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陣内昭子作品展『樹』- The Tree with Me -

今週の作家さんは陣内昭子さんです。HBでは2回目の個展となりました。
陣内さんにとっても初の試みとなる大作の掛け軸など、見応え抜群の展示です!

一部展示作品はオンラインショップでもご覧いただけます。
http://hbgallery.shop-pro.jp/

 

Q1.
昨年3月のHB個展では作家としてのキャリアをスタートするアクションと位置付けられました。
2回目の個展はどのような思いで準備に取り組まれましたか。
また、今回の個展タイトル『樹』- The Tree with Me -についても教えてください。

 

A1.
何事にも言えるのですが、始めることより続けることの方が大変だと思っています。
2回目は、今後の自分の制作スタイルを見ていただく個展と位置付けて制作しました。
まずは、テーマ設定から。最初の個展の中心だった絵本の準主役、木馬の母親の「くすのきのきりかぶ」
に想いを馳せて、個展タイトルを決めました。

 

Q2.
会場へ入ると迫力ある大きな樹の作品が目を引きます。
こちらは実在する樹木なのでしょうか。

 

A2.
これは最初に描いた絵で、『My Mentor』と名付けました。
F80のキャンバスにアクリルで描いています。
近所の公園にある実在の欅(けやき)で、毎日に前を通るたびに挨拶をしています。
樹肌が自然と剥がれて、雨に濡れると色鮮やかなオレンジが現れ
美しい模様が魅力。
どんな時にもそこにいて、動じずに私を受け止めてくれる存在です。
そこにいてくれるだけで感謝したいキモチを象徴する作品にしました。

 

 

Q3.
絵本「ふうちゃんとミーのぼうけんのうた」で用いられたステンシルによる表現は
陣内さんの作品の魅力の1つですね。
今回の展示作品ではステンシルに加え、紙版画も用いられています。
そのような表現方法に至った理由を教えてください。

 

A3.
ステンシルで描く時の線は、面の境界線になります。色面で構成する画面がしっくりとくる気がして自分の好きな技法になりました。
ただ、今回は見上げるような樹を描くために長い画面にする必要があり、最初は、ステンシルで樹のラインを描こうしましたが、
型の制約(ドーナツ状にはできないなど)を守ると、思い描いていたイメージと離れてしまいました。
そこで何か方法はないかなと考えているうちに臨床美術の仕事で、高齢者の方と一緒にやっている紙版画を思い出しました。
紙を自由な形に切れ、線が伸びやかになること、紙の質感の差が和紙の上にテクスチャーとして現れて、
樹肌のテクスチャーと重なることから「これはイケる!」と取り組みました。掛け軸の長さや仕立て方法など、
課題はありましたが、手応えを感じています。

 

 

Q4.
アートディレクター、臨床美術士、絵本作家としてキャリアを積まれてきた陣内さんが、
今後目指していかれるビジョンや姿はどのようなものでしょうか。

 

A4.
職業上の肩書はあまり気にしていません。
ただ、作家としてスタートしたという覚悟はしっかり維持していこうと思います。
作品を作って発表する行為は、これまでの自分の経験を総動員し、
さらけ出す行為で、ある意味恥ずかしく勇気がいることです。
でも、それだけに自分がやってきたこと全てが必要だったと自己肯定にも繋がるとも感じています。
昨日の来訪者のおひとりから「一度釜の火を落とすと良い火加減になるまで時間がかかる」と名言を頂きました。
苦しくても1年に1回は個展をやり続けてみようと思っています。
しばらくは、『樹』のテーマは続けていくつもりです。

 

インタビュアー 須貝美和

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