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2月2014

アカサカヒロコ個展「私の中のさまざまな引き出し」

今週の作家さんはアカサカヒロコさんです。
現在大阪にお住まいのアカサカさん、今回の展示が東京での初個展となるそうです。
アカサカさんの描く赤いワンピースを着た女の子は、ふんわりと重なり合うトレーシングペーパーを使用し描いています。紙の透け感を活かした、浮遊感の漂う作品が気持ちよく並びました。
そのほかにも緻密な描写の銅版画や、親指サイズほどの豆本、のびのびとしたドローイング画の展示など、
表現方法の豊かなアカサカさんの世界観が楽しめます。
印刷では伝わりにくい、 原画ならではの繊細なマチエールも必見です。ぜひご覧ください!

 

 

– 今回が東京では初個展となるのですね、おめでとうございます。
原画を拝見するまで、このような方法で描かれているとは知りませんでした。
幻想的な女の子の絵が印象的ですが、どのようにイメージが浮かびますか?

最初に構図が思い浮かびますね。ブランコがこんなふうにあって…と、手帳に描いたスケッチと
完成した絵とほとんど変わらないので、自分の絵は最初に構図があるんだなぁと思っています。
以前、絵を見てくださったデザイナーの方が「あなたは空間を描いているのですね」と言ってださり、あぁそうか!と腑に落ちました。自分の中で浮かんだイメージに、奥行きを感じるということにしっくりきました。

 

 

– 広がりを感じる構図ですよね。
イメージが浮かんだときは、すぐにスケッチしたりして描ためておくのですか?

個展などの前は特に、早い段階でアイデアスケッチを描くようにしています。
アイデアだけ何年も温めておくということもありますね。

 

 

– まさにタイトルにもある”引き出し”の中から生まれるのですね。
今回は豆本の展示もあり楽しいですね。豆本を作るきっかけは何かありましたか?

以前、関西で個展をする際にギャラリーのオーナーさんに「豆本を出して!」とリクエストをいただいたのが最初ですね。そこのギャラリーさんは小さいスペースを活かして、豆本の展示などをやっているところでした。
元々自分も製本が好きだったこともありやってみようと。
豆本に描かれているお話は、銅版画で描いた1枚の絵から物語を広げています。
銅版画で描くときは絵のイメージが浮かんでいるだけで、元々お話はなかったのですが
お題があったら作れるものだなと。豆本と銅版画の展示も行いました。

 

 

 

– ドローイング画も雰囲気がありとてもいいですね。楽しんで描いている感じが伝わります。

ドローイングも楽しかったですね。
銅版画は完成形を見るまで長い時間がかかりますが、鉛筆はひいた線ができあがりの一部でわかりやすい。
ストレスが少ないと言うのでしょうか。どんな人でも使える画材というのもいいですね。

– どの画材で描いてもアカサカさんの世界観が崩れていないのがすばらしいですね。
トレーシングペーパーに描くのは何かきっかけがあったのですか?

以前、固いトレーシングペーパーに版画を刷ってみたことがあったんです。
油性インクを使用しているので、布や革製のものなどプレス機でへこませることができたら何でも刷れるんです。その刷ったトレーシングペーパーで70cmくらいのイスを作り展示をしたことがあったのですが、その余りを使って絵を描き始めたのが最初ですね。

トレーシングペーパーは優れもので、下書きを写すのが簡単ですし、鉛筆で人物の顔も描ける。
色は裏から塗れて、アクリル絵具を使っても色ムラが出ないんです。
けしごむで消しても綺麗で、これはいい!と思いました。
2枚重ねることで、絵にうっすらと影ができ浮いているような表現になるのもおもしろいなと。

 

 

– ふわっとした質感が、アカサカさんの作風に合っていますね!他の人にはない手法だと思います。
最後になりますが、これからどんなお仕事をしていきたいですか?

