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5月2013

国分チエミ個展「parallel world」

今週の作家さんは、HBでは5年ぶり4回目の個展となるイラストレーターの国分チエミさんです。
装画やカタログの表紙、カレンダーのお仕事など幅広くご活躍されています。
今回の個展のために描き下ろされた作品や、お仕事で描かれた作品、全32点が並びました。
色とりどりの幻想的な世界観、幾重にも重なる繊細で美しいマチエールには目を見張るものがあります!

− 5年ぶりの個展ですが、展示されてみていかがでしたか?

普段、家にこもって仕事をしているのでどうしてもひとりよがりになってしまうんです。
でも、個展をすることで自分の手から作品が離れ、他の角度から見られるのがいいですよね。
次のステップに進むために恥をかいたり、他の方の新鮮な意見を聞けるのは個展しかないと思っていて。
見に来てくださる、みなさんの表情も見れてうれしいです。

− 飾ってみると、また違った見え方になりますよね。
今回はどんなテーマで制作されたのですか?

HBさんでは4回目の個展なのですが、最初の2回の展示では女性らしい小物だったりモチーフが多く、
構図もセンターにぽんっと描くような作品が多かったんですね。その後の3回目は動物をテーマに。
そして4回目では風景を描きたいなと思ってました。
画面からはみだすような構図だったり、抽象的で全体的に余韻を残すようなものを描いてみよう!と。
ただ今回の作品で完成ではなく、もう少し広がりたいという光のようなものが見えた気がするので、
今後も心象風景を描き続けてみたいなと思います。

− 個展タイトル「parallel world」は、国分さんの作品にぴったりな言葉ですね。
心象風景を描くとき、まず色から思い浮かびますか?それとも形から描いていくのですか?

昔は「この色が描きたい!」というふうに色が浮かんできていたのですが、最近は色と形の半々ですね。
以前は「赤」が描きたいから「赤」といえば「りんご」…といった具合に消去法で形を選んで描いていました。

今回制作した、蝶々が連続したパターンのようなものを描いてみたことで
形にも奥深さを感じ始めてからはおもしろいなと思うようになりました。

− 蝶々の作品、すごく好きです。これまではパターン作品はあまり描かれていなかったのですか?

お仕事では描いたことがなかったですね。
でも以前から海外のテキスタイルを見るのが好きだったので、影響されているのかなとおもいます。

−  どの作品も原画の美しさに驚きました。1枚の絵の制作時間はどれくらいですか?

だいたい3~4日でしょうか。えんぴつでざっくりラフを描いて、
さらに原寸でその絵をトレースします。画材はアクリルガッシュを使って描いています。

− 制作のなかで、いちばん楽しいのはどんなところですか?

ラフや下書きはけっこう苦手で…色付けの段階に入るともう、るんるんですね!

− わぁ!楽しそうですね!作品からも色がお好きなんだろうなというのが伝わってきます。
お仕事ではラフはたくさん描きますか?

1つのお仕事でラフはだいたい2~3案くらいです。オリジナルの絵を描くときは1案で決まります。
やはりお仕事の場合は相手の気持ちを考えてというのがあるので。

− なるほど。相手への思いやりが、また次のお仕事へと繋がっているのでしょうね。
最後になりますが、今後イラストレーターとしての抱負をお聞かせ頂けますか?

作品集や大人の方が喜んでくれるような絵本を作ってみたいなと思います。
物語も自分で考えて…散文のようなものもいいですね!ずっと残るものを作っていきたいなとおもいます。

− 国分さんの書く物語、ぜひ読んでみたいです。ありがとうございました!

国分さんの頭の中を垣間見るような、不思議ででもどこか日常をも感じさせる世界観。
国分さんの日々の丁寧な暮らしや大切にしているものがひしと感じられる展示となりました。
印刷物になっても美しい国分さんの作品ですが、なかなか見ることのできない原画の美しさも体感していただきたいです。ぜひ見にいらして下さい!

福田利之個展「repeat」

今週の作家さんは、HBでは約6年ぶりの個展となるイラストレーターの福田利之さんです。
お仕事で描かれた作品や、オリジナル作品、個展のための書き下ろし作品など全36点が並びます。

ギャラリー入ってすぐの入り口から、小ぶりながら存在感のある
とってもかわいい作品達がお出迎え!

