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2月2015

妹尾香里個展「a nice day!」

今週の作家さんは妹尾香里さんです。HBでは初めての個展となります。
ステーショナリーのお仕事や、雑誌の挿絵、装画のお仕事などでご活躍中の妹尾さん。
今回は、生き物たちのなんでもない日常をテーマに、ほのぼのとした楽しい空間が広がりました。
大人っぽいかわいさもあるキャラクターや色合いが魅力的です。
隅々まで見応えのある展覧会となっております!お見逃しなく!

 

 

— 妹尾さんの絵は物語性も感じられて、とても楽しいですね。何かテーマを決めて描かれてるのですか?

クマとか森のシリーズは描きやすくて描いちゃうんです。
雑誌を見てかわいいなと思ったものから、イメージをふくらませて描いたりすることもあります。
自分だけで描いていると、いつも同じような感じになるので、
無理矢理テーマを与えて描くこともやってみようと思います。

— どの絵もアイデアが豊富だなと思うのですが、常に書き留めたりしているのですか?

ふと思いつきます。ラク描きもしないので、描くぞ ! と思って描きます。

— よく見ると小さい生き物が居たりして、じっくり楽しめますね。
妹尾さんは個展をされるのは何回目ですか?

今回で3回目で、カフェや小さいギャラリーでやったことがあります。
初めてこういった場所でやるので、不安で怖いです。

 

 

— 妹尾さんは岡山のご出身だそうですが、東京での活動はいつ頃始められたのですか?

岡山の大学を出て、就職のため東京へ来て、デザイン関係の仕事に就きました。
中古車やタイヤの広告などをつくっていました。
派手で目立つものが多く、自分には向いていなかったかな…と思います。
そこは1年で辞めてしまったのですが、最後にやらせてもらった仕事が、ちょっとだけ絵を描く仕事だったんです。
それが楽しくて絵の方に進むきっかけにもなりました。

 

 

— お仕事を辞められた後はどのように絵の道に進まれたのですか?

通勤も嫌だったし、次の仕事のことは何も考えていませんでした。
しばらくは派遣の仕事でお金を貯めて、その1年後に青山塾へ通うことにしました。
イラストレーションの塾選びにはすごく迷ったのですが、青山塾へ通っている方に、
メールでお話を聞いてみたらすごく丁寧にお返事をくださって、そのことがきっかけになりました。

入ったときは、人物を描く授業が多かったので、自然とそういう絵を描く機会が多かったのですが、
100%ORANGEさんが講師で来てくださったときに、鳥の絵を描いて見てもらったら「これがいいんじゃない?」と
言ってもらえて、それからは得意なものを描くようになりました。

— 青山塾へはどれくらい通われたのですか?

派遣の仕事をしながら、3年間通いました。

 

 

— 卒業後は営業などされましたか?

3年前にまとめて営業しました。1日2~3件電話をかけるだけで、すごく緊張しました。
でも実際にかけてみると、みんな優しい人でした。
その後すぐに、雑誌「リンネル」の挿絵のお仕事が来ました。
「ファイルを見ました」とご連絡をいただけて、すごく嬉しかったです。
ちゃんと見てくれているんだ!と思いました。

— いいお話ですね。ステーショナリーのお仕事も、妹尾さんの作風にぴったりですが、これはどのようなきっかけですか?

このお仕事は、井の頭公園のアートマーケッツに出展した際に、お声掛けいただきました。
2回続いたお仕事で嬉しかったです。

 

 

— 今後やってみたいお仕事はありますか?

CMがやりたいです。 どどっ!!ていうような感じのものをやりたいです。
テレビで流れたらみんなに見てもらえるのがいいなと思います。
他には、これまでは1回きりのお仕事が多かったので、連載のお仕事などやってみたいです。
有名になれるようにがんばります!夢は『情熱大陸』にでることです。

 

HB わ 展

今週は弊社スタッフ6名によるグループ展です。
「和」をテーマに思い思いに絵付けをした、お面やこけしなどの玩具の販売と
新作イラストレーションを展示しております。ぜひお立寄りくださいませ!

NORIBOU / 唐仁原多里 / 白村玲子
藤井紗和 / 桑原紗織 / 村田恵理

 

 

 

 

村田恵理

 

 

NORIBOU

 

 

藤井紗和

 

 

桑原紗織

 

 

白村玲子

 

 

唐仁原多里

 

 

 

 

オガワミホ個展「静かな時間」

今週の作家さんはオガワミホさんです。HBでは初めての個展となります。
女の子のポートレイトをテーマに制作をされているオガワさん。黒い瞳と、デフォルメの美しさが目をひく作品です。
様々なシチュエーションで、女の子の繊細な内面を見事に表現されました。ぜひご覧いただきたいです!

