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7月2015

仲條正義賞 長谷川 朗 個展「スペースワールド」

HBファイルコンペvol.25 大賞展4週目は、仲條正義賞を受賞された長谷川朗さんです。
まる、さんかく、しかく…などカラフルなカタチの組み合わせが楽しい長谷川さんの作品。
キョロキョロとした2つの目玉が可愛らしい、今にも動き出しそうなキャラクターがたくさん登場します!色彩の美しさもぜひご覧いただきたいです。ぜひお立寄りくださいませ!

 

 

— この度は受賞おめでとうございます。今回は何度目の応募だったのでしょうか?

今回で3回目です。最初の頃、自分の作品を出そうと思って、片っ端から色々なコンペに送っていました。

— 受賞を知ったときはどんなお気持ちでしたか?

ダントツで仲條さんの作品が好きだったので、選んで頂けて嬉しかったです。自分が好きと思っているものが、作品にも出ているんだなと改めて感じました。

— 長谷川さんが絵を描き始めたのはいつ頃ですか?

ちゃんと描き始めたのは、3年前くらいからです。妻が刺繍作家なのですが、その作品がギャラリーに置かせてもらえるようになったことが悔しくて、それがきっかけにもなりました。自分もそういうことがずっとやりたかったんです。それが3年前で、イラストレーションコンペのチョイスに応募し始めました。

 

 

— 奥様の刺繍ブローチ、会場でもとても人気ですね。
長谷川さんは絵を描くときに、それぞれテーマを決めてから描かれるのですか?

テーマは決めずに直感で描き、半分くらい描いてそこから固めて行きます。どこまでもっていこうかな?とか、これ以上塗るとしつこいかな?と思ったり、さみしい時は線を引いてみたり。引き際がとても難しく、最後の方で迷って置いたままにしたりすることもあります。

 

 

— なるほど。確かにバランスが難しそうですね。長谷川さんは、学校などで絵の勉強をされていたのでしょうか?

いえ、したことがないです。普段、ヴィレッジヴァンガードで勤めているのですが、職業柄色んなものを見てきたことが糧になっているなと思います。元々、1番好きなものは映画で、中学校の頃から1人で映画館に観に行っていました。今でも色んなものの中心にあるのが映画で、そこから派生して絵や本、音楽などへの興味へ繋がっていると思います。

 

— 影響を受けた作家さんにはどんな方が居ますか?

最初の頃は、ディックブルーナさんです。ブラックベアとか、初期の黒を基調としたデザインが好きで、作品集も好きでよく見ていました。柳原良平さんもすごく好きですね。今の作風を辿って行くと、そのお二人に影響を受けていると思います。デザインだったら、菊地敦己さんや服部一成さんが好きで、やっぱりそこから仲條正義さんに行き着きつくんです。
ミロやカンディンスキーも好きです。それまで、昔の絵を見ることはあまりなかったのですが、自分が絵を描き始めてから好きになりました。

 

 

— 今回が初個展とのことですが、やってみていいかがでしたか?

自分の中では一旦区切りができたという感覚で、最大限のことは出せたかなと思います。
今までは発表する場がなかったので、今回の展示で出し切って、また次の表現に行けるんじゃないかと。ここ1~2ヵ月で急ピッチに描いてきたので、そこから見えてきたものはあるなと思います。

 

 

— 今後、どんな活動をしていきたいですか?

書店で働いているので、本の表紙はやってみたいなと思います。絵本もやってみたいです。
元永定正さんと中辻悦子さんご夫婦にも影響を受けたので、ああいう感じのことがやりたいです。

 

長谷川朗さんと審査員の仲條正義さん。

鈴木成一賞 agoera個展「残響」

HBファイルコンペvol.25 大賞展3週目は、鈴木成一賞を受賞されたagoeraさんです。

ゴミ捨て場や台所、白いシャツなど日常の風景を中心に、
淡い色彩ながら静かな迫力も感じられる、力のある作品がずらりと並びました。
受賞後は、鈴木成一さんから装画のお仕事のご依頼もあり、今後益々のご活躍が楽しみです。
ぜひお立寄りくださいませ!

 

 

— この度は受賞おめでとうございます。
鈴木成一さんの大賞と聞いたときはどんなお気持ちでしたか?

その時は勤務先のギャラリーにいて、最初は特別賞かなと思ったんですが、
大賞と聞いて本当にとれるとは思っていなかったのでびっくりしました。

— こんな展示にしたいというイメージは元々ありましたか?

そんなにコンセプトは決めず、コンペの準備の段階でたくさん描いていました。
これまでは、色数やタッチを盛り込みすぎてた部分が多かったので、
そういった部分を削って個性のところを見直そうという気持ちでした。
そういうところを一番意識してまとめました。

 

 

 

— 応募する際に、ファイルの見せ方で意識されたことはありますか?

全体的な統一感が必要だったので、コンペのファイル用に全部描き下ろしました。
これまでHBのファイルコンペで受賞した人を見てると、シンプルな構成で、
ごてごてしていない抜け感のある絵が多い印象だったので、作品選びはそこを意識しました。
印刷の仕方も、出力の色が綺麗に出るように工夫したり、絵の大きさも原寸に近い方が
伝わるかなと思いました。色の共通性も意識して、黒い部分には青や紺、グレーを
調整した色を使って統一感を出しました。

 

 

— 実際に展示をしてみて、鈴木さんからはどんなお言葉をかけてもらえましたか?