何でもやってみたいですね。私の作品を見て”この絵だから頼みたい”というようなお仕事をいただければなと思います。そうじゃないと意味がないと思っているので。

– 作風を活かせるお仕事が来るといいですよね。貴重なお話をありがとうございました。

仲條正義「LOST AND FOUND – 喪失と發見 -」好評発売中!

昨年6月に開催された仲條正義個展「LOST AND FOUND」の全20作品が収録された
絵本「LOST AND FOUND – 喪失と發見 -」が好評発売中です。

 

絵 : 仲條正義
文 : ジェイソン・エヴァンス
発行所 : 株式会社 ADP|Art Design Publishing

単行本 ソフトカバー 48P
価格 : 1,785円(税込)

 

 

写真家ジェイソン・エヴァンスさんが姪のために綴った20章の物語に、仲條さんが絵を添えました。
言語が違っても通じることのできる絵のすばらしさ、楽しさに満ちた一冊です。
巻末には、ジェイソンさんと仲條さんがお互いのことを綴ったエピソードも収録。
パスポートを模した箔押しの装幀もファンにはたまらないものとなるでしょう !

「LOST AND FOUND – 喪失と發見 -」はこちらからお求めいただけます→ amazon.co.jp

 

第2回 イラストレーション連続セミナーのお知らせ

3月15日(土) 13:00より、阿佐ヶ谷美術専門学校にて
第2回イラストレーション連続セミナーが開催されます。

「先生、イラストレーションとは何ですか?」
ゲストは唐仁原教久、インタビュアーは南伸坊さんです。

どなたでもご参加いただるセミナーです、みなさまお誘い合わせの上ぜひどうぞ!
お申し込みはこちらのページからお願いいたします→ http://www.visions.jp/illustration-semi/

※好評につき定員に達しました!お申し込みいただいた皆様、ありがとうございました。

 

 

友田シトウ個展「今週のハイライト」

今週の作家さんは友田シトウさんです。今回がご自身初めての個展となります。
輪郭を描かずにハイライトを活かした作品は、描き過ぎていないけど伝わる、
見る人とのコミュニケーションを楽しんでいるかのようなユニークな作風です。
少ない色数と筆数で表現ができるセンスと技巧をお持ちの友田さん。
作品はもちろんのこと、会場全体で友田さんの作風を楽しめる演出も!ぜひご覧ください!

 

 

– ご自身はじめての個展なんですね。おめでとうございます。

個展をやるならHBさんでと決めていました。

– ありがとうございます。うれしいです!展示計画も入念にされていたようですね。

ハイライトを活かす画風なので、それを活かすために
ギャラリーの壁や天井、台などは元々白かったので、
会場全体を白くしようというのは前から考えていました。
あとは床さえ白ければ!と思いこのような形で見せる事にしました。

 

 

– 本当に真っ白!いつもの会場じゃないみたいです。
作品はいろいろなものを描かれましたね。テーマは何かありますか?

テーマ性というよりは、ハイライトを活かすという画風だけで統一感が出るかなと思いました。
初めての個展ということもあり、モノ、風景、人物…色々と描いてみました。

– 何を描いても友田さんの絵とすぐにわかりますね。
イラストレーションはいつ頃から描きはじめたのですか?

子供のころから絵を描くのが好きでした。
美大などでは学んだ事がなく、経済大学を出て就職しDTP関係の仕事をしていましたが
やっぱり自分でも絵が描きたいなと。

 

 

– 現在のスタイルや技法になったのはいつ頃ですか?

長新太さん、湯村輝彦さん、安西水丸さん等好きな作家さんの
好きな雰囲気を融合させるような絵を描きたいという思いと、
「紙の白さよりきれいな白は無い」という話を聞いたことがあり、
輪郭無しに輪郭を表せたらなと。(図1)
どうすればそんなふうに見えるのか…と研究し、今の絵のスタイルになりました。

 

(図1) カニッツァの三角形

 

 

– 色がとても綺麗でおどろきました。大成功ですね。
最後に、ご自身で思う今回の展覧会のみどころをおしえてください。

やはり白さですかね。光の白さ、ハイライトの白さです。
初日は雪の白さになってしまい残念でしたけど…。
あとは、見に来て笑ってほしいですね。
ここまでするか?アホちゃう?と思ってもらえたら。

– たくさんの方に見て頂きたいですね。たのしい展覧会ありがとうございました!

