景」

今週の作家さんは、HBでは初の個展となるイラストレーターのagoeraさんです。
現在はギャラリーのスタッフをしながら、フリーでイラストレーションのお仕事をされています。
峰岸塾ご出身のagoeraさん。卒業後は、装画や挿絵のお仕事のほかに海外のお仕事も経験されていて、
若手イラストレーターのなかでも最も期待されているイラストレーターさんの1人です。

木製パネルや紙にアクリルガッシュ、リキテックスを用いて描いています。
agoeraさん独特の瑞々しいタッチ、情緒的な風景からはさまざまなストーリーが感じられます。

— 今回、HBで個展をされてみていかがでしたか?

有名な方が個展をされてる場というイメージがあったので、けっこうプレッシャーでした。
いろんな方に観ていただけたので、励みになりました。反省もしたり。

— 峰岸塾では学ぶことがたくさんあったと思うのですが、入ってよかったなと思うところをおしえてください。

自分の良さを客観的に知ることができました。
その頃は人物ばかり描いていたんですが、その人物があまりよくないと先生から言われ…
それで風景も描きはじめて、そこから変わっていって。
転機でしたね。 先生の一言がなければ、ここで個展をすることもなかったと思います。

— agoeraさんの新たな一面を引き出してもらえたんですね。
イラストレーターという職業を意識し出したのはいつ頃でしたか?

イラストを始めたきっかけは、ジャンルイジトッカフォンドのアニメーションとイラストを見て、
こんなタッチで絵を描いてみたいと思ったからで、そのころから職業としてやっていけたら楽しいだろうなと、
でも大変そうだなと考えたりしてました。大学4年生の頃、これでやっていこうと決心しました。

— agoeraさんの作品はどれもドラマチックと言いますか、いろんなストーリーがふくらみますね。
ご自身ではどんな小説がお好きですか?最近読んだ本などありますか?

サスペンスやホラー系が好きです。最近はあんまり読んでないです。

— agoeraさんの絵はサスペンスにも合いそうですね。
最後になりますが、今後どんなイラストレーターになっていきたいですか?

長く続けられればよいと思ってます。

— ありがとうございました。今後のご活躍をたのしみにしております!

なにげない日常の風景も、agoeraさんが描くと一瞬一瞬が劇的で印象深い風景に。
高い技術力と表現力は、同業のイラストレーターさんからも一目置かれる存在となっています。
まだまだお若いagoeraさん。これからもいろんな意見に耳を傾け、柔軟に変化し続けられるのだろうと感じました。

坂本奈緒個展「Storage」

今週の作家さんはHBでは5年ぶり2回目の個展となるイラストレーターの坂本奈緒さんです。
北海道岩見沢ご出身の坂本さん。東京で10年ほど活動されたのち、2年前に北海道へ戻り
絵のお仕事を続けられています。

潔いえんぴつ線と、空間のとり方がきもちのよい坂本さんのイラストレーション。
大自然に囲まれながら描いた、のびのびとした心地よい作品が並びます。

— 今回はどのようなテーマで制作されたのですか?

小さい頃住んでいた場所を描いてます。
現在も住んでいるので実際に見える景色や、記憶の中の景色を拾い上げながら描きました。
2年前に北海道に戻ったことが、記憶をとり出すきっかけになりましたね。
タイトルには「保管」という意味合いがあるので、
保管庫を開けて、ひらいて、思い出す…といったようなイメージです。

— 昔から馴染みのある風景なんですね。子供のころはどんな遊びをしていたんですか?

トンボの首飛ばしとか…

— !

やりませんでしたか?(笑)トンボをつかまえて、ぴんっ!って首から上を指ではじくと頭だけがもげて…でも飛んでいくんですよ!そのあとはゆっくり急降下して…
ほかには森とか林とかに入って、雪解け水をコップに汲んで飲んだり、木の実をつぶして色をつくったり。

— 外でたくさん遊んでいたんですね。絵も子供の頃からお好きでしたか?

好きでしたね。趣味でずっと描いてました。

— 坂本さんはこれまでもいろんな画材で線画を描かれてますが、今回の作品は何を使って描かれてますか?

画用紙に2B~6Bのえんぴつで描いてます。色は透明感を出すためにアクリルガッシュで塗ってます。
今回の作品は、すごく楽しんで描けました。
これまでは誰かのために描こうとか、苦しみながら生み出そうとする部分もあったのですが、
やっとそこから抜けれたような、自分自身のために描けた気がします。
この画材は描いていて楽しかったので、今後また違った見せ方ができるかなと。

— 楽しそうに描いているのが伝わってきます!
話しは変わりますが、東京と北海道の両方でお仕事をされてみて、いい面と悪い面があると思うのですが、
坂本さんにとってはどんなことがそれにあたりますか?

東京はたくさんものがあって、刺激的でたのしい。たくさんありすぎて、流されたり
いろんなものが目に入りすぎて忘れちゃう…でも仕事をするには良い土地!
疲れると休む場所がないかなと思いますね。

北海道は、ものはなく刺激も少ないですが、見ようと思ったものが見れて、いつでも立ち止まれる土地という印象です。ゆっくり見て、考えたりすることのできる場所でしょうか。

— 北海道に戻られてもお仕事を継続されているのがすばらしいと思います。

最初は戻っても絵の仕事ができるのか不安だったんですが、
うまく回せるようになってきたので、北海道に住もう!と決心できました。

—  やってみないとわからないものですね!いい決断だったのではないでしょうか。
最後になりますが、今後やってみたいお仕事や抱負をお聞かせ頂けますか?

装丁です!装画をまだそんなに描いた事がないので、もっと多く描きたいですね。
そして仕事をし続けたいです!

— すてきなお話ありがとうございました。今後益々のご活躍をたのしみにしております!



生まれ育った土地や、幼い頃の記憶、遊んでいたおもちゃ、昔の写真を元に
坂本さんのルーツを描いた今回の作品。
らくがきを夢中で描いていたころを思い出したかのように、心から楽しく描いた素直な作品に感じられました。

これからもさらなる広がりを期待させてくれる坂本さんなのでした!