とても不思議なテクスチャーはティッシュを重ねたり、コーヒーを使ったりと
様々な工夫がされているそう!
原画でしか伝わらない質感があります。

見た事の無いフォルム、色遣い、可愛くて不思議な世界。
見応え十分の全36点で、とても素敵な展示となりました。

 

エディトリアル、装丁、広告、CDジャケット、絵本、テキスタイルなど
既に多方面でご活躍の福田利之さん。
展示も初日より大盛況で、たくさんのお客様がいらして下さっています。

また明日5月21日(火)の12時からは、フードムードのなかしましほさんによる
おやつの販売、徳島県からはアアルトコーヒーさんがいらして下さり
珈琲をいれてくださるそう!

おやつは売り切れ次第終了です。
福田さんの作品世界の中で味わう甘いお菓子とコーヒー、
夢ごごちな時間になる事間違いなしです。

是非いらして下さい!

 

ほぼ日さんによる、福田さんの搬入〜初日の模様をお伝えしているテキスト中継もぜひご覧下さいませ!

 

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なかむら葉子個展「夢みごこち」

今週の作家さんは、HBでは2年ぶり2回目の個展となるイラストレーターのなかむら葉子さんです。
現在、大分県在住のなかむらさん。今回の個展にあわせ遠路はるばるお越し頂きました。
夢の中にいるかのような、ユニークで不思議なモチーフが得意ななかむらさん。
独特な色遣いやテクスチャーが魅力の、デジタル画33作品とオリジナル雑貨が並ぶ盛りだくさんな展示となりました。

— 今回のテーマについてお聞かせ頂けますか?

夢の中に入ったようなふわふわとした、
見ていて楽しい気持ちになってもらいたいなと思い制作しました。

— 不思議な動物やモチーフがおもしろいですね。すぐ頭の中に浮かんでくるのでしょうか?

毎日、らくがきをしているので、いつもさらっと描いている感じです。
紙の余白をみつけると、くるくるとペンが動いて、すごく楽なきもちで描いてますね。
大好きなペンがあるのですが、そのペンを使うとすらすら描けるんです!

—  そのらくがきもぜひ見てみたいです!紙とペンは常に身近にあるというのがいいですね。

そうですね、常に何か描いてますね。
アイデアも頭で「何かないかな…」と考えるというよりは、手を動かしてアイデアを出していくという感覚です。

以前、親指を骨折して手を自由に動かせないときがあったのですが、全然アイデアが出てこなくて苦労しました。
そのときはじめて「自分は手で絵を描いてたんだ!」と気づきましたね。

— 手から頭に伝達されていたんですね。いつもたくさん描かれてる証拠ですね。
今回の展示の絵はどのように描かれてるんですか?

まず下書きをえんぴつで描いて、パソコンに取り込み着彩しています。
たくさん描いたらくがきの中からいくつか選んで、それをさらに大きく描きおこしてひとつの作品にしてます。
らくがきの段階で「いいのが描けた!」と思った時はそれだけ別にストックしておいたりして。
仕事の時も「自由に描いていいですよ」という依頼があったときには、そのストックから選んだりしますね。

— 作品は版画のようにも見えますね。テクスチャーがおもしろいです。

最初はいろんな方の手法を真似してみたり、本で勉強したりして
徐々に「自分はこういうのが好きかな」とやり方をみつけていきました。

— なかむらさんはイラストレーターでもあり、2児のお母さんでもいらっしゃるそうですが、両立はどのようにされていますか?

2人とも大きくなってきたので、ほったらかし…というか、本当に手はかからないですね。
子供の近くには居ますが、私は絵を描いて子供も好きなことさせてという感じで。
部屋でみんなテレビを見てるときに、その横で私は絵を描いたり、子供たちもお絵描きしたりという風に。

— 無理なく描かれてるのが絵からも伝わってきますね!たのしそうです。
では最後になりますが、今後やっていきたいお仕事や抱負などお聞かせ下さい。

本の装画ももっと描いていきたいですし、雑貨のお仕事もやりたいです。
ファブリックデザインや雑貨アートに興味があるので、気軽に飾ってもらえるような雑貨をいつか作りたいですね。
今は自分でプロデュースしている「hocora」という雑貨があるのですが、
それ独自のサイトも充実させて、もっとたくさんの方に知ってもらえたらなと思います。

なかむらさんは大分県にいながら、東京での展示や売り込みもたいへん熱心な作家さんです。
常に手を動かしながら、リラックスして作品づくりを楽しむなかむらさん。作品からもその楽しさが伝わってきました。昨年開催された「イラ通コンペ」では大賞を受賞され、今後もますますご活躍されることでしょう。

会場ではなかむらさんのオリジナル雑貨「hocora」の商品も販売中です。
カップや小皿、ブローチなど、どれも使いやすくかわいいものばかり!ぜひこの機会にお買い求めくださいませ!