 

森流一郎個展「小説挿絵の仕事より」

今週の作家さんは森流一郎さんです。HBでは初めての個展となります。
重松清、桜木紫乃、佐々木譲などこれまでに数々の人気作家と組み挿絵を描かれてきた森さん。
今回の展覧会では近年お仕事で描かれた作品を一堂に集めました。

現代小説から時代ものまで幅広く手掛けられている、
森さんのプロフェッショナルなお仕事の数々、ぜひご覧ください!

 

 

– 作品ファイルでも拝見しましたが、連載のお仕事が多いですね。
原画はどのように描いているのですか?

線画をパソコンに取り込んで描いています。
グレーの部分などは、フォトショップを使用して描いています。

– 手塗りのような質感がいいですね。
森さんはこどもの頃から本を読むのがお好きだったそうですが、どんなジャンルの本を読んでいましたか?

小学生の頃は、江戸川乱歩やホームズ、ルパンなど推理小説が大好きでした。
その後SFにはまっていったのですが、中学生の時にすべて読み尽くしてしまって
他の小説も読むようになりました。世界の名作、娯楽など片っ端から読んでいましたね。

 

 

– 大人になって、ご自身が小説の挿絵を描くということは想像していましたか?

全く想像していなかったですね。
子供の頃から、絵を褒められることは多かったのですが、
自分自身は絵に興味がありませんでした。
小説家になりたかったので、ずっと文章を書いていました。
ふつうの大学を出て就職し、働きながら小説を書きプロを目指そうと思っていたんです。
しかし何度投稿しても入選することはなく…たぶん向いていなかったんですね。
小説家はあきらめました。好きなものと向いているものが違っていたんだと。

その後会社を辞め、24歳でデザイン専門学校へ入学しました。
そこで描かされた絵をとても褒められたんです。コンペも次々と入選して。
ぼくの人生はこっち側だったのかと。急に人生がうまくいきはじめました。
人生には流れというものがあって、それに逆らうとうまくいかなくなるのでは?と思うようになりました。

 

 

– 流れにのったことで成功につながったのですね!
小説の挿絵を描くことがお仕事になったとき、どんなお気持ちでしたか?

実はイラストレーター駆け出しの頃は、広告業界中心に売り込みに行き、
文芸誌へは一度も行っていなかったんです。
広告の仕事は頂けず、イラストレーターとして行き詰まっていた時、
ある編集者の方がどこかで僕の絵を見てくれてお仕事をくださり、そこから小説の挿絵を描くようになりました。
それが好評で、どんどん仕事が増えました。
自分は広告をやりたかったのに、向いているのは挿絵を描くことだったんです。
自分がやりたいことにこだわるとうまくいかず、まわりにすすめられたことをやってみるとうまくいく。
そういうふうに天が導いているのでは…と思いますね。
小説家にはなれなかったけど、結局は ” 小説 ” という好きなところに帰ってきたんだなと。

 

 

– 最終的に好きなものに関われているというのがおもしろいですね。
イラストレーターとしてお仕事を始めてからどれくらい経つのですか?

お仕事を頂くようになって、本格的にやらせていただいてからは
20年以上になると思います。

– 長く続ける秘訣はありますか?

