小牧真子個展「hana no yume」
今回ご紹介するのは、2024年1/19~24に個展を開催された小牧真子さんのインタビューです。
展示作品はオンラインショップでお取り扱い中です。
http://hbgallery.shop-pro.jp/
ー小牧さんご自身は個展の開催が実に6年ぶりだそうですね。
HBでは初個展です。 久しぶりに個展を開催する決意をされた理由や、
今回の個展に寄せる想い、目標などをお聞かせください!
ちょうど1年前、HBギャラリーでの田中きえさんの個展に訪れていた時、お会いできたきえさんと堀川直子さんが「今やらないと明日どうなってるかわからないよ」と言って、背中を押してくださったんです。習作づくりに没頭していた私にとって、お二人の言葉は新鮮で、それが個展をするきっかけになりました。
イラストレーター 唐仁原教久さんとHBギャラリーは、私にとってイラストレーション界の灯台のような存在で、こちらで個展を開催することは夢のまた夢だったので、きっかけを作ってくださったお二人には、本当に感謝しています。
ずっと憧れていたHBギャラリーでの個展を、活動のマイルストーンにしようと決めました。そうすると次は、今後の活動プランをHBギャラリーからリスタートできるということになるんじゃないかと思うようになり、それはこの上なくHappyなこと。
これからの目標は、たくさんの方がHappyになっていくビジネスやお仕事をイラストレーションでサポートさせていただくことです。特にお子さんや若い方々から、「イラストレーションが好き」と言ってもらえるような活動に携わってゆけたら幸いです。
ー個展タイトル「hana no yume」にもあるように
今回の展示作品は、小牧さんが夢の中で見た花たちを描かれたそうですね。
夢で見た花を、絵としてアウトプットするために、
夢から覚めた後、何か描きとめたりされるのでしょうか?
小牧さんの夢の中の花が、作品となるまでの制作プロセスをお伺いできますか?
子供の頃から、夢の中は極彩色なので、現実よりも鮮やかに見えてとてもイマーシブです。いい夢を見た朝は、目覚めたら布団の中で夢を回想してから起きると、とてもスッキリとした気分になって、その時々に印象に残った夢の回想を、スケッチブックや手帳にスケッチやメモで書き留めています。
今回の作品は、昔の手帳やスケッチブックをもとにラフ(構図)を作っていきました。さらに夢で見た花とよく似た実在の花を探して、花びら、茎、葉などの資料を集めて参考にしながら細部も決めていきます。夢のイメージを再現するように作ったラフができたら、実在の花を繊細に描いていきました。
夢の回想は、大学の一般教養科目に「夢の心理学」という大変人気の授業があり、それがもとになっています。自分の夢を記録する手法が、大変興味深いものでした。朝起きて、夢を忘れる前にすぐにメモを取るだけ。本来は夢の自己分析をするのでしょうが、スケッチしたり、ちょっとした短歌のような言葉で書いたりしするだけで適当なものです。夢の回想は、自分の無意識を書き出しているのかもしれません。
ー小牧さんはアナログでの制作はもちろん、 デジタルやシルクスクリーン、
エッシャータイリングなど様々な表現方法に挑戦されています。
ご自身では扱いやすい画材、一番心地の良い表現方法は何でしょう?
また、今後新たに取り組んでみたいと思う技法はありますか?
扱いやすい画材はデジタルで、一番心地よい画材はアナログ(線画)です。
一番自然な表現方法は、アナログ+デジタルで、デジタルとアナログの境目がないかもしれません。ですが、私の中で一番好きな画法は版画です。エッチング、紙版画、シルクスクリーンを研究しています。ただ版画は体力的に継続していくのがむずかしいとわかったので、私なりに版画の手法や美しさを「デジタル+アナログ」で取り入れて表現しています。
シルクスクリーンは、デジタルで製版データを好きなように作れるところが、「デジタル+アナログ」なスタイルでとても気に入っています。
コロナ禍に部屋でこもって始めたのが、大学で学んだテセレーションでした。よりシンプルで楽しい作品を作っていきたいです。参考にした書籍の中で特にデザイン的に美しく秀逸な一冊は、藤田伸氏の『装飾パターンの法則 —フェドロフ、エッシャー、ペンローズ—』(三元社)です。親しみやすいお人柄の藤田先生と直接お会いできる機会に恵まれ、軽快な行動力や発想力に感銘を受けました。
ー小牧さんが今後挑戦されたいお仕事や、展望などをお聞かせください!
ひとつは、峰岸達氏主催のMJイラストレーションズを中心に、イラストレーションを学んできましたので、これからも守破離と心技体を心がけた精進を続けることです。
もうひとつは、イラストレーションでHappyをお届けできるようなお仕事にチャレンジすることです。特にパッケージやテキスタイル、テーブルウェアなど、ライフスタイルを彩るお仕事にどんどん挑戦してゆけたらうれしいです。