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8月2021

大庫真理個展「Daily Drawings」

今週の作家さんは大庫真理さんです。HBでは初めての個展開催となりました。HBファイルコンペVol.30では副田高行さんの特別賞を受賞。のどかな心地よい線画が印象的でした。今回も日常をテーマに、人々の穏やかな営みが感じられる大庫さんならではの線画をお楽しみください!

「屋内庭園」

2年ほど前から、身の回りのことや、散歩をした際に見かけた人物や景色をテーマにドローイングを描き始めた大庫さん。今もテーマは変わらず、シンプルな線画で描くというスタイルを続けられています。昨年の受賞者展で展示した作品は、ご自身で振り返るとまだただ描いただけの作品だったのでもうすこし何かする必要があると思ったそうで、今回の個展では自分の視点で画面作りをし、どこを見て描きたいと思ったかが伝わるよう、これまでとは違った意識のもと制作されたとのこと。

「チューリップ」

「山の日」

新作はこれまで描いてきたものと比べて、倍以上の大きな画面に描かれました。画面が小さいと偶然できたものでも成立していたそうですが、今回はただ描いただけだと成立しない大きさだと感じたそうです。白と黒のバランスや、余白のことを考えたり、もう少しやれることがあるのかなと、表現の広がりを感じたとのこと。資料にしているものはご自身で撮影した写真など。それらの写真と、必要な資料を探して、良い部分を組み合わせるように画面を作るそうです。この先、仕事で描く際には必要な作業だなと感じたとのこと。

「遠くの方へ 3」

「高いところ」

イラストレーターの仕事を始めたのは2018年。挿絵や装画などエディトリアルの仕事の依頼が多いそうです。現在のタッチになる前には、とにかくイラストレーションの仕事がやりたいという想いで、様々なタッチに挑戦。やりがいはあるものの、受け身になりがちなスタイルになっていたそうです。次第に「このスタイルで長続きするのかな?作り込んでいく楽しみがあるのかな?」と模索するように。今の筆のタッチに行き着いたのは、青山塾へ通ったことも大きなきっかけだったそうです。

「待ち時間」

自分のできることや得意分野があると思うので、これまでの実績ももちろん大事にしながら、今回のタッチにも寄せていきたい、と大庫さん。自分の好きな感じとすり合わせが出来てきて、これだったら長く続けられそうと思えるものにようやくなったとのこと。今、スタートに立てた気持ちです、とお話してくださいました。今後益々のご活躍が楽しみです!

SEIICHI個展「COMFORT OBJECTS」

今週の作家さんはSEIICHIさんです。初めての個展開催となりました!HBファイルコンペVol.30では鈴木成一さんの特別賞を受賞。玄光社チョイスでの入選も続くなど、いま注目の作家さんです!心地よいフォルムを求めて描かれた新作や、チョイス受賞作品など、SEIICHIさんならではのユニークなテクスチャーと技法で描かれた原画の数々をお楽しみください!

 

コンフォートオブジェクトとは、ライナスの毛布のように、幼い子どもが持っていると安心するような物を指すそうです。自分でも心地よいと思う形や、テクスチャーのある物体を作りたいという思いが今回のテーマに。モチーフは車や馬、飛行機など、子どものおもちゃからアイデアを膨らませることが多いそうです。昔ながらの、量産するために形を省略したような素朴なものに惹かれるとのこと。

 

 

元々はエアブラシを使用して描かれていたSEIICHIさん。昨年のHBファイルコンペ受賞者展後、部屋の片付けをしていたところ、エアブラシの洗浄液をこぼしてしまったとのこと。それを紙で拭いた途端、文字が転写していることに気づいたそうです。そんな、ひょんな出来事から生まれた今回のエアブラシの洗浄液を用いた技法。版画のような質感ですがすべて1点ものの原画です。液体の滲みを生かす表現が出来るところが面白いとのこと。デジタルとアナログの作業を行ったり来たりし、2つの良いところを使ったハイブリッドのような表現にうまく着地できた、とSEIICHIさん。ただ印刷するだけではない、滲みの表現が強みだそうです。

 

 

テクスチャーの組み合わせや、形を考えることに時間はかかるそうですが、それが決まれば描く作業はとても早く、スピードが必要とされる仕事でも問題ないとのこと。来た球をうまく返すようなつもりで、依頼があればどんなお仕事でもやってみたい、とSEIICHIさん。本や雑誌など紙モノには特に興味があるそうです。仕事をすることで「こういう広がりがあるんだ」と自分でも楽しみたいとのこと。今後益々のご活躍が楽しみです!

HB WORK Vol.1 その後

2020年6月に審査が行われた、初開催のHBコンペ「HB WORK Vol.1」。大賞受賞者にはギャラリーでのグループ展開催のほか「審査員とのお仕事」という副賞がありました。受賞後から約1年、どのようなお仕事へと繋がったのかご紹介いたします。また大賞の方以外の方へもこのコンペがきっかけでお仕事へと繋がりました!たくさんの力作をご応募くださった参加者のみなさま、お仕事をご依頼くださった審査員のみなさまありがとうございました!