自分の好きな方向にこだわらずに、まわりが求めている方へ向かうことでしょうか。
時代ものの絵も、考証がむずかしいので自分では描かないと思っていたんです。知識もないですし。
でも実際に調べながら描いてみると好評で、時代ものの依頼ばかり頂くといったこともありました。
こだわらずにやってみたら向いていたということですね。

 

 

– DMの絵を見たときに、普段の森さんの作風とはまた違って、新しい感じだなと思いました。

この作品は中世ヨーロッパのお話ですが、こういったお仕事も増えてきましたね。
今風にアレンジもしています。これもまた好評で、こういうものも描けるんだと思いました。
こだわりすぎないということですね。
もちろん、こだわりをずっと持ってきたから成功したという方もいますが、
僕の場合はこだわりすぎないということが合っていたんだなと思います。

– 絵を見た方々が、森さんの新たな方向をどんどん広げてくれそうですね。
最後に、今後のイラストレーターとしての抱負をお聞かせ頂けますか?

時代時代で求められるものを描いて、たくさんの人に楽しんでもらえればいいなと。
そうすることで、さらに遠くへいけるのではと思っています。

– 貴重なお話をありがとうございました!今後益々のご活躍を楽しみにしております。

 

norahi個展「SAD DIARY ツー」

今週の作家さんはnorahiさんです。ご自身初めての個展となります。
毎日、欠かさず日記をつけているというnorahi さん。
今回はその日記の中から、特別思い出深い出来事を絵に描きおこしました。
どれも、現実に起きたとは思えないくらい不思議でユニークなできごとばかり!
norahiさんの独特な文章と、自由な手法で描かれた色とりどりの作品、あわせてお楽しみください!

 

 

– 初個展おめでとうございます。飾ってみていかがですか?

とても緊張しました。一度自分の作品を集合させてみたかったので
まっさらなお部屋に飾れて見れてよかったです。
普段から色々な描き方をするので、この描き方でいいのか迷っていたのですが、
展示をしてみて、やっぱりこのままでいこうかなと思いました。

 

 

– 今回のテーマについてお聞かせください。

わたしが12歳の頃、手帳をもらったことで ” 一言欄 ” に日記をつけるのが習慣になりました。
見返してみると、不思議な出来事や変なことが多かったんです。
一昨年に作った「SAD DIARY」 という小冊子を作ってみておもしろかったので、
今回、作品をもっと増やして展示したいなと思いました。

– 画材はどんなものを使用していますか?

クレヨン、絵の具、ポスター、マーカー、切り貼り、色鉛筆などいろいろなもので描いています。

– いちばん楽しかった画材は何でしたか?

クレヨンののびる感じが楽しかったし、きもちよかったので、ずっと使いたいなと思いました。

 

 

 

– 日記は今もずっと続けているのですか?

今も毎日書いています。夜、寝る前にふとんの上で。
いろいろな出来事があった日には、手帳の一言欄では足りなくて、
ノートを丸々1ページ使って書くこともあります。
時々、自分のできごとではないことも混ざっています。友達に起きたおもしろいことなど。
でもすべてほんとうにあったできごとです。
机の引き出しに、12歳の頃からの日記が14〜15冊くらいぱんぱんにつまっていて、
恥ずかしいものとかもいっぱい出てきました。

 

 

– 継続されていてすごいです!英語表記の日記もありますね。

以前、「ZINE’S MATE」で小冊子を出品することになったとき、
国際的なお客様も多かったので、せっかくなら外国の方にも読んでもらいたいと思い
海外に住む友人に翻訳してもらいました。

 

 

– 日記の文章がポエムのようで、とても素敵でした。
最後になりますが、今後やってみたいことや、活動目標をお聞かせください。
展示をこれからたくさんやっていきたいです。
制作する理由としても、コンスタントにやっていきたいなと。
作品がたまったら、また小冊子にしたいです。
絵のほかには、ぬいぐるみも作りたいです。

あと、アトリエが欲しいです。自分の部屋で描くと、いちいち片付けなければならないので
絵を描くやる気が失われてしまうんです。なので、画材をぶちまけられる部屋が欲しいです。
絵はずっと続けたいなと思いました。

– アトリエができたら、おもいきり描けますね。また作品拝見出来るのを楽しみにしています!