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並木千香個展 「どこかで出会う」

今回ご紹介するのは、2024年3/29~4/3に個展を開催された並木千香さんへのインタビューです。

並木さんはHBWORKvol.3で見事アルビレオ賞を受賞され、受賞者によるグループ展に続き、
今年は個展での作品発表となりました。
日常生活の中で見落としてしまうような一瞬の風景が、
並木さんの筆遣いや色彩によって、情景として蘇り、穏やかに心地よく表現されました。
会場の様子をインタビューとともにお楽しみください!

展示作品はオンラインショップでお取り扱い中です。
http://hbgallery.shop-pro.jp/

ー並木さんはHBWORKでアルビレオ賞を受賞され、昨年の受賞グループ展に続き、今回は初個展です。
グループ展と異なり、個展は全て一人で展示の準備を進められたと思いますが、
その中で大変だったことや悩まれたこと、
逆に楽しかったこと、やってみて良かったことなどをお聞かせください!


作品のサイズをどうするか悩みました。いつもは2号くらいのサイズに描いているのですが、ひとつの空間を通して見るときの体験を想像すると、大きめの作品もあるとよいと思いました。ただいきなり大きな作品を描く勇気はなく、段階的にいくつかサイズを用意して、感覚をつかみながらサイズを上げ、作品点数を増やしていきました。結果的に今回一番大きな作品は8号でしたが、ギャラリーで展示してみるとあまり大きくはなかったです。また、作品のサイズはある程度揃えたほうがよいなと、これも展示してみて思いました。

よかったのは写真を一緒に展示できたことです。受賞後にアルビレオのお二人から「写真も展示してみては」と助言をいただいて、うれしかったのですが、これは出せるものなのかという迷いがあり受賞展では出せませんでした。それから写真を撮っていくうちに、これはこれで見てもらいたいという気持ちが湧いてきて、そのときの助言を励みに2年越しの実現となりました。

ー展示されている絵は油絵具で描かれていますが油絵具を使われるようになった理由や
油絵具の魅力を教えてください!
また、油彩画でありながらグレイッシュで穏やかな印象を受けますが、白い絵の具を多く使われているのでしょうか?
木製パネルに描かれているのには何か理由があるのでしょうか?

絵を描きはじめたとき、鉛筆、パステル、水彩、切り絵、と思いつくまま画材を試してみて一度アクリル絵の具に落ち着いたのですが、どうも乾きが早いことに焦ってしまい、油絵具を試してみることにしました。ウエマツ画材店で店員さんに相談し、合わなくても潔くやめられるよう、本当に最小限の道具を教えていただき揃えて、描きはじめました。
油絵具のいいところは、乾きがゆっくりなので長い間全体のコントロールが効くところ、乾く過程で色が変わらないところです。安心して描けます。
絵の具は白と、グレー、青も好んでよく使っています。空気をふくめるようなイメージでいろんな色に混ぜています。
木製パネルは初の試みでした。いつもは油彩用の紙に描いているのですが、額装を用意するのがおっくうだったので、これを機にパネルに描いてみようと思いました。キャンバスに描く選択肢もあったのですが、枠のサイドがすっきりして見えるパネルの方を今回は選びました。

ー会場には並木さんが撮影された写真も展示されています。
並木さんはイラストレーションとは別に
写真のアカウントもお持ちですね。
https://www.instagram.com/chika_namiki_/

見落としてしまいがちな日常の一瞬の光景が写真に収められており
写真作品も魅力的です…!
写真を撮られるようになったきっかけなどはありますか?
また、並木さんが写真から絵に描きおこす際、何か意識されることはありますか?

 

はじめは絵を描くための素材としてスマホで写真を撮るようになったのですが、だんだん写真を撮ることそのものがたのしくなり、最近は絵のために撮ることはほとんどなくなりました。絵を描くときは、日頃から撮りためている写真のなかからそのとき描きたいものを選んで、トレースして描いています。
展示用の絵を描きながら意識しはじめたことなのですが、筆をどの方向に滑らせるかということが空気感をつくるうえで結構重要だということに気がつきました。過去の絵を振り返るとなんとなく無意識にはやっているのですが、今後は意識的にやっていくと思います。

ー並木さんは徳間書店発行の総合文芸誌「読楽」で1年間表紙絵を担当されました。
表紙絵を描くにあたって、並木さんが普段描かれる絵と何か意識は変わりましたか?


描きたいように描いて大丈夫ですと言って頂き、ほんとうに自由に描かせていただきました。
表紙の色味は各号で変化があったほうがよいとのことだったのでその点は意識し、
1年間分を並べた時になるべくかぶらないような配色を心がけました。
モチーフの色味の選定の他に、外のシーンだったら、昼、夕方、夜、と違う時間帯を選ぶことで色の違いが出るようにしています。
また、同じ理由で彩度も上げたほうが変化がつけられると思ったので、普段の絵よりも鮮やかに色味を感じられるように調節しています。ちなみに人物は自撮りしています。服の色や画面に対する肌の割合などを考え、三脚とリモコンシャッターを使ってもとになる写真を撮っています。

ー並木さんが今後挑戦されたいお仕事や活動、
ペインター、イラストレーターとしての展望などをお聞かせください。

 

フェミニズムに関心があるので機会があれば何かしらのお仕事で携わってみたいと思っています。
でもあまりテイストが合わないんじゃないかとも思っています。
おそらくこれからも生活の中で写真を撮ったり絵を描いたりして過ごしていくだろうと今は思っていますが、いちばんはその時々にやりたいことをやれるといいなと思っています。同じことを続けたり、休んだり、新しいことを試したりしながら、変化する気持ちに合わせて過ごしていけたらと思っています。

インタビュアー 須貝美和

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