次回 HB WORK Vol.3のお申込み受付中! たくさんのご応募お待ちしております。
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01dve9wnp0z11.html

 

 

『群像』2020 9月号 表紙
Ill:マナベレオさん D:川名潤さん

『ボーダレス・ケアラー 生きてても、生きてなくてもお世話します』装画・挿画
Ill:竹浪音羽さん D:池田進吾さん+千葉優花子さん (next door design)

『story box』4月号「ほどなく、お別れです 思い出の箱」扉絵
Ill:竹浪音羽さん D:岡本歌織さん (next door design)

カードゲーム『57577 ゴーシチゴーシチシチ』
Ill:玉川桜さん D:尾崎行欧さん

『デカルトはそんなこと言ってない』装画
ill:玉川桜さん D:川名潤さん

 

『群像』表紙 D:川名潤さん
(左から) Ill:ゲレンデさん、akira muraccoさん、大河紀さん

『バグダードのフランケンシュタイン』装画
Ill:小山義人さん D:川名潤さん

『セゾン・サンカンシオン』装画
Ill:中島花野さん D:岡本歌織さん(next door design)

 

『群像』 連載「文芸文庫の風景」
Ill:六角堂DADAさん D:川名潤さん

 

『黒魚都市』装画
Ill:浦上和久さん D:川名潤さん

 

『理不尽ゲーム』装画
Ill:出口えりさん D:川名潤さん

 

夏季休廊、オンラインショップお休みのお知らせ

8月12日(木)~8月19日(木)まで、夏季休廊とさせて頂きます。
それに伴いまして、HBオンラインショップの受注・発送業務もお休みさせていただきます。
休廊期間中にいただきましたご注文やお問い合わせについては、
8月20日(金)以降に順次対応させていただきます。
商品到着が遅れますことご了承くださいませ。

ご不便をおかけ致しますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 

HB FILE COMPETITION vol.31 河西達也賞 野口奈緒子個展「Fragments:フラグメンツ」

HBファイルコンペvol.31 受賞者展もいよいよラスト! 今週の作家さんは河西達也さんの大賞を受賞された野口奈緒子さんです。昨年10月に開催された個展「いつかの風景」での展示作品を応募されたところ見事大賞に輝きました!心地よい風が吹き抜けるような、美しい風景の数々をお楽しみください!

 

「Fragments:」

前回の個展で初めて風景画に挑戦された野口さん。よく通るお気に入りの場所や、描きたいと思っていたけれどうまく表現ができなかった風景を、今回ようやく形にできたそうです。風が吹くと気持ちのよい場所や、影の形が綺麗な場所をみつけると絵にしてみたいと思うとのこと。空を描くことが多く、線は細やかな分、余白は大胆に気持ちよく。寂しくならないように、でも描き込みすぎないようにと、筆の止め具合を大事にされているそうです。

 

「いつだってここは」

「深く、やわく」

コンペに応募するのは昨年で4回目。その時は描けたと思って応募しているけれど、あとから見返してみると「よく人に見せたな…」と感じる作品も多いそうです。前回応募された個展の作品は、風景を描き始めたばかりで自信がなかったそうですが、じっくり見てくれる方が多く評判もよかったとのこと。大賞の知らせを聞いたときは、びっくりしてしまい、いいのかな…という気持ちと別の野口さんかもしれない、という半信半疑な状態に。クリスマス頃の知らせだったため、いいプレゼントでした、と野口さん。

 

「8月」

今回は男の子や建築物を描くことにも挑戦され、少しずつ幅を広げていければとのこと。本の装画やパッケージ、ポスターのお仕事を手がけてみたいそうです。展示は8/11(水)まで(最終日のみ5時まで)、美しい原画をぜひご覧頂きたいです!

 

「ふたり」

HB FILE COMPETITION vol.31 鈴木久美賞 橋本佳奈個展「TOTEM あわくゆくところ」

HBファイルコンペvol.31 受賞者展、第5週目の作家さんは鈴木久美さんの大賞を受賞された橋本佳奈さんです。昨年初めての応募で見事大賞に輝きました。1枚の絵からそれぞれの物語を感じるような、表現力豊かな描写が鈴木さんの目にとまりました。今回の新作では夏を意識した涼しげな作品も!橋本さんの新境地をお楽しみください。

「夜の池」

タイトルになった「TOTEM」には「象徴」という意味合いがあるとのこと。とある人物の人生の象徴となるシーンやモノをテーマに描かれました。そのテーマの中心となったのは、橋本さんが過去に描かれた「夜の池」という1枚に登場する人物。この人物の過去はどんなものだったのか、橋本さん自身が知りたいと思い、今回描いてみようと思ったそうです。関わってきた人物やモノ、思い出を想像し描かれたという、ユニークな発想から生まれた作品たち。普段から空想の世界を絵にすることが多く、今回の試みも「一人遊びのようなものです」と橋本さん。

 

リアルではないこことは違う別の世界であり、自分のことではなく、知らない誰かをテーマに描くことが多いとのこと。コンペに応募したきっかけは、ご友人のイラストレーターさんから「やってみたら?」と背中を押してもらったことだったそうです。自分の描く空想の世界はイラストレーションのコンペには向いていないんじゃないかと感じていたそうですが、そのご友人の一言で「試しにやってみようかな」と思えたとのこと。向いていないかもしれないというのは思い込みだったことに気づかされた、今回結果につながったことで自信にも繋がったそうです。

橋本さんの初めてのお仕事は、今まさに進行中の鈴木久美さんデザインの本の装画とのこと。完成が今から楽しみです!今後も大好きな本や雑誌にまつわるお仕事ができればいいです、と橋本さん。展示は8/4(水)まで開催中(最終日のみ17時まで)、丁寧に描かれた原画をぜひご覧いただきたいです。