HB Gallery

Blog

4月2021

西山竜平個展「うつけのうた」

今週の作家さんは西山竜平さんです。HBでは約2年半ぶり、3回目の個展開催となりました。昨年は、讀賣新聞での連載小説『やさしい猫』の挿絵や、絵本『地球がうみだす土のはなし』の制作で毎日大忙しだった西山さん。そんな中、今回は個展のために描かれた新作を展示して頂きました!西山さんオリジナルの物語「うつけのうた」と共にお楽しみください!

(一方的に喋り続けた石板は、こちらの質問に答えることなく満足そうにサラサラと崩れて砂粒になった。細かく砕け続ける間も、石板に描かれたフクロウと目が合ったままだった。「うつけのうた ―砂どうぶつえん―」)

今回の個展では、これまでやってこなかったことや、やりたかった表現を試みることをテーマに、様々なタッチに挑戦。普段のお仕事ではなかなか新しい試みが出来ずにいたため、自分の絵のイメージが固定してしまわないためにも、これまでやってこなかったことを自分の中に取り込んでみようと思ったそうです。今回の作品は、架空の短編集「うつけのうた」という物語を作り、それぞれの短編に合わせて絵を展開。物語を書いたのは今回が初めてだそうです。

 

 

絵本のお仕事をしたことがきっかけで、物語の絵を描きたいと改めて感じたという西山さん。いつか物語と絵の両方を手掛けるのが夢だそう。装画のお仕事や、新聞小説のお仕事などで様々な文章に触れることが多く、影響を受けることが多々あるそうです。言い回しや伝え方、様々な作家の表現を読み比べられることは、物語に携わる仕事の醍醐味とのこと。

 

 

昨年はアウトプットの年だったそうで、連日、新聞連載の絵のアイデア出しや、絵本の絵を制作する日々だったとのこと。今年はたくさんのことをインプットし、自分のフィルターを通して、またさらにアウトプットすることに集中してみたい、と西山さん。お仕事の絵と自主制作の絵、どちらも大事で、どちらかが欠けてもダメだなと改めて感じるそうです。研究肌な西山さん、自分にどんな表現が出来るのか実験したくなるとのこと。死ぬまでにどんな絵が描けるのだろう、とやりたい表現がまだまだたくさんあるのだそうです。表現の幅を広げて、お仕事でも自分からアプローチしていくのが目標とのこと。

次回は来年の6月に個展開催が決まった西山さん。より自分らしさが見えるようなものを発表できたら、とのことでした。次回の作品もお楽しみに!

(朝の満員ラッシュにほとほと嫌気がさしたわたしは、高速軌道列車での通勤をやめて昔ながらのローカル線を使うことにした。「うつけのうた ―会社員山田のぼるの日常―」)

 

土居香桜里個展「百味礼讃」

今週の作家さんは土居香桜里さんです。初めての個展開催となりました。色鉛筆で描かれた素朴で温かみのある土居さんの作品たち。個展のために描かれた新作や、資生堂パーラーのパッケージや冊子に使用された原画の数々も一堂にご覧頂けます。ぜひお越しくださいませ!

Q1.今回展示された作品やテーマについてお聞かせください。

近年担当した「食」のお仕事の原画をメインに、描き下ろしなどを添えました。影というものに趣があるよねという「陰影礼賛」と同じく、様々な食にも趣があるよねという事で「百味礼讃」というタイトルにしました。

 

Q2.イラストレーターを目指されたのはいつ頃ですか?

Webディレクターとして働いていた2010年です。新宿紀伊国屋書店の1階で本に立てかけられていた「すき・やき」という本の装画に目が離せなくなったんです。担当なさったイラストレーターが「みずうちさとみ」さんと知り、HPをよく見るようになり、そのうちに峰岸達さんが主宰なさっているMJイラストレーションズ塾生である事も知りました。元々絵を描くことは好きだったので、イラストレーター好きが集まる場所に自分も通いたくなったんですが、当時の仕事を続ける限り授業に出席するのは難しかったため、1度諦めました。けれどやっぱりMJ塾の事が頭から離れず、定期的に募集要項のチェックを繰り返し、いろいろ悩んだ末思い切って会社を辞め、2011年5月から通い始めました。

 

Q3.作品を作る上で、心がけていることはありますか?

依頼されて作成する作品は、依頼の本質は何か、期待されているものは何か、イラストレーションで何を解決したいのか、ということを意識しています。技法的には、ラフをしっかり用意したり、水彩色鉛筆の色味が綺麗に出るように白いケントボードを使ったりしています。

 

 

Q4.イラストレーションのお仕事に繋がるきっかけはありましたか?

大きく2つあります。1つは、引っ越しでお世話になった鈴木誠さんという不動産屋さんのブログヘッダーと年賀状用イラストレーションの制作です。これを機に年賀状の仕事を多数いただくようになり、イラストレーターとして実績を積むことができました。また、この方の紹介で久寿餅屋三代目のブログヘッダーも描き、昨年にはオリジナルブランド「江戸久寿餅」のメインビジュアルも担当し、今回の個展でも協賛いただいております。

もう1つは、2012年にMJイラストレーションズ塾の「夏」という課題で描いた、ともろこしの絵です。Pintarestに画像を載せていたら、資生堂パーラーのデザイナーがチェックしてくださっていて、2017年の羽田空港国際線モノレール駅用広告で声をかけてくださいました。それを見た資生堂アートディレクターの花原正基さんがH’or cafeのポスターで起用してくださり、その後資生堂パーラーの商品カタログ表紙を任せてもらったり、様々な食にまつわるお仕事をご依頼いただくようになりました。

 

 

Q5.今後やっていきたいこと、やってみたいお仕事などお聞かせください。

お仕事に関しては、ジャンルを問わずいろいろなものに挑戦したいです。個人的には、時短への取り組みと、祭散歩本の執筆を行い、10年スパンでは水彩画や物語性のある絵・アニメーションなどにも取り組みたいと思っております。