HB Gallery

Blog

6月2022

亀井武彦創描展「うまれきて」

今週の作家さんは亀井武彦さんです。HBでは約9年ぶりの個展開催となりました。日本画の顔料で描かれた、ゆらめくような美しい偶然の滲みと、必然として描かれれたシルエット。亀井さんの新しい試みと表現をお楽しみください!

 

 

作品はすべて販売しております。ギャラリーへお問い合わせくださいませ。tel.03-5474-2325
原画の美しさをぜひ間近でご覧くださいませ!亀井武彦創描展「うまれきて」は6/29(水)までです。(最終日のみ17時まで)

Marron個展「Under the sea – 浮遊する刺繍 -」

今週の作家さんはMarronさんです。HBでは初めての個展開催となりました。刺繍でイラストレーションを描かれるMarronさん。ギャラリーに揺蕩う魚たち、繊細な手仕事が光る、涼しげな作品をお楽しみ下さい!

 

Q1.今回のテーマや、個展でやってみたかったことなどお聞かせください。

◆テーマ
実在の海の生き物。
想像上の海の世界や生き物を描くのが好きなのですが、あえて実際にいる生き物を自分の中にストックしたかったのでした。

◆やってみたかったこと
刺繍でジオラマを作ること。
刺繍で奥行きやデザインとしての立体感を出すのは難しいのですが、薄い布に刺繍して二層に重ねることにより物理的に解決しました。
展示のタイトル通り「浮遊」してみえる、Marronならではの表現ができたと満足しています。

 

 

Q2.刺繍でイラストレーションを描こうと思ったきっかけはありますか?

中学生から刺繍を習っていました。ただ、課題の図案通りに刺すのが苦痛で、自分で描いた絵を持って行き、どう刺繍で表現したらよいかを先生に相談していました。ちょうど好き勝手に水彩などで絵を描くことが楽しくなくなった時期と重なり、そこから刺繍で絵を描くことが楽しくなり、今に至ります。(刺繍教室に数年通って完成した課題は3つだけ)

「刺繍で絵を描く」という気持ちなので、刺繍作家ではなく、刺繍イラストレーター・刺繍画家などと名乗っています。

Q3.作品作りで心がけていることはどんなことですか?

刺繍は情報が多く全体よりも細部ばかりが目にいきやすいです。もちろんそれは良い点、楽しい点でもあるのですが、私の場合は「絵として一瞬で情報が入ってくるか」ようは「見やすい絵か」を心がけています。難しいです。

 

 

 

Q4.近年はどのようなお仕事(イラストレーションの)をされましたか?

単行本の装画『ごほうび参拝』で「火の鳥や狸の神様」を、保育雑誌『キンダーブック2』で「うさぎの子どもたち」を描きました。

 

 

Q5.今後やっていきたいこと、お知らせなどありましたらぜひ。

イラストのお仕事はとにかくなんでもやりたいです。が、

①ファンタジーな作風で、幻想・怪奇小説の装画。
私にとって「心の栄養」である不思議なお話の装画を描ければこの上ない幸せです。

②パッケージ
うさぎや花などの可愛い雰囲気の作風で、刺繍イラストのパッケージ。
可愛いと思います!さらに、半立体の刺繍を平面におとしこむ(印刷する)ことによる違和感が、消費者の目を引くのではないかと思います。

③海の生き物のイラスト
海の生き物が好きなので、今回の展示のような内容で。いつか動かしても見たいです。

④刺繍イラスト拡大したいです。
今回、個展用のポスターを作るにあたって、A5の作品をB2に拡大してみたのですが、かなり綺麗に印刷でき驚きました。
刺繍は小さい媒体だけのものだと思い込んでいたので、実物より大きく見せる刺繍イラストも作りたいです。

(以上は、今思いつく中で特にやってみたいお仕事です!それ以外ももちろん、どうぞよろしくお願いいたします。)

 

 

kobatatsu個展「After Hours 」

今週の作家さんはkobatatsuさんです。HBでの個展は約6年ぶりの開催となりました。深夜に庭で踊る男女、ドクロと談笑する男、カラフルなスーパーで延々と買い物をする女と犬….不思議なシチュエーションがユニークな新境地の作品たちに加え、モノクロの線画も展示します!ぜひお立ち寄り下さいませ!

