タカヤママキコ個展 「奇譚」
今回ご紹介するのは、2024年4/5~10に個展を開催されたタカヤママキコさんへのインタビューです。
ポップとミステリアスが共存する世界は水彩と切り貼りを併用された独自の表現で描かれています。
タカヤマさんがこれまで手がけられた数々のお仕事作品も展示され、大変見応えのある展覧会となりました。
会場の様子をインタビューとともにお楽しみください!
展示作品はオンラインショップでお取り扱い中です。
http://hbgallery.shop-pro.jp/
ー昨年は東京と京都での個展や、複数のグループ展での発表、そして数々のクライアントワークと、
非常にお忙しい毎日を過ごされていたと拝察いたします。
HBでの個展が決まってからは、どのような展覧会にしようと準備を進めて来られたのでしょうか。
今回の個展に対するタカヤマさんの想いを是非お聞かせください!
昨年の個展では、コロナ禍中に描き溜めた自主制作のイラストを中心に展示したため、テーマを決めて描くということをしなかったのですが、今回の個展では何かしらテーマを決めて描こうと思っていました。ここ最近、イラストを見ていただいたデザイナーさんやエージェンシーの方から「タカヤマさんが描く不気味で怖いイラストをもっと見たい」と言っていただくことが多かったので、今回は不思議な物語を意味する『奇譚』をテーマに、ちょっと不気味で怖い雰囲気のイラストを中心に展示しようと準備を進めてきました。また、イラストからストーリーを自由に想像していただきたかったので、タイトルを表記したキャプションはあえて掲示しませんでした。
ータカヤマさんは水彩絵具で描かれてから、切り貼りの工程を経て仕上げるとお聞きしています。
実際に原画を拝見すると、カットされた紙の重なりや輪郭の表情、髪の毛や顔の陰影表現など、
丁寧な手作業に目を奪われ、アナログの魅力を改めて実感します。
タカヤマさんが現在のような制作スタイルになった経緯などをお伺いできますか?
10年くらい前から線画にPhotoshopで透明水彩の着彩をしたイラストで、挿絵やパターンデザインなどの仕事をしていたのですが、ずっと憧れていた装画の仕事をしたいと思ったときに、装画としてはイラストの印象が少し弱いのではないかと思いました。そこで、ほかの画材や手法を色々と試してみたのですが、以前のスタイルよりは強い印象を与えることができ、楽しく描き続けられそうだと感じた現在のスタイルに落ち着きました。
切り貼りのスタイルを始めた頃に、ギャラリーハウスMAYAのブラッシュアップ講座で講師をされていたアルビレオさんと大島依提亜さんからイラストを評価していただけたことも、今のスタイルを続けていくうえで大きく影響していると思います。
ーHB個展のDMはタカヤマさんの切り絵の表現が再現されているかのようなエンボス加工が施されており、
世界観が滲み出るタイポグラフィも見事です。
昨年のtwililightでの個展でも円型の変形DMに手書き文字と、手元に保管したくなる素敵なDMだと感じます。
双方のデザインを担当された千崎杏菜さん(https://twitter.com/senzaki_d)へは、
タカヤマさんからデザインの希望などはお伝えされるのでしょうか。
ご自身でも寒中見舞いなどで印刷にこだわられていると存じますが、
タカヤマさんがDM制作に力を注がれている理由や、
千崎さんにデザインを依頼されている理由などもお伺いできますか。
ー会場では、タカヤマさんが装画を担当されたソン・ボミさん著/橋本智保さん訳『小さな町』が掲載されている、
書肆侃侃房さんの海外文学カタログが配布されています。韓国文学の装画担当はタカヤマさんの念願だったそうですね!
タカヤマさんが思う韓国文学の魅力はどんなところでしょうか?
ータカヤマさんはX(旧Twitter)で、ご自身のやりたい仕事を公言され、見事実現されています。
まさに有言実行、イラストレーターとして明確なビジョンを持って活動されているとお見受けします。
是非こちらのインタビューでも、タカヤマさんがこれから挑戦されたいお仕事や、活動の展望などをお聞かせください!
大変ありがたいことに、やりたいと公言してきた仕事を一つ一つ実現することができました。たくさんのイラストレーターの中から私を見つけて、ご依頼くださる方々のおかげに他ならないと思っています。また、やりたいと公言した仕事を1度実現して終わるのではなく、繰り返しできたらいいなと思います。装画の仕事はもっとたくさんしたいですし、お菓子などパッケージの仕事もたくさんしたいです。
これから挑戦したい仕事は、商業施設のビジュアルや映画のオルタナティブポスターなど広告系の仕事ですが、基本的にはどんな仕事にも挑戦していきたいと思っています。
今後の展望としては、昨年から陶芸を始めて面白さに目覚めたので、いつか陶芸作品での展示を開催してみたいです。
インタビュアー 須貝美和
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