「灯台」の絵はやっぱり良いと言ってもらえました。

全体的に基準点を越えているけど、もっとさらに越えて行かないと、といった内容も。
自分自身、ちょっと油断していたなと思っていたし、コントロールしきれていない部分が
あったので、仰る意味がわかりました。もっと上を目指さないとなと感じます。

 

 

— 次の新たな目標はもう決まっていますか?

この方向で仕事としてやっていけるのかわからないですが、
このままでいいとは思わないので、この方向性のさらに上の部分を突き詰めていきたいです。
まだまだ洗練されていないところがあるので、できるところまでやってみたい。
色々と探ったり、発見や吸収をして違う方向性のテイストも探しながら、相乗効果でもっと絵が良くなるんじゃないかと思っています。

 

agoeraさんと鈴木成一さん。  Photo by Morisaki  Tadashi

永井裕明賞 スガミカ個展「angina house/扁桃腺の家」

HBファイルコンペvol.25 大賞展2週目は、永井裕明賞を受賞されたスガミカさんです。
昨年のファイルコンペでは特別賞を受賞されたスガさん。今年も続けてチャレンジされた結果、見事、大賞に輝きました。じっくり見ていたくなる人物の表情からは、様々な物語を浮かんでくるようです。スガさんの初個展、ぜひお立寄りくださいませ!

 

 

— この度は受賞おめでとうございます。昨年は特別賞、今年は大賞と2年続けての受賞ですね。
お知らせがあったときは、どんなお気持ちでしたか?

ありがとうございます。
嬉しいというよりただただ驚きが先で、とても信じられませんでした。
昨年「特別賞」をいただいた永井さんの「大賞」でしたので、じわじわと後から喜びはありましたが、
それよりも「個展」というプレッシャーの方が大きかったかもしれません。

 

 

— 
「angina house/扁桃腺の家」というタイトルも素敵ですね。どのようなテーマで制作されましたか?

「angina house」は、2年前のグループ展のために制作したzineのタイトルです。
その時は、自分のルーツである「父」や「母」の生きてきた時代、
その時代の痛みのようなものを家に例えて感じつつ制作しました。

今回の個展では更に「家」=「人」というイメージで、外からは決して見えない「扁桃腺の痛み」
ー小さな哀しみや切ない慈しみのようなものを抱えた人、あるいはそんな気配を
何かを抱えたり、携えたりする人々の姿として描いてみました。

この登場人物は特別にどこか心が病んでいる人というのではなく、
ごく普通のさりげない人々として私は捉えています。
彼らから短編映画や物語のはじまりのように観る方が何かを感じ取って下されば嬉しいです。

 

 

— スガさんの描く人物の表情は、色々な背景を感じるような、魅力的な表情ですね。
最初に、それぞれの人物のイメージを作ってから描かれるのですか?

人物のイメージを作ってから描くというより、描きながらイメージが作られていくというか、
自分の中で物語が生まれてきます。
顔はその中でもどこかこだわりがあって、気に入る顔の表情ができるまで何度も描いてしまいます。

 

— HBコンペに向けて、ファイル作りで意識したことがありましたらぜひ教えてください。

実は、行き当たりばったりでした(笑)。
本当はもっとストイックに詰めたかったのですが、ただ人物に関してはモノクロのトーンでまとめるなど、
自分の中では統一したイメージで描きました。

 

 

 

— 今回、個展をしてみていかがでしたか?

ギャラリーでは初個展なので、大変緊張しました。
大判出力や商品の作り込みなど、以前から自分がやってみたいと思った事を大切にしながら
展示の空間としてどう見せるかを第一に考えました。
最終的にバランスを整えられたのはスタッフの方々の意見だったりアレンジがあり
大変、勉強になりました。

今回、個展の機会を与えてくださった、永井裕明さん、
またHBギャラリーのみなさまに深くお礼の気持ちを述べさせていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。

 

審査員の永井さんと。

 

特別賞展 特別賞6人によるグループ展

今週からファイルコンペvol.25の大賞展が始まりました。
7月3日から8月26日まで、受賞者の作品を展示致します。
第1週目は、特別賞に輝いた受賞者6名によるグループ展です。
今年も、力作揃いの熱い展覧会となりました!

 

ファイルコンペvol.25  特別賞受賞者 (敬称略)
日下潤一特別賞 / 有馬級子
副田高行特別賞 / 瓜生太郎
藤枝リュウジ特別賞 /ミヤタチカ
鈴木成一特別賞 / 河合真維
永井裕明特別賞 / 浅羽容子
仲條正義特別賞 / ナガタニサキ

 

応募者数 723 名 の中から、見事入賞に輝いた6名の作家さんたち。
それぞれの個性が光る作品が一堂に並び、見応えのある展覧会になりました。
展覧会初日には、審査員の日下潤一さん、鈴木成一さん、永井裕明さん、藤枝リュウジさんがお越しくださいました。
作品の感想を伺ったり、アドバイスをいただいたりと、なんとも贅沢なひとときでした!

 

受賞者のみなさんと審査員の方々

 

 

 

有馬級子さん

 http://www.shinakos.com/

 

 

河合真維さん

http://kawaimai.com/ 

 

 

瓜生太郎さん

 http://www.tarouryu.com/TAROURYU/HOME.html

 

 

ミヤタチカさん

http://miyatachika.com/ 

 

 

ナガタニサキさん

http://ngsk.mods.jp/

 

 

浅羽容子さん

 http://asaba-yoko.sakura.ne.jp/

 

 

 

HBファイルコンペVol.26の募集もはじまりました!
応募要項・小冊子はギャラリーで配布しております。

http://hbgallery.com/compe.html

みなさまの熱い20点、お待ちしております!