 

 

— オガワさんはこれまで個展をされたことはありましたか?

2002年に初個展をしました。当時も女の子をテーマに描いていたのですが、
油彩で渋い茶系の、色味があまりない世界観を描いていました。
画家の松本竣介や佐伯祐三に感化されていた時期で、あの暗い雰囲気のタッチで友人や女性を描いていました。
学祭で発表した作品を見てくださった、ギャラリーオーナーの方に声をかけて頂き展示をしたのが最初です。

 

 

— その頃からイラストレーションを意識されていましたか?

当時はまだ意識していなかったです。
大学時代は油絵学科だったのですが、卒業してからは広告制作会社にデザイナーとして入りました。
絵を通して、社会とのつながりを持ちたいという気持ちや、自己満足ではなく世に出したいという気持ちがありデザイナーという職業を選びました。そこで仕事をしていくうちに、イラストレーターという職業を知りました。
元々は絵描きだったのでイラストレーターへの道へ魅かれていき、自分の絵で仕事をしたいと思い会社を辞めることに。
同時に、青山塾へ入り勉強をしながらイラストレーターを目指しました。

 

 

自分の絵がなかなか決まらず、今の絵になるまで7年くらいかかりました。迷いながらもこつこつと描いてきました。
女の子を描いているときは幸せです。気持ちがいいので、描くことだけは辞めないようにと思い続けてきました。

個展を決めたときに、女の子だけの絵でやろうと思ったのですが、
人に見せるにはどうしなきゃいけないんだろうと、1年間真剣に考えさせられました。
そこから絵が急に変わったかなと思います。個展を決めてよかったと思いました。
見せる責任が出てきて中途半端には出来ないなと思うし、いかに楽しんで見てもらえるか、かつ女の子だけで成立できるようにと考えました。

 

 

— ポートレイトだけで楽しめる展示になっていて素晴らしいと思います。今後はどんなお仕事をしていきたいですか?

最近、文庫本の装画を描かせていただいたのですが、これからももっと装画のお仕事や、
本にまつわるお仕事をしていきたいです。そこからまた幅広くお仕事をしていきたいと思っています。

 

 

 

杉山 巧個展「Lesson 0」

今週の作家さんは杉山巧さんです。HBでは初めての個展となります。
エディトリアルのイラストレーションを中心にご活躍をされている杉山さん。
普段のお仕事とは違った、新しいタッチで描きおろし作品を展示してくださいました。
野菜、動物、暮らしの道具などをモチーフに、のびのびとした描き方が楽しく、気持ちのよい作品です。
幾重にも重なる深みのある色は原画ならではです。 ぜひご覧くださいませ!

 

 

— 杉山さんはこれまで個展をされたご経験はありますか?

7年前にカフェスペースで絵の展示をしたことがありますが、本格的な個展は初めてです。

— 今回はどんなテーマで制作されましたか?

テーマは、楽しく好きなものだけ、何も意識しないで描きたいものを描きました。

— のびのびとしていて、見ていて楽しいです。不思議な筆跡だなと思ったのですが、何で描かれているのですか?

筆は使わず、厚紙を適当に切って、絵の具をつけて押し付けたりして描いています。
この技法で描いた絵を発表するのは初めてです。

 

 

— モチーフは自然のものが多いですね。お仕事でもそういったものを描くことが多いですか?

そうですね。仕事の多くはロハス系やグリーン系などやさしいものを描くことがほとんどです。
雑誌や、企業パンフレットなどの仕事が多いです。
僕の絵は、万人受けする仕事のしやすい絵だけど、その分強さがないと言われた事もありました。

— どれも見ていて気持ちがいいなと思います。
杉山さんのサイトに「inori books」という名前がありますが、現在もユニットで活動されているのですか?

以前、一度絵を辞めて地元の静岡で仕事をしていた時代に、モノ作りをするときだけ使っていた名前です。
年賀状やハガキを作るときにはその名前でやっていました。

 

 

— 静岡のご出身なのですね。東京での活動を始めたのはいつ頃ですか?