 

 

今回の個展タイトル「After Hours」は、アンディ・ウォーホルのバナナのジャケットで有名な、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの3rdアルバム『The Velvet Underground 』の中の曲のタイトルから。可愛らしい曲だけど少し不気味な雰囲気があり、その曲のようにちょっとした毒のある世界を描きたかったとのこと。前回のHBの個展から6年経ち、作風にも変化があったkobatatsuさん。これまで描いてきたモノトーンの作品では、装画賞をとることができ仕事にも繋がった。けれど、どこかこれじゃないんだよな…という気持ちもあったといいます。このまま続けていくのもどうかなと思い、一旦ゼロにして、描きたいもの、好きなものを模索。子供の頃に好きだった海外のイラストレーションや絵本、そういうものが根底にあることに気づいたそうです。

 

 

しばらくは全くいい絵が描けず、個展もキャンセルしようと思っていたとのこと。そんな中、DMのビジュアルとなったダンスをする男女の絵が完成し、自分でも気に入るものができたなと感じたそう。描いているうちに自分の中の気持ちのよいところが見つかった感覚で、ようやくスタートラインに立った気持ち、とkobatatsuさん。ジャングルやカーペットの柄を描く楽しさの発見もあったそうです。

 

 

2020年のコロナ禍から描き始めたイラストエッセイ「Daily Drawing Man」は、普段やられている内装のお仕事で全国をまわった時の様子を描かれています。みんなが外に出れない状況で、面白い光景も見れたとのこと。パースをとってしっかりと描きつつ、でもまっすぐな線ではない、自分の線画みたいなものが見つかったと思う、とkobatatsuさん。1冊の本にまとまり、会場でも好評販売中です!

 

 

 

これからの目標は、大きな広告ポスター、雑誌や語学テキストの表紙など、シリーズもののお仕事を手掛けてみたいそうです。日本に限定せず、国の枠を越えてニュートラルな表現のイラストレーションを描いていきたいとのこと。今後の作品も楽しみです!

西山竜平個展「Dawn」

今週の作家さんは西山竜平さんです。HBでは1年ぶりの個展開催となりました。今回も個展のために新作を描かれた西山さん。夜の眠りの中を彷徨うように一艘のボートが進んでいきます。西山さんの描く夢と現実の狭間を漂うような美しい作品と物語をお楽しみください!

 

 

過去2回の個展では実験的な描き方に挑戦された西山さん、今回はまた自分のやりたい表現に戻りどんな作品がうまれるかを試みたとのこと。これまでは実際に見た景色の感動を再現するように描いていたそうですが、今回はそこからさらに想像を膨らませて、自分なりの世界を構築するような絵作りを心掛けたそうです。画材はリキテックスのインクを使用。美しいグラデーションは薄く何層も重ねて時間をかけて描かれるそうです。

 

 

 

絵に添えられた文章は西山さんによるオリジナルの物語。学生時代から絵と言葉を作用させて制作することがお好きだったとのこと。普段のお仕事でも挿絵や装画を描くことから、言葉と共にある絵を作ってきたと思うと西山さん。

 

 

何を描きたいのかを少しずつ自覚できるようになったのは、実験的な展示をやったことで辿り着いたなと感じるそうです。描きたいように描けるようになってきたことで、もっとこうしたい、伝えたいという絵作りに余裕が出てきたとのこと。仕事の案件に合わせて絵を変えてきたけれど、自分はこう描く!というスタンスをもっと伝えていきたい、と西山さん。それが個性に繋がっていくのではと感じるそうです。

 

 

イラストレーションのお仕事はもちろんのこと、今後は絵本制作にも取り組んでいきたいとのこと。次回の個展は原点に帰り、モノトーンで制作したいと西山さん。フォルムを大事に、写実から離れた崩した表現も突き詰めていきたいそうです。次回作も楽しみです!