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9月2022

藤枝リュウジ個展「CRY2022」

秋の恒例企画展、今年も藤枝リュウジさんの展覧会がはじまりました!

今回の作品は、近年、亡くなられた方に想いを馳せて描かれたとのこと。

悲しさの中にユーモアのある新作をお楽しみください!

作品はオンラインショップからもご購入いただけます。こちらもぜひご覧くださいませ。

http://hbgallery.shop-pro.jp/

 

 

今回は藤枝さんがコレクションされていた昔のコミックのページをコラージュに使用されました。
ポップでありロックな作品がずらりと並びます!

 

 

表情豊かなキャラクターたちは、見ているだけで楽しい気持ちに!

 

HBギャラリーの創設者、唐仁原教久の絵も描いていただきました。藤枝さんによる追悼文も掲示しています。

 

藤枝リュウジ個展「「CRY2022」」 は9/28(水)までです!(最終日のみ17時まで)お見逃しなく!!

エジソン個展「おりょうりえほん」

今週は広告プロダクション、クリエイティブオフィスエジソンさんの展示です。DMのビジュアルとなったのは、エジソンの代表でありイラストレーターの田渕周平さん。HBでの展示は17年ぶりの開催となりました。今年で50作品となった、クックパッド監修・エジソン制作の「おりょうりえほん」の世界が一堂にお楽しみいただけます!絵本もずらりと展示中!ぜひお手にとってご覧くださいませ。

 

 

食育をテーマに2018年から企画制作がはじまった「おりょうりえほん」。2歳から6歳くらいのお子様向けのオリジナル食育絵本が、毎月1冊届く月額サービスとして刊行されています。絵本仕様のプロモーションを得意とするエジソンチーム、「おりょうりえほん」の物語はすべて田渕さんをはじめとするスタッフさんが考えられています。毎号、イラストレーターさんは田渕さんがチョイス。いつかお仕事を頼んでみたいというイラストレーターさんにお声がけすることもあるとのこと。どんなイラストレーターさんにお願いしたいか、常にアンテナをはっているそうです。

 

 

 

1冊あたりの制作期間は約3ヶ月。物語作りに1ヶ月、イラストレーターさんによる作画に1ヶ月、デザインに1ヶ月ほど。さらには並行して何冊も抱えながらというハイペースな現場だそうです!物語は「読み聞かせをする大人もはっとするような要素を少し取り入れるようにしているんです」と田渕さん。

 

 

 

壁面はこれまでの絵本の世界がどどーんと紹介された愛情たっぷりの会場に!大人もこどもも楽しめる「おりょうりえほん」の世界をぜひお楽しみください!先着100名様には絵本のプレゼントも!お楽しみに。

 

田澤ウー個展「ダンボール日和」

今週の作家さんは田澤ウーさんです。HBでは2年ぶりの開催となりました。ダンボールの素朴な風合いと、田澤さんの描くほのぼのとした人物や日常の景色をお楽しみください!

 

田澤さんが描くものの多くは日常の景色。日常の気になった景色やイメージを作品にしているとのこと。甲子園で大阪桐蔭が大量得点した日、エリザベス女王が宮殿から挨拶した日、参院選の選挙看板にポスターが貼られた日…など、田澤さんの視点で切り取られた日々のできごとが描かれました。テーマは身の廻りの出来事がほとんどで、天使や妖怪が登場することはないそうです。

 

 

この技法を始めたのは3年前から。それまでの線画に飽き足らなくなり、また、大雑把な性格が活かせるような技法はないかな?と模索して辿り着いたのがダンボールだったそうです。ダンボールを使う不自由さが気に入っていて、上達しすぎないようにと気をつけているとのこと。

 

 

会場では1年ほど前から始めたというアニメーションも上映。パーツごとに作り、スマホで1コマずつ撮影していくのだそうです。自分で絵を動かすことができるのは楽しい、と田澤さん。普段何気ない景色を見ている時も「これはアニメーションにしたらいいかも」と、ふとアイデアが湧いてくるのだそうです。

個展もグループ展も、いつも仕事に繋げたい、と田澤さん。出来るだけ多くの仕事をして、多くの人に見てもらいたいそうです。今後益々のご活躍が楽しみです。

 

津田周平個展「カレンダーが終わらせてしまう」

今週の作家さんは津田周平さんです。HBでは初個展となりました。どこか懐かしく、寂しい雰囲気が心地よい津田さんの作品たち。今回のために描かれた新作や、ZINEの販売も!作品はすべて販売しております。お見逃しなく!