静岡の専門学校を出て、東京で25歳くらいまでアルバイトをしながらずっと絵を描いていました。
イラストレーション誌の「チョイス」に入選してから、雑誌の仕事を頂けるようになりました。
でも、それまで絵を描くときに、ラフや下描きをしたことがなかったので、お仕事になったときに
うまく要望に応えられなかったんです。
絵を仕事にするのは難しいんじゃないかと思うようになり、一度絵から離れて静岡に戻りました。

実際、絵から離れてみると、あの時もっと工夫できたんじゃないかなと思うようになり、
やはり、絵で相手に喜んでもらえる仕事をしたくて、また東京へ戻って来ました。
そして今に至ります。

絵の仕事は楽しいのですが、相手の反応を重視しすぎてしまい、ここ数年オリジナルの絵が全く描けなくなっていました。
楽しく描けなくちゃ、この先絵が描けなくなっちゃうかもと思いました。
そういったことが今回のテーマにもつながります。

 

 

— 以前と絵が変わって、パワーもあり力強く、楽しんで描いている感じが伝わりますね。

そう感じて頂けただけで、今回の展示をやって良かったなと思います。

— 今後やってみたいお仕事などありますか?

希望ですが、絵本をやりたいです。
その他も、この個展から仕事につながったら、とても嬉しいです。

 

 

河井いづみ個展「Pearl」

今週の作家さんは河井いづみさんです。HBでは初個展となります。
カップ、帽子、引き出しなど、馴染みのあるものを描きながら
素材を組み合わせ、不思議な世界観を作りだすことのできる河井さん。
自由な発想とセンスで、挿絵や装画、パッケージ、テキスタイルなど、幅広くご活躍中です。
丁寧に描かれた、美しい鉛筆の濃淡もぜひご覧いただきたいです。お見逃しなく!

 

 

— 河井さんが絵の道に進もうと思ったのはいつ頃ですか?

小5の時です。私は高学年になっても絵本が好きで、学校の図書室でずっと絵本ばかり読んでいました。
いつも空想の世界に住んでいるような子でした。
今でも覚えてますが、昼休みにいつものように図書室で絵本を読んで、空想と現実を行き来しながら
自分の教室へ帰る階段の
最後の一段を上がったところで「私もこういう絵を描く人になればいいんだ!」と、
その瞬間に決断しました。
その頃からなぜかプロ意識を持っていて、
アーティストになるんだから、人の真似ではなく、自分の言葉で話さなければと思っていましたし、
みんなと違う視点で物事を見なければ!と思い込んで行動していました。
ですがあまりにも幼いので、うまく自分を表現できなくて失敗ばかりでした。

 

 

— その頃からプロ意識があったとは、すごいですね。アーティスト、画家、絵本作家などいろいろな道があるかと思うのですが、イラストレーションを意識したのはいつ頃ですか?

とにかく最短の道を進もうと思っていたので、地元長崎の美術科のある高校へ進んで、
その後は専門学校へ進み、絵の方へ進むという道は決まっていました。
2006年にフランスからの帰国後、描きたい絵を描いて発表する画家の仕事も、オーダーに対して答えるイラストも
両方やる人になろうと思い、イラストレーターになろうと決めました。
自分の出来るすべての中から、
イラストレーションのお仕事をさせていただいているという感じです。

 

 

 

— フランスでも活動をされていたそうですが、言葉は向こうへ行ってから勉強されたのですか?

最初の3ヵ月は猛勉強しました。サンドイッチを1個買えるようになろうとか、
バスに乗れるようになろう、とか
小さな目標を立てて勉強していました。

— 向こうでの生活は、どんなことが勉強になりましたか?

3年間滞在していたのですが、建物や風景や人が素敵だったり、暮らしの全部が勉強で刺激を受けました。
日本のことも外から見ることが出来ましたし、他の国の人のアイデンティティーにも触れました。
外国人として、異国で暮らすことがこんなに大変なのかとも思いました。
とくに始めの頃は、フランス語も話せなくてオドオドしていたら、
お店に入ってもまともに相手にされなかったり、道で知らない人に突然からかわれたりしました。
なので、フランス語を話せるようになったり、フレンチギャル達が着ていたような黒い服ばかり着てみたりして。
そして背筋をのばし、常に堂々とエレガントに振る舞う事を目指しました。
あなたと私は対等ですよ。というのを見た目で表すのです。そうするしかなかったですね。
もちろん慣れてからは、自分らしく楽しく過ごしました。
あの時の暮らしが、今の私の基礎になったなと思います。青春でした。

 

 

— いい経験をされましたね。帰国後は売り込みなど行かれたのですか?

最初の1~2年は、出版社やブックデザイナー、アートディレクターのところへ売り込みました。
あとは、たくさんファイルを送ったりもしました。
「イラストノート」に載せていただいてからは、お仕事が増えたように思います。

— 今後、やってみたいお仕事、活動したいことなどをお聞かせください。

アーティスト活動とイラストレーションの仕事を続けたいです。
もう1度フランスで個展もやりたいですし、テキスタイルや広告のお仕事ももっとやりたいです。