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新目惠個展「通過点」

今週の作家さんはHBでは2回目の個展となる新目惠さんです。
普段は小学2年生のお子さんのママとして子育てもしつつ、
絵を描く時間もなんとか確保するという生活リズムにあるそうです。

今回はオリジナル作品のほかに、これまで手がけられた装画やパンフレットの表紙絵の原画も展示されました。
水彩絵の具で描かれた、新目さんらしい透明感にあふれたシーンが並びます。

― まずは展示のテーマについてお聞かせください。

今回は『思春期』をテーマに、14~15歳の人物を中心に描いています。
その頃の年齢というのは進路を考えたり、親とのコミュニケーションが難しくなってきたり、
恋愛や同級生との関係などに思い悩む人生の中でも多感な時期だと思うんです。
私自身、絵を描くのが楽しいとか、具体的な進路を、
ぼんやりですが、思い始めたのが14~15歳の時で、自分の原点とも言える時期だったんだなと。
そういった複雑な表情をおもしろく表現できるのでは思い、今回の展示テーマにしました。
お仕事でも10代の人を描く機会も得られ、今回のオリジナルの作品との統一感も出たかなと思います。



― 新目さんの絵は海外の風景や人物を描いたものが多いですね。
このような雰囲気の絵になるきっかけはありましたか?

これまで日本の風景や人物は描いていたのですが、
今回の展示の際、お仕事で担当させて頂いた装画は、海外の文学を選びましたので
その雰囲気に合わせました。統一感は意識しています。

― なるほど。オリジナルの作品はどんなものを資料にして描いているのですか?

やや古い映画のワンシーンだったり、自分で撮った写真をコラージュして描いています。
ただ、そのまま描くのではなく、人であれば髪の色を変えてみたり、
背景を変えたり植物を増やしたり…など、自分で新たなシーンを作っていきます。

― リアリティも感じられ、且つ新目さんらしい独特の空気感になるのはそのような手法からなのですね。
これまでデザイナーとしてもお仕事をされていたそうですが、
絵を描く上でデザインも学んでいて良かったと思うところはありますか?

印刷の行程や、パソコン操作を勉強できたこと、
仕事の流れなどを想像できるようになったことでしょうか。
自分の絵を俯瞰して見れるようになったのは、デザイナー時代の経験が少し役立っていると思います。

― 影響を受けた人、モノなどありましたら教えてください。

そうですね…イラストレ-ションはもちろん、現代美術、古代や近代の絵画まで、
どれをとっても素敵だなと感じますし、だんだん年をとるにつれ、これ!という幅がなくなってきました。
ただ、写真になりますが、何かのおり、Slim Aaronsさんという方の写真集をよく開きます。
リッチな世界観に憧れ、雰囲気を参考にしています。

― では最後に、今後やってみたいお仕事はありますか?
絵本に携わってみたいです。それと、文房具などのお仕事にも興味があります。
D-BROSさんが好きであこがれです。

― とても雰囲気が合うと思います。コラボレーション、ぜひ見てみたいですね。
新目さんの益々のご活躍を楽しみにしております!

新目さんの描く少し憂いを帯びた表情の少年少女たち。
その瞳にはどんな大人の世界が映っているのだろう…
新目さんはそんな10代の繊細な心のひだを描ける数少ない作家さんだと思います。
ご自身の作品に対しては「まだまだです」と一言。
どこまでも真摯に挑戦し続ける、プロフェッショナルなお姿に感銘を受けた一週間でした。

 

インタビュー / HBstaff 桑原紗織

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