 

 

Q.今回のタイトルにはどんな想いが込められていますか?

HBギャラリーといえば思い入れが強過ぎてかなり悩みました。
昔のロシア文化がミーハーに大好きで、映画監督のニキータ・ミハルコフや小説ならドストエフスキー、画家だとピロスマニなどから、キジ島の木造教会、マトリョーシカ等の小物まで魅入ってしまう感じだったので、今回の個展タイトルはロシアから取らせてもらおうと思い立ち、アニメのチェブラーシカに出てくるワニのゲーナの歌「空色の列車」から抜粋しました。
最初は動画の翻訳そのまま「カレンダーが終わらせてくれる」としていたんですが「今日という日が一年続けば良いのに」という箇所もあって感情的な矛盾を感じ、語尾を「しまう」にすれば歌詞の要約というか、対比をまとめてしまえると思いました。個展が終わるのを惜しむようなニュアンスも付け加えられて良かったです。

そういうロシア文化への憧れの総括として個人的な偏見ですが、ロシアの人々は絶望的なのになぜか異様に力強い印象を受けます。
寒すぎる土地、強い酒、あまりにも広すぎる土地、そう言った色々なネガティヴを納得したうえで諦観して生きている感じになんとも言えない魅力を感じてしまいます。

学生の頃チェブラーシカは流行の最後の方は可愛いという理由になってしまったけど、実際にアニメを見てみると沈んでいますし、淡々と生きているだけで。子供番組なのにかなり暗い。でもリアルで強くこれでいいんだなとも思った。絶望の中に無理やり希望を埋め込んだら中和されて淡々とした肯定感がある。自分の絵もそうありたい。

 

 

Q.津田さんは新聞社で長い間お勤めされていたんですね。

元は新聞社で整理記者をしていました。主に見出しとレイアウト作りです。文章を渡されて読んで、見出しを字数制限に合わせ考え、紙面をつくる。新聞は斜陽ですから仕事は過酷でした。
若い頃は新聞内で4コマ漫画を描かせてもらおうと勝手に社内で営業をした事もあります。4コマは全然相手にされませんでしたが、挿絵はたくさん描きました。正月新聞に見開きですごろくの絵を4年ほど描いていました。組織なので様々な意見が入って全然面白くないすごろくでしたが。埋まらない紙面をどうするかというところで、絵を好きなことを利用されていた気もします。

妻には、宮沢賢治の詩から引用した「ちょっとぐらいの仕事ができてそいつに腰掛けやがって」などとよく言われていたので、仕事をしていたわりに敬意は払われてなかったです。

 

 

Q.作品制作はどのようなきっかけではじめたのですか?

11年勤めた新聞社を辞め、外資系の会社へ転職しました。しかしどうやら事業計画がうまくいかないという理由で唐突に、その計画に参加する予定だった僕を含めその期に入った社員は辞めてくださいという流れなりました。その後の半年間は失意の中、失業保険で暮らしていました。新聞社でのごたごた引越しの疲れ、突然の解雇などで疲弊しきってしまい、ずっと寝ているような生活を送っていました。保険が終わり3ヶ月経っても、僕はまだぼーっとしていて、ある日妻と息子ら3人が不在で留守番してた時に僕は急に絵を描いてみようと思いました。
妻には暇なら漫画でも描けと言われていたけど描けなかった。その時絵を描いて「自分は1枚絵の人間だったんだ。漫画じゃなかった」と気付きました。息子が可愛いうちに横顔を描いておこうと思ったり、新聞の挿絵のために描き溜めていたメモを大きく描き出したり。そうしたらどんどん絵が描けて楽しくなりました。
描きはじめた時に放っておいたSNSも10年ぶりに再開しました。InstagramやTwitter、以前は反応がなかったのに、いいねがつき始めてそれも面白かった。そこからSNSが楽しくなったのがいい方向へ向かったんだと思います。

 

 

 

Q.今後はどんな活動をしていきたいですか?

子どもは大きなテーマなので、普遍性のある絵本など、子ども向けの仕事をしてみたいです。
最近家族が遊びで僕の絵でアニメを作ってくれて嬉しかったので、僕の絵が動くということにも挑戦してみたいです。
死ぬまで取り組めるライフワークのような活動を見つけられたらと考えています。
もう、絵を描くしか出来そうなことが無いので描ける環境を、健康的に保てるかどうかも課題です。