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10月2019

菅野博子個展「㊎メダル」

今週の作家さんは菅野博子さんです。HBでは約2年ぶり、13回目の個展開催となりました。
今回は、菅野さんの地元・いわきののどかな風景や、愛猫ミィ〜、ご家族やご友人など好きな人々を描かれました。菅野さんののびのびとした気持ちの良いタッチをお楽しみください!

 

「ハルコさん 89歳」

2年前に開催された個展後から、コツコツと絵を描きためていた菅野さん。身近な人物から著名人まで好きな人を思い思いに描かれました。来年の東京オリンピック開催にあやかり、タイトルは「金メダル」に。DMには菅野さんのお母さんが描かれています。オリンピックでは金メダルは1つだけれど、モデルになってくれた人、動物たち皆に金メダルをあげたいという気持ちで描いた、と菅野さん。

 

「ヤンくん ♂」

「庭の車の上のミィ〜」

ずっと見てきたお母さんと飼い猫のミィ〜。ふたりとも年をとってきたなぁと感じるそうです。でも今回はタイトルも絵も、明るい印象になって良かったとのこと。2年間、描きたいものをたっぷり描けたそうです。

 

 

見に来た方が知らない人ばかりだとつまらないと思い、著名人も描かれました。田辺聖子さん、佐藤愛子さん、忌野清志郎さん。田辺さんは菅野さんのお母さんと同い年。今年亡くなってしまったけれど、学生時代から田辺さんの本が好きでよく読んでいた、と菅野さん。佐藤愛子さんは90歳半ば。元気に頑張っているので描きたいと思ったそう。いわきにも講演に来てくれた、大好きな方。そして前々からファンだったという清志郎。会場では清志郎のBGMが流れることも。

 

「アトリエのミィ〜」

人物や動物は写真を撮って描いたとのこと。風景はいつもその場で描いているそうです。地べたに座り、大きな石の上に紙を斜めに置いて描いたり、小さな絵は膝の上にのせて描いたりするそうです。船の絵を描く時は海風が強く、普段立てているイーゼルを使うことができなかった、と菅野さん。

「7月の小名浜漁港No.1」

描くときに気をつけていることは、一番最初に描いたラフの線を生かすようにして描くことだそうです。描き込むとリアルになってしまうため、気に入った線を最後まで使いたいという気持ちなのだそう。
いつも作品と共に気持ちのよい風を運んでくれる菅野さん、次回はまた2年後に個展を開催予定です!お楽しみに!

谷山彩子個展「忘れないように – ABCからZまで – 」

今週の作家さんは谷山彩子さんです。HBでは7年ぶりの個展開催となりました。
美味しいお肉の部位のこと、お料理の調味料のことなど、様々な覚えておきたいことを自由に描かれました。谷山さんのアイデア光る作品たちをぜひご覧ください!

「FILLET(ヒレ)」

 

お話も絵も1冊まるごと手掛けられた絵本「文様えほん」(あすなろ書房)を制作されたことをきっかけに、調べて描くことが楽しくなった、と谷山さん。今回は普段の生活ですぐ忘れてしまうもの、覚えておきたいものがテーマ。普段から食べることも作ることも大好きだそうで、おせちの縁起物や和食器の名称、調味料のことなど、画材もタッチもさまざまに描かれました。きっかけは、居酒屋で何度聞いても覚えられないお肉の部位の名称だったとのこと。それらの「どうしても覚えられないこと」をA~Zの箱に入れるように、何を描こうか考えていったそうです。それぞれの作品にまつわるエピソードも見どころです!

 

「MONYOU(文様)」

普段のお仕事では実用系やビジネス系、法廷や弁護士のことなど、難しいことをわかりやすく絵にする場面が多い、と谷山さん。難しいことをひとつひとつ紐解いて行く感覚で、それも楽しいとのこと。今回描かれた「魚醤のできるまで」や「茶碗蒸しの作り方」なども、谷山さんが描くと、一目で楽しくわかりやすいものに。軽やかにイラストレーションの本質を見せてくださいました。これからも様々なシーンで谷山さんのイラストレーションとエッセンスは欠かせないものになるでしょう。

「CHAWAN-MUSHI(茶碗蒸し)」

  

「O-SE-CHI(おせち)」

コバヤシヨシノリ個展「アバヨーイ」

今週の作家さんはコバヤシヨシノリさんです。HBでや2回目の個展開催となりました。
今回は石垣島への旅行をきっかけに知ったという、南大東島に住む子供たちのことについて描かれました。三線の音色や、大自然と海風を感じられるような空間となっております。ぜひご覧くださいませ!

 

石垣島へ旅行をした際に、西表島や竹富島などの島巡りをされたコバヤシさん。小学校と中学校はあるけれど高校がないことに気付いたそうです。「みんな高校のある島へ行くよ」地元の方にそう教えられたとのこと。島からは通えずに、親元を離れて暮らす子供たち。コバヤシさんの娘さんが15歳で高校へ行く年だったそうで、そのことがひっかかっていたそうです。日本にどれくらいあるのだろう…気になり調べ始めたことが今回のテーマにつながりました。
個展準備はテーマを決めた2年前からはじめたというコバヤシさん、石垣島から帰ってすぐにこのことをテーマにしたいと思ったそうです。

 

 

今回描かれたのは南大東島について。沖縄から東に400km離れている島で、フェリーで1日かかるそうです。ほとんどが畑でサトウキビ畑しかないような大自然。進学で親元を離れなくてはならない子供たちは、1人暮らしを始める子、昼間アルバイトをして夜間学校へ行く子もいるそうです。コバヤシさんが興味を持ったのが「ボロジノ娘」という島の民謡グループについて。3月4日の「三線の日」にみんなの前で家族への想いを込めて唄を披露する風習があるとのこと。今回描かれたのは特定の人物ではなく、最後の唄をうたって旅立って行くという15の春をテーマにしたそうです。

 

 

個展のために制作されたZINE「アバヨーイ」には漫画も掲載。 ずっと頭の中で冊子の構成を考えていたそうですが、1年前に漫画を描こうと決めたそうです。絵で説明できない部分を誰でもわかりやすく伝えられたらと思い、漫画を描くことに。小学校6年生のときに描いた4コマ漫画以来だったそうで、ほぼ初めて描いたとのこと。ぼんやりとストーリーを考えながら進めていたという今回の作品たち。思考錯誤ではあったけどやっと固まって来た、とコバヤシさん。

今後の目標は、夏休みの課題図書の本に携わること。今後ますますのご活躍が楽しみです!

<臨時休廊のお知らせ>

<臨時休廊のお知らせ>

台風19号の接近に伴い、10月12日(土)は休廊とさせていただきます。
ご迷惑をおかけしますが、ご理解いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

山﨑正樹個展「街の思い出」

今週の作家さんは山﨑正樹さんです。HBでは初めての個展開催となりました。
公園に咲いている植物や好きな建物、懐かしい電車など、山﨑さんの好きな街とそこでの思い出を絵にされました。手描きの味わいが楽しい赤1色で塗られた様々なカタチをお楽しみください!

「山手線」

「こどもの城」

 

「庭園美術館」

散歩がお好きな山﨑さん、日々見てきた東京の変化や思い出をテーマに描かれました。電話ボックスや昔ながらのタクシー 、駅の懐かしいベンチなど近頃見かけることの少なくなったものや、山﨑さんの思い出のある場所をモチーフとしています。赤ペンでぐりぐりと塗っていき、白い線を浮かび上がらせるように描いているそうです。心地よいデフォルメが楽しい作品たち。

「東京タワー」

 

どの場所も実際に行き写真を撮って描いているそうです。そのままトレースするとつまらなくなってしまうそうで、一度スケッチしたものを下絵にして描いているとのこと。手描きの揺れのあるいびつな線や、色ムラのある素朴な雰囲気は原画ならではです。

「伊勢丹」

これからもずっと絵を描いていきたい、と山﨑さん。お仕事では雑誌や本の挿絵を描いてみたいそうです。今後のご活躍が楽しみです!

 

「三軒茶屋